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聖剣を継げなかった少年は、魔剣と契りて暴君を志  作者: 南木
第7章 奇跡的に繋がった希望
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第133話 後継者争い

「それで、タイラスルスは今どんな感じなの?」

「帝都は現在極度の混乱状態にあるようです。皇帝崩御の翌日に、アシュドット殿下(皇帝の次男)が早々に諸侯の前で遺言状を公表し、自らが皇帝となることを宣言したとのことです。しかしながら、どうやらその遺言状はすぐに贋作と断ぜられたらしく、それを不服としたヴァリク殿下(皇帝の三男)が配下を率いて蜂起されました。宮廷内では双方の派閥の騎士が衝突し、戦火は帝都から帝国全土へと広がりつつある状態です」

「そ、それじゃあ……皇太子殿下は!?」

「レオニス殿下(長男の息子、皇帝の孫)は現在行方が分かっておりません」

「…………まじか、さてはブレヴァン侯爵の野郎、予めアシュドット殿下を焚きつけてやがったな。遺言状がすぐに贋作扱いされたところを見ると、奴らは計画を焦ったようだな」


(いや、それにしては計画が雑すぎるというか。なんか違う気がするんだよね)

主様メーテルのお考えはおそらく正しいですわ。今回の内乱ですが、おそらく二人の皇子はあくまで「囮」でございます。おそらく他に本命がいるのでしょう』

(本命、か……)


 リクレールは今の状況に何か引っかかるものを感じ、エスペランサもその違和感は正しいと認識したが、やはりまだ情報不足だった。

 とはいえ、現時点で分かっているのは、正月の宴で皇帝が急死し、翌日の時点で次期皇帝の座をかけて皇帝の次男と三男が相争っているということ。

 そして、肝心の正統な後継者である皇太子レオニスは行方が分からなくなっているということだった。

 リクレールとしては、ヴィクトワーレの兄ビュランがレオニスの側近を務めていることを思い出し気が気ではなかったが、それ以上に不安な顔をしているのがシャルンホルストだった。


「レオニス殿下が行方不明……ってことは、シャルロッテ伯母上の身も危ないし、何よりユルトラガルド侯爵家も危機、というわけか」

「そうじゃん! ユルトラガルド侯爵は無事なのか!?」

「……ユルトラガルド侯の領地が攻撃を受けているという報告は、今のところは入っておりませぬ。しかし、ブレヴァン侯爵家では年末にかけて大勢の兵が集結していると報告が入っており、おそらくは時間の問題かと思われます」

「くっ」

「シャルンホルスト、焦る気持ちは分かるが、今は落ち着け。いざとなったら俺たちが付いている」

「そうだ、俺はアルトイリス家に加わったばかりだが、あのブレヴァンの野郎をぶっ飛ばせるならすぐにでも力になってやる。だから、そう自分を責めてやるな」


 実家の危機に気が気ではなく、焦りで必死の形相になるシャルンホルストを、ゼークトとデルセルトが何とか落ち着かせる。

 どちらかと言えば粗野なこの二人がこんなことを言うのだから、シャルンホルストがどれだけ焦っているかよくわかる。


「いずれにせよ、まずは情報収集だね。まずは現状を正確に把握しないと…………そういえばサミュエル、僕たちはアンクールの町に向って急いでいるけど、今回の内乱と何か関係があること?」

「はい、大いに関係がございます。なぜなら、アンクールの町に皇太子殿下のお妃さま……シャルロッテ様がわずかな手勢と共に船で落ち延びてまいられました」

『ええっ!?』


 焦りはすれど驚きはしなかったリクレールやシャルンホルストたちだったが、サミュエルの言ったことがあまりにも予想外すぎて、今度こそ目玉が飛び出んばかりに驚いたのだった。

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