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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第11章 鴉は舞い、狼は奔る
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第219話 三人目の級長

「さて、一発カマしたところで本題……つまりこの後の作戦計画だが、その前にレムリア、もし君ならこの状況でどんな手段を採るだろうか?」

「おっといきなりのご指名だね」


 レムリアは相変わらず芝居がかったような気障な口調で、シャルンホルストの問いかけに応えた。


「ボクだったらやっぱり王道を行く夜襲ってとこかな!」

「夜襲のどこが王道なのよ……思いきり邪道じゃない」


 大体の騎士が嫌う夜襲を王道と言い張るレムリアに、青狼学級副級長を務める女子生徒セルニが呆れたようにツッコミを入れた。

 はっきりいって夜襲は口で言うほど簡単な作戦ではなく、かなりの下準備と連携が取れていなければ、暗闇の中で自滅する恐れもあるリスクの高いやり方なのである。


「そうだな、隙があれば夜襲も試みてみるとしようか。それじゃあオスカー、君はどう思う?」

「えっ」


 オスカーと呼ばれた、こげ茶色の癖毛に6スリエを超える高身長の男子生徒は、自分が指名されるとは全く思っていなかったのか、名前を呼ばれて暫くポカーンとしたままになった。


「あのねぇ、あんたはうちの学級の級長でしょ? もっとシャキッとしなさいよ!」

「一番先輩なんだから、作戦の一つや二つあるっしょ? 何も考えてなかったら、ダサいじゃすまないよ?」

「セィアもそう思います」

「い、いや参ったなぁ……ベレイム先生からはおとなしく紫鴉学級の言うこと聞いとけって言われてたから……あっはっはっは」

「あっはっはじゃないわよぉっ! うちの学級だけバカみたいじゃない!」

「全くあきれてものも言えないわ」

「セィアもそう思います」


 橙鷹学級の級長オスカーはその甘いマスクと恵まれた身長、なにより東帝国の侯爵家出身という、外見と地位だけなら非の打ちどころのない人物なのだが、士官学校にあまり似つかわしくないお坊ちゃま気質だった。

 その毛並みの良さと、調整能力によって級長に祭り上げられたはいいものの、優柔不断で決断力に欠けるという将校として致命的な欠点があるほか、戦術的な知見も教科書以上のものはないという、完全に学ぶ場所を間違えているとしか言いようがなかった。

 現に、オスカーは早速橙鷹学級名物問題児3人にくそみそにドつかれていたが、それでもなおあいまいな笑みを崩そうとはしなかった。


「あー……うん、そうだそうだ、今思いついたんだけどさ! 大きな落とし穴を掘って、そこに敵を誘い込んで、上から岩を落として埋めちゃうってのはどうかな?」

「それ本気で言ってんの? 穴を掘るのと岩を落とすのに一体どれだけの労力がかかると思ってんのよ! それに、落とし穴にはまったからって敵が死ぬとは限らないし、そもそもそんな大きな落とし穴をどうやって掘るのよ!」

「……いや、それはそれでありかもしれないぞ。上から岩を落とすのは無理かもしれんが、相手が騎兵なら落とし穴というだけでも効果的だ」

「シャルさん、うちの級長を無理に褒めなくていいんですよ?」

「いやいや、今はそういう意見でも何かいい作戦を思いつくきっかけとなるかもしれない、だから思いついたら積極的に俺に言ってくれると助かる。じゃあ、改めて俺が考えた作戦を説明するから、机の周りに集まってくれ」


 シャルンホルストは、級長二人にあえて意見を言わせて発言しやすい空気を作ると、作戦の説明のために机の上にリヴォリ城とその周辺の地図を広げるのだった。

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