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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第9章 ロディ渓谷の崩落戦
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第189話 ロディ渓谷の崩落戦 1

「なに、反乱軍がこの先で待ち構えているだと?」

「はっ! 偵察兵の報告によれば、反乱軍はロディ渓谷と呼ばれる峠道で街道を封鎖しており、即席の防御陣地を築いているとのことです。また、旗の紋章から、相手はコンクレイユ侯爵軍と思われます」

「コンクレイユ侯爵軍か……もうそのような場所に陣地を築いているとは。ベルリオーズとは何度も肩を並べて戦ったことがある。戦友としては非常に頼もしいが、敵に回すと非常に厄介であるな。敵の数は?」

「不明です。向こうの弓の射程ギリギリと思われる距離まで近づいては見たものの、麓からでは柵の向こうの様子がわからず、どの程度の規模か判断することができなかったとのこと」

「そうか、わかった」


 野営地のテントの中で斥候からの報告を受けたマルセランは、厄介なことになったと難しい顔をした。

 敵軍の規模が分からない以上はすぐには戦いたくないというのが本音だが、ここで反乱軍を放置すればますますその数を増やしていきかねないし、何よりもシェムスタ領で休息をとると全軍に通達している以上、あまり長く足踏みするわけにはいかない。


「いかがなさいますか陛下?」

「まずは麓の村まで進軍し、そこに陣を構える。その間も情報収集を怠るな」

「畏まりました」


 北方街道を進む西帝国軍がその進路を東から南に変える直前で、進路上に反乱軍が立ちふさがっているという報告が全軍にいきわたった。

 既に疲労困憊の極地にあった彼らだが、敵を発見したと聞くや否や、失った士気が戻りつつあった。


「どうやら反乱軍は野戦を挑むつもりらしい」

「山の上を取られたのは面倒だが、城に籠られるよりはよっぽどましだな!」

「油断するなよ、相手はあの勇将ベルリオーズだ。相手に不足はない」


 敵が山の上で防御陣地を築いているのは厄介だったが、少なくとも彼らはコンクレイユ侯爵軍がウェアテル城に籠らず野戦を挑んできたことを喜んだ。

 偵察の報告ではベルリオーズ自身がこの地まで来ているとのことだったが、強敵である反面、大将であるベルリオーズさえ撃破すればコンクレイユ侯爵軍は確実に崩壊する。

 そうなれば、ウェアテル城までの道のりが一気に開けるのである。

 俄然やる気を出した将兵たちは街道沿いにその進路を南へと変え、数日後にはロディ渓谷手前にある麓の村まで到達した。

 北方の平野に比べれば、このあたりの寒さは少しはましということもあり、兵士たちも徐々に顔色がよくなってきている。

 彼らは急いで村の郊外に野営地を建設し、ようやく地獄の行軍もひと段落したのだった。


「諸君、ここまでの行軍誠にご苦労であった。不幸にも脱落してしまった兵士も出てしまったが……戦わず命を落とした彼らのためにも、この戦は絶対に負けられない。諸省はそのことをしっかりと肝に銘じるように」

『はっ』


 臨時の司令部として一時的に借り受けている村の集会所で、マルセランは将たちを一堂に集め、今後の方針について話し合っていた。


「シェムスタ侯爵領はもはや目と鼻の先……ロディ渓谷を越えれば、此度の遠征の第一目標は達成できるだろう。すぐにでも攻撃を始めたいところだろうが…………さすがにこれまでの行軍で将兵の消耗が激しい。兵たちには明日1日休息を取らせ、万全の状態で戦いに挑むのだ。その間に、我々は改めて反乱軍の防衛陣地を攻略する作戦を練ることにする。異論がある者はいるか?」

「異議なし」

「異議なし」

「……某も異議はございません」


 シェムスタ侯爵ヴィシーニだけは1日でも早く自領に帰りたいせいか、やや複雑な表情をしていたが、流石にこの空気の中で休息せずに攻撃すると主張するのは分が悪いと判断して異議を申し立てなかった。

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