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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第9章 ロディ渓谷の崩落戦
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第187話 準備万端

 改めて実物を見たベルリオーズは、目の前に組みあがった大型投石器を見て感嘆のため息を漏らした。


「ほぉ……これはまた凄いな。これほどまでに大型の投石器は見たことがない。台座の部分が城にある防衛投石器とは違うようだが」

「これだけの大きさとなりゃ、向きを変えるのも工夫が必要だ。この歯車をこっちのハンドルと連動させるんだが、台座を回すのに4人必要になる。あとスプーン(投げる石を置く部分)の操作にも4人必要だな」

「それはまた随分と大がかりだな」

「だがその分威力は凄まじいものになるだろう。敵の偵察兵がウジョウジョいやがるせいで、射程の確認ができねぇのがいささか不安だが……まあ、こまけぇところは実戦で試しながら調節すりゃいい。操作方法は騎士の一部にも教えてあるが、基本的に操作は俺たちの方でやる。くれぐれも扱いには注意してくれよ」


 こうして、新型投石機は何とか帝国正規軍が来る前に組みあがった。

 これでウェアテル城の攻略にもう少し時間がかかってしまっていたら、これを組み立てる前に戦いが始まっていたかもしれない。

 そう考えると改めてベルリオーズは、リクレールやヴィクトワーレたちが手早く城の攻略を完了してくれたことに感謝した。


(これがなければ勝てないということはないだろうが、味方の被害を大きく減らすことができるだろう。やれやれ、なんだかんだ言ってギリギリだったな)


 ベルリオーズは万全な状態でマルセラン率いる帝国軍を待ち構えることができた。

 敵の飛び道具を防ぐ防衛施設や、こちらの弓兵の射程を伸ばす櫓の用意はもとより、兵士たちが少しでも快適に過ごせるように簡易的な砦も築き上げた。

 また、周囲で物資調達をしている際に意外なものも発見することができた。


(まさかこのような場所に温泉が湧くとはな。おかげで兵士たちの士気も高まりつつある)


 周囲を調査していた兵士たちが、偶然にも山中で熱泉が沸く場所を発見したことで、それを陣地の近くまで引き込んで浴場を作ることができた。

 気温が零下を下回る山中での活動をする兵士たちにとっては、まさに山の恵みと言ってよく、作業で疲れた体を癒すことで彼らの士気はたちまち向上した。


「帝国軍本体が何ぼのもんだい! 裏切ったシェムスタの奴らを思い知らせてやろうぜ!」

「レオニス様が行方不明でも、お世継ぎが生きていれば正統性は我らにある。気後れする必要はないぞ」

「へへっ、この新型投石機で奴らを盛大に歓迎してやるぜ!」


 今や騎士や兵士たちは、自分たちが帝国正規兵相手に負ける気が微塵も感じられないほど意気揚々としている。

 後は敵の到着を待つばかりであった。

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