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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第1章 魔剣エスペランサ
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第19話 召集命令

 翌日、リクレールは家臣団を集められるだけ集めると、自分の領地を持っている貴族は少なくてもよいので、最低10人は兵力を供出すること、領地を持たない貴族には軍資金や物資を調達するように命じた。

 理由としては、最近領内で賊の被害が相次いでいることから、治安維持のために討伐軍を組むというものだった。

 当然のことながら、先の戦でがっつり自分のところの兵士を持っていかれた挙句、ほとんど戻ってこないにもかかわらずすぐに持っている兵士を出せと命じられた家臣たちは散々に文句を言ってきたが、リクレールは家臣たちにエスペランサを突き付けて強引に黙らせた。

 また、リクレールのことを信頼しているヴィクトワーレやシャルンホルストらも、流石に家臣たちの負担が厳しいのではと暗に反対してきた。


「ねぇリク……確かに治安維持は最優先しなきゃいけないことだけど、あんなことがあったばかりだし……私の騎士団ならすぐに動かせるから、あまり貴族たちに無茶させない方がいいんじゃないかしら」

「正直俺も、無理に兵を出させることはないと思うんだ。家臣とぎくしゃくしてる今はなおさらだ。なんなら、俺の実家に頼んで兵を貸してもらえば、それなりに数を出せるはず」

「トワ姉、シャル、心配してくれてありがとう。でも、これは必要なことなんだ……そのうち分かってくれると思う。今は僕を信じてほしい」


 二人の言うことはもっともだったが、リクレールは珍しく二人を逆に説得して、急場をしのいだ。

 その一方で、いきなり兵力や物資の供出を命じられた家臣たちの反応は様々だった。


「サミュエル殿、いかがなさいましょうか」

「リクレール様があのように言う以上、我々は命令に従うまでだ。それに、リクレール様の考えももっともだ。侯爵軍が大幅に弱体化したことは、いずれ広く知れ渡り、賊どもがこれ幸いと跋扈するだろう。そうなる前に、賊を武力鎮圧できる力が健在であることを示しておくことも必要だろう」

「なるほど、言われてみれば。すぐに準備に取り掛かろう」


 元々リクレールの次期当主就任にそれほど異議がなかった家臣たちは、家宰のサミュエルを筆頭に素直にリクレールの命令に従うことにした。

 その一方で…………


「はあ、また兵を出せだと。次期当主になったからと言って急に偉そうな顔をしおる。ガムラン、お前はどうするつもりだ」

「本音を言えばこれ以上兵は出したくないのだが……しかし、ううむ」

「ま、しばらくは様子見だな」


 ガムランをはじめとしたリクレールに懐疑的な家臣たちは、命令に従うべきかどうか意見が割れていた。

 中にはこの時点で、すでにリクレールの命令を無視しようと決めた貴族もいるが、ほとんどの貴族はしばらく様子見することにしたようだった。

 こうして、リクレールの急な要請に戸惑いつつも、家臣たちは軍備を調えていたのだが、リクレールが命じてから3日もしないうちに侯爵家に思わぬ報告が入ってきた。


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