表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/169

第22話 モントレアル領の戦い 1

 オベル率いる略奪部隊がモントレアル城周辺の村や町に向かったのとちょうど同じころ、斥候として先行していたヴィクトワーレ配下の騎兵たちがいち早く戦場にたどり着き、高台になっている丘から望遠鏡で敵の様子を伺った。


「これが残党? 思っていたよりかなり多いな」

「しかも一部の別働部隊が周囲の村や町を襲おうとしているわ」


 深紅のポニーテールに赤いマントを羽織った女騎士マティルダと、青緑の長髪に緑のマントを羽織った女騎士ベルサは、モントレアル城周囲に集まっている圧倒的な数の魔族軍を見て息をのんだ。


「ちっ、今すぐ襲われている村に駆けつけられれば!」

「だめよ。私たちの役目はあくまで敵戦力の偵察をすること。ここで戻らなかったら、ヴィクトワーレ様やリクレール様にもご迷惑をかけるわ」

「そうだな……であれば、一刻も早く戻らなければ!」

「いや、せめて城の向こう側の様子とかも」

「そこまで見るために前に出たら敵に気づかれるだろ!」


 思考が早いがせっかちなマティルダと、慎重だが集中しすぎるベルサ。

 この二人は幼い時からともに騎士を目指して切磋琢磨し、ヴィクトワーレの配下の中で一番若いながらも、将来のエースとして期待されている。

 少々悶着はあったが、性格が真反対な二人にとっては日常茶飯事であり、偵察任務もしっかりこなしてリクレールたちの元に戻ってきた。


「「ただいま戻りました!」」

「お帰りなさいマティルダ、ベルサ。まず無事に戻ってきて何よりだったわ」


 まずはヴィクトワーレが無事任務をこなしてきた二人を労った。


「早速だけど、敵の戦力はどんな感じだった?」

「はい、おおよその目算ではありますが、敵の数は少なくとも3000人以上です」

「3000か……まだそんなに残っていたんだ。モントレアル城の様子は?」

「城は魔族軍の大軍に包囲されていましたが、まだ攻撃にはさらされていないようでした。しかし、城の周辺の村や町が別働部隊によって襲撃されています」

「よくわかった、ありがとう」


 魔族軍は人間の軍と違って、旗や輜重隊の数などで大まかな人数を測定することができないので、敵の正確な数を計算することはほぼ無理だったが、少なくとも3000人以上……つまり、アルトイリス軍の3倍以上はいるようだ。

 ただでさえ魔族の兵士は人間に比べて屈強で、戦闘力に勝るというのに兵力差も向こうの方が圧倒的に上。

 一方で自軍の大半は貴族たちから無理やり召し上げた兵士であり、練度はバラバラで中にはほとんど新兵や武器を持ったことすらない者もいる始末。

 つまり、現状では正面から戦っても勝ち目はあまりない。


「厳しい戦力差だ。でも、やりようによっては勝ち目はある。魔族軍は今、略奪に目がくらんで部隊を分散させているから、それらを各個撃破しようと思う。どうかなシャル?」

「俺もその作戦に賛成だ。おそらく連中はまだこっちの動きに気付いていない、敵が油断している今がチャンスだろう」

「そうと決まれば早速攻撃を開始いたしましょう。わが軍はいつでも行動できますぞ」


 リクレールの作戦にシャルンホルストとサミュエルが賛同すると、アルトイリス軍は直ちに前進を開始した。

キャラクターノート:No.012


【名前】マティルダ

【性別】女性

【年齢】17

【肩書】コンクレイユ騎士団新人騎士

【クラス】キュイラシェ

【好きなもの】速さ 赤色

【苦手なもの】暇 骨董品

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ