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恋です。

恋です。8話

作者: 新垣新太

1年生の球技大会で、飯塚はバスケットボールの試合に参加する事になったのだが。前半の10分間の試合だけで、飯塚の体力はもう半分以上削られていた。E組対D組のスコアは18対36でE組が負けている。


飯塚「こんなにハードなスポーツだとは思ってなかった。やっぱり卓球を選ぶべきだった」


弱音を吐く飯塚の背中に、張り手を食らわす藤川。


バチンッ!


藤川「楽して勝っても楽しくないだろ。ここから巻き返して勝ったら、最高に気持ちいいぞ。、、わかったな!」

飯塚「ひぃっ!、、これってそんなに勝ちにこだわるモノなのー?」


荒ぶる藤川は、後半戦に怒涛の攻めに転じる。男女混同のクラス対抗戦、D組は女子1人男子4人に対して、E組は女子2人に男子3人。だが飯塚は既に戦力外の為、数にはカウントされていない。この状況下で藤川は、飯塚以外を引っ張りあげながら、スコアを42対45のD組が3点リードの状況にまで試合を接戦にしていた。


藤川「残り1分!、マンツーマンでマークしっかりついて!、、飯塚!足動かせ!」

飯塚「ハァハァ、ハァ」


すると、D組のパスミスでボールがE組に渡る。そして、すぐに藤川にボールが回ると、華麗な3ポイントシュートを決めた。


飯塚「、、うそっ!同点?」


だが、D組の男子は切り返しが早かった。藤川がシュートしたボールをすぐに回収し反撃を仕掛ける。D組には1人、男子バスケ部員がいた。その男子が素早いドリブルでE組のゴールに近づきシュートを仕掛けた。


ピピーー!


藤川「くそっ!」


なくなく、男子バスケ部員のシュートを止めた藤川が、審判にファウルを取られた。ここで、D組がフリースローを2回できる事になる。


飯塚「残り時間は、、15秒」


D組の1回目のフリースローは見事、決められてしまった。スコアは45対46、D組に1点リードをされる。そして、2回目のフリースローが投げられた。


藤川「飯塚!向こうのゴールに向かって全力で走れ!!」

ボケッと突っ立っていた飯塚は、藤川の声にビビり、ふらふらの足で走った。


ガンッ


2回目のフリースローはゴールリングに当たり外れる。そのボールをE組の男子が掴み、近くに来た藤川にパスをした。藤川は受け取ったボールを思い切り振りかぶり、前を走る飯塚に向かって投げた。


藤川「飯塚キャッチしてシュート!!」


走る飯塚は慌てて振り返り、藤川の投げたボールをみぞおちで受け取った。


飯塚「うぐふぅっ」


飯塚は、ここでのミスは絶対に許されないと野生の感で感じていた。飯塚本人が驚く程の身のこなしで、ボールを受け取るとドリブルから見事なレイアップシュートを見せた。


ガンッ


そのボールはボードに当たり、ゴールリングに弾かれ宙に飛んだ。飯塚はふらふらの右足が、自分の左足に引っ掛かり、ゴール下に転がって行く。すると、飯塚が外して宙に浮いたボールを狙って、藤川が走り込み飛んだ。そして、空中でキャッチしたボールを手首のスナップだけでゴールに入れた。


ゴール下に倒れていた飯塚。藤川が物凄い早さでゴールまで近づきシュートをする姿を、スローモーションの様に目撃していた。そして、藤川がシュートをした瞬間。藤川の白い体育着がふわりと空気を含んだ為に、藤川の桃色のブラジャーが飯塚にだけ見えてしまった。


飯塚「あ!、、ブラ」


ピーーーー!


シュートが入った直後、試合終了の音が鳴った。スコアは47対46でE組が逆転勝利を収めた。E組のクラスの子達、周りで見ていた同学年の生徒達が逆転劇を見せた5人に歓声を浴びせる。


藤川「飯塚、ほら!手貸せよ」

倒れていた飯塚に駆け寄り手を差し伸べる藤川。

飯塚「あ、ありがとう。、、とっと!え!?」


飯塚は藤川の手を借りて立ち上がる。すると、急に手を強く引っ張られ、気付くと藤川とハグをしていた。


藤川「やるじゃん、最後に。格好良かったぞ飯塚」

飯塚(心の声)「服が薄いから、藤川の胸が当たって。あ、良い香り」


少し顔を赤らめる飯塚。それを見た藤川も、どこか恥ずかしそうにして笑って誤魔化す。その後、藤川はすぐにE組の子達に引っ張られて称賛の嵐を受けていた。飯塚は、何とか立ち上がりはしたものの、全く体力が無く。生まれたての小鹿のような足で、誰かの助けをただ待つばかりであった。

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