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第201話 食糧問題

「白竜学級の皆様、マルセラン様が緊急の軍議を開催するため、すぐに出席していただきたく」

「緊急の軍議? マルセラン様が何か攻略の妙案でも思いついたのだろうか?」


 招集を受けた生徒たちはいそいそとマルセランのいる天幕に向い、ほかに招集された騎士たちと共にマルセランの前に整列した。

 彼らを呼び出したマルセランだが、その表情は以前にもまして沈んでおり、集まった者たちはすぐに何か良くないことが起きたのではと、直感的に感じた。


「諸君らを呼んだのはほかでもない、現在由々しき事態が発生している」

「陛下、由々しき事態とはいったい?」

「……食料の備蓄が不足している。このままでは、あと5日でわが軍の兵糧は底を突く」

『なっ……』


 白竜学級の生徒たちや、集った将軍たちは一様にあり得ないと言ったように驚いていた。

 なんと、この場で軍の兵糧があとどれだけ残っているのかを、ほとんどだれも把握していないのだった。


「ですがマルセラン様、追加の補給については後続部隊が順次後方から運搬する手はずになっているのでは――――まさか!?」

「そう、そのまさかだ。本来であればとっくに到着しているはずの輸送部隊がまだ到着しておらん。ただ単に遅れているだけなのか、道に迷っているのか、はたまた何者かの妨害を受けたのか…………いずれにせよ、このままではわが軍は戦わずして窮地に陥ることになる」


 帝国軍が帝都から出撃する際、デュカスは再編成の時間を少しでも短縮するために、軍需物資を必要最低限だけ確保し、残りの分は順次帝都から増援部隊と共に送り出すという苦肉の策を取った。

 もし、当初マルセランやヴィシーニが目論んでいた通り、最短日数でシェムスタ侯爵領を奪還できていれば十分補給が間に合う算段であった。

 だがその目論見はコンクレイユ軍によって完膚なきまで粉砕され、シェムスタ侯爵領の手前で進軍停止を余儀なくされたことで、物資不足が顕在化してきたのであった。


 幸か不幸か、先日の戦いで軍全体が大打撃を被ったため、その分消費する食糧が減ったことで皮肉にも食糧不足までの猶予が長くなったが……それでも、来るはずの後方部隊が到着しないということも含めて、非常に由々しき事態であった。

 そんな中、アヴァリスが真っ先に挙手する。


「わかりました! 我々が後方の様子を見に行ってまいります!」

「そうか、君たちが行ってくれるか」


 アヴァリスは自ら後方部隊の様子を見に行くことを申し出た。

 もっとも、彼にとってはマルセランの為というよりあくまで打算であったが、白竜学級の生徒たちにとっても、この場で指をくわえて待つよりも、自ら動いて状況を打破した方がよいと判断したのである。

 早速彼らは準備を整えると、一部体調がすぐれない生徒を除いてほぼ全員が陣地を飛び出し、馬に乗って来た道を戻っていった。

 1日目は街道付近の町や村で後続部隊が来なかったか確認したものの目撃情報はなく、不安な気持ちが募る中、2日目になって彼らはようやく「結末」を発見することとなった。

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