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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第8章 若き白竜たちの躍進
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第159話 皇弟マルセランと士官学校生徒たちの進軍

「私ははるか以前に皇位継承権を放棄した身だが、兄上が守った西帝国をこれ以上戦火に巻き込むわけにはいかない。この事態を収拾するため、私が自ら軍を率いて鎮圧に向かう!」


 内乱が起きた際に素早く帝都を脱出していたマルセランが、帝都近郊に有力諸侯を集結させ、自らが中心となって内乱を鎮圧することを宣言したのだ。


「おお! マルセラン様が立ち上がってくださるとは……!」

「これで西帝国は救われる!」

「マルセラン様万歳!」


 マルセランの宣言に、人々は歓喜した。

 長年皇帝の右腕として幾多の戦場を駆け巡り、軍人として多大なる実績を積んでいた彼の存在は非常に大きく、内乱でどちらに付くか迷っていた者たちや、元々皇太子に忠誠を誓っていた騎士たちは、こぞって彼のもとに駆けつけたのだった。

 軍の用意が整うと、マルセランは自ら馬に跨って兵士たちの先頭を堂々と行進し、自らが直接内乱を終わらせるという強い意志を示した。

 そして、その後ろには――――アヴァリスをはじめとした士官学校の生徒たちがずらりと揃っており、人々の注目を集めた。


「マルセラン様、ここは我々にお任せください。すぐにこの争いを鎮めて見せます」

「うむ、頼もしい限りだ! ここは若い者たちの活躍に期待することにしよう」


 東帝国の士官学校生徒たちがなぜこのようなところにいるのか……名目上は、彼らは航海訓練の途中、たまたま近くにいたということになっているが、マルセラン側についた将兵たちも流石に何か裏があるのではないかと勘繰る者が多かった。

 それに、あのマリアやヴィクトワーレ、そして若くして東帝国の遠征部隊の指揮官に任命されたセレネを輩出した名門である白竜学級とはいえ、まだあまり実戦経験を積んでいない、子供同然の貴族たちに何ができるのか、という不安も大きかった。

 だが、彼らの不安や猜疑の心は、いい意味で裏切られることとなる。


「さあ行くぞ皆、今まで学んだことを生かす時が来たぞ!」

「彼らも帝国の臣下だから、出来ることなら死なせないようにするのよ!」

「いよっしゃぁ! 俺の力を見せてやる!」


 白竜学級級長のアヴァリスが中心となって指揮を執り、その親友であるレイアがサポートする中で、学生たちは流れるような動きで宮殿に突入していく。

 中でも真っ先に飛び出したのが、白竜学級が誇る勇将の一人ブランシャールだった。

 まだ17歳であるにもかかわらず、大人の騎士すら圧倒するような体格を誇る黒髪のイケメンで、馬も含めて全身を分厚い鎧を纏い、大盾を構えながら敵兵めがけて真正面から突進していく。

 反乱軍は矢を放って応戦しようとするが、ブランシャールは盾で難なく弾き飛ばし、そのまま勢いに任せて長柄斧を振るった。


「どけどけ、雑魚には用はねぇっ! 死にたくなきゃとっとと武器を捨てろ!」

「ブランシャールだけにいい恰好させるかよ、俺たちも続け!」

「そんな腕では私たちを止めることはできん!」


 まるで鉄の塊が突っ込運出来たかのような衝撃で兵士たちはたちまち蹴散らされる。

 そして、ブランシャールに続けとばかりに腕自慢の学生たちが次々と突撃してきたことで、無事だった兵士だけでなく、それを率いていた部隊長や騎士たちまで、たちまち武器を捨てて降伏の意志を示した。


「な、なんて奴らだ……! 帝国が誇る軍団をこうもあっさりと!?」

「しかも、まだ学生なのにこの強さは一体……!?」

「お、俺たちはもうだめだ! あんな化け物に勝てるわけがない!」


 ブランシャールたちの強さと勢いに圧倒された兵士たちはたちまち戦意を喪失していき、彼らはまさに無人の野を行くがごとく宮殿内へと進んでいった。

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