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第205話 不穏な遊牧民たち

 レイアが駆けつけてきたことで何とか白竜学級の生徒たちは窮地を脱した。

 怪我人は多数出たが、幸いほとんどが軽症で、奇跡的に死者や戦闘不能者は出なかった。


「アヴァリス!」

「レイア……よく駆けつけてきてくれた、ありがとう! 本当に死ぬかと思った……おっと!?」

「よかった……あなたが無事で、本当によかった。もう少し駆けつけるのが遅れてたら、私は……」

「すまない、心配かけた」


 仲間たち……特に、仲が良いアヴァリスが無事だったのを見て、安心したレイアは思わずアヴァリスに抱き着き、その分厚い胸板に顔をうずめた。

 ほかの生徒たちも、ほとんど学級公式カップリングの二人を温かいまなざしで見守りつつ、戦いで負った傷の治療と、中断していた朝食の準備を再開したのだった。


「それにしてもレイア、本当にいいタイミングで駆けつけてくれたな」

「ええ……早馬で帝国軍本隊がシェムスタ侯爵領の手前で大損害を被って、足止めされているって知らせが来たから、デュカス先生から急いで増援に行くように言われたの。でも……残念ながら、先に送り出した物資が何者かに奪われてしまっているみたいね」

「そうなんだよ! おかげでマルセラン様たちの軍は、このままだと食料が尽きてみんな飢え死にしちまう……」

「そうね……どうして今になって、こんなに遊牧民が活発に動いているのか気になるけど、今はこの物資を本隊がいる陣地まで運びましょう」


 レイアの言う通り、なぜ遊牧民たちが西帝国の正規兵が運搬する物資を狙うのか……それも、明らかに部族単位ではなく、もっと大きな集団を形成して、かなり組織的かつ計画的な襲撃を繰り返している。

 もはや北方遊牧民全体が西帝国に宣戦布告したも同然の所業だったが、その割には村や町を襲っているという報告は上がっていないのも不可解であった。

 ともあれ、彼らは二度目の襲撃を警戒しつつ急ぎ目に行軍し、襲撃を受けた次の日の昼には、なんとかマルセランたちがいる陣地へと帰還することができたのだった。


「アヴァリス、戻ってきたか! ……なにやら随分と土埃がついておるが、戦いでも起きたのか?」

「マルセラン様、じつは――――」


 陣地に帰還した白竜学級の生徒たちをマルセラン自身が出迎えたが、すぐに彼らの格好がボロボロで、何人かは怪我をした跡があることに気が付いた。

 このことについてアヴァリスは、帝都からの補給部隊が遊牧民たちの大集団に襲撃されたことと、自分たちも危険な目に遭ったこと、そしてレイア率いる増援部隊が合流したことで何とか撃退したことを包み隠さず話した。

 マルセランも北方の遊牧民がこれほどまでに大規模な襲撃を行ってきたことを訝しんだ。

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