第三話 お隣の美少女と下校
「よかったら一緒に帰ってくれませんか…?」
「え?あー、別にいいけど、なんで俺?」
「家も近いですし、実は今日の放課後にお買い物をしようと思ったんですけど…」
とても申し訳無さそうな顔をする華音
(荷物持ちか?)
「何を買えばいいかわからないんです!」
(えぇ…)
お嬢様(多分)の圧倒的な生活力の低さにドン引きするが、顔に出さないように必死でこらえる虎継
「俺はいいけど佐藤はいいのか?」
「え?」
「半ばアイドルみたいな扱いだったからさ」
「あれもなかなか辛いんですよ…」
「なんかすまん」
華音が本当に辛そうな表情をするのでとりあえず謝っておく
「とりま行くか」
「バレたら島崎さんが刺されちゃうかもですね」
「ほんとにありそうだからやめてくれ、そしてそうなったらフォローしてくれ。お前の買い物に付き合うんだから」
「わかってますよ」
「お前ほんとにわかってるのか?」
「はい、もちろんです」
(わかってなさそうだな~)
心の中でいざとなったら自分の身は自分で守ろうと決意する虎継だった
虎継達が通う夕凪高校からマンションの最寄りのスーパーまでは徒歩10分程度であり人と話していれば案外すぐついたりする
「で、何買うんだ?」
「調味料は引っ越す時に買ってきたので夕御飯と明日の朝ごはんを買おうかと」
「まさか毎日買いに来る気か?」
「え?違うんですか?家ではそうだったのでそういうものだとばっかり…」
呆れてものも言えなくなるが、お嬢様とはこんなものなのだと自分を無理矢理納得させる
「いいか?俺達みたいな学生は特にだが、毎日買い物に来るなんてそんな面倒なことはしてられないんだ、だから基本3日4日分くらいは買い溜めるの」
「はい」
「とりあえずは野菜炒めだ、あれさえ覚えれば炒める物を変えるだけでどうにかなるから覚えろ」
「はい」
「佐藤がある程度料理できるようになるまでは俺のやつを分けてやるから」
「本当ですか!?ありがとうございます!」
華音の目がさっきまでとは打って変わってキラキラしているのは気のせいではないと思う
「佐藤ってさ、俺の料理食べたことないよな?」
「ないですね」
「じゃあなんでそんな嬉しそうなんだ?」
「片付けの手際を見て確信しました。島崎さんは家事ができます!」
(意外とアホの子なのか?)
「それに島崎さんは私に興味ないでしょう?下手に他の方にお願いして勘違いされるのは嫌なんです」
信頼されていると喜べばいいのか出会って2日にして既に男として見られていないことを悲しむべきなのかわからないが、他のやつらよりは心を開かれている(はず)ととりあえず喜んでおく
「とりまこんなもんだろ」
虎継の持つ買い物かごの中には3日分の食材と少しのお菓子が入っていた
「金は俺が出すからお菓子も買っていいよな?」
「そんな!買い物に付き合ってもらったあげくにお金までなんて私のプライドが許しません!せめてお金くらい私が出します!」
「いや、俺の買い物もあるから申し訳ないよ」
「いえ!──」
「でも!──」
両者譲らない討論の末半分ずつ出すということで決着がついた
自分の方が少し得な虎継は不満ではあるが、料理も教えてもらうしこのくらいは、と華音に押し切られてしまった
「買うもん買ったし帰るぞ〜お前に料理も教えなきゃいけないし」
「はい!」
虎継達のマンションはスーパーの目の前にあったりするのですぐついたのだが、
「あれ?コジと…佐藤⁈」
「「あ」」
見つかってしまった
よりにもよって恋愛話が大好きな幼馴染に…
更新遅れてすいません!