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6.まるおっつよ

 日中、マルオは森の中を一人歩いていた。


 修行場から出て、3日程歩いているが、森の外に出る気配がしない。

 夜は木の上で寝るようにし、食事は木の実で済ませた。

 肉も食べたかったが、火の起こし方がわからなかったので諦めた。

 水が飲めなくなるということを恐れて、なるべく水が流れる方に沿って歩くようにしていた。


 もしかして、森の外に出れないのだろうか、と不安に感じていた。

 不安と戦いながら歩いていると


「「ひぃ~っ」」


 声が聞こえた。

 どうやら二人の人間が走って逃げているようだ。


 声がする方へ走って向かうと、10匹くらいのゴブリンの集団に追われている15、6歳くらいの少女が二人いた。。

 でかいゴブリンもいる。


 二人とゴブリンの集団の距離は10mほどであろうか。

 1人は金髪のツインテールの少女で、片手剣と盾を持っている。

 もう一人は、ピンク色の髪にボブカットの少女で、弓を持っている。


 助けようとは思ったが、勝てるのかと不安に思った。

 声をかける勇気を持てないまま、ゴブリン達と少女に気づかれないようにそばを走り続ける。


 見つけてから、10分程走り続けていたが、ついにピンクの髪の女の子がこけてしまった。

 10mくらいあった距離があっという間に詰められる。


 勝てる自信はなかったが、これはまずいと思い、マルオは声をかけた。

 

「や、やめろぉお!」


 少女二人は、声のする方をみると


「「ひぃぃ……また1匹増えたぁ」」


 と叫んだ。

 マルオはゴブリンと同じようなボロボロの布切れで、隠すべき場所だけを隠してるような状態だった。


「ち、ち、ちがーう、ぼくは助けようと……」


 ゴブリンの集団の中でひと際小さいゴブリンは、マルオを見ると、そばに寄ってきた。


「ギィーギーギギー」


 と声をかけてきた。

 軽く肩を叩かれた。

 肌の色は違うが、どうやら同胞だと勘違いしてるらしい。


「やっぱりぃ、ごぶりんのなかまじゃないかぁ~」


 ピンクの髪の少女は泣きながら叫んだ。


 マルオは困惑した。

 助けようと思ったら、助ける相手が怯えた。

 そして、襲おうとしてる集団はなぜかマルオが仲間のような雰囲気を出す。


 気まずい空気が場を支配する。

 すると、ドッドッドッと足音が別に聞こえた。


「大丈夫か!!」


 20~30代くらいの男が二人、20過ぎの女性一人がやってきた。

 男の一人は金髪で、サトシと同じようなワイルドヘアで青い目をしたイケメンで、立派な装飾の剣を持ち、盾、鎧を着ていた。

 もう一人の男は、熊と見間違えるようなガチムチだった。

 手には成人男性くらいのサイズはある斧を持っていた。

 女性の方は、いかにも魔術師っぽい服を来た、赤い髪で、赤い目をしており、大きな赤い宝石がついた杖を持っていた。


「ゴブリンの集団か! ホブゴブリンもいるじゃないか。 ここは俺たちに任せろ! いくぞ」


 女性が何やら詠唱をし、数秒後


「ファイアアロー」


 と言った。炎の矢のようなものがホブゴブリンの頭に直撃した。


「ウゴォー」


 かなり痛そうにホブゴブリンは叫び、よろめき、腰が地面に落ちた。

 顔に着いた火を消そうと、必死に手を動かしている。

 二人の男は一気にゴブリンの集団に詰め、乱戦が始まった。


 男たちは強く、凄まじい勢いでゴブリン達を倒していく。


「ギギ―!」


 マルオのそばにいた小さなゴブリンは、叫びながら、突進していく。


「やめろぉおー!」


 マルオは思わず叫んだ。


 小さなゴブリンは、金髪の男に蹴りを入れられ、態勢を崩し、首に剣をねじ込まれた。


 痙攣をし、力が抜けていき、小さなゴブリンは空虚な目になった。


 さっきまでは黒曜石をピカピカに磨いたような眼をしていたが、今はくすんだ色をしていた。


 残ったのはホブゴブリンだけだった。

 魔法使いの女性がけん制をしつつ、熊のような男が斧でホブゴブリンの肌を切り裂いていった。

 最初に頭を焼かれたため、ホブゴブリンは目が見えないのか、こん棒のようなものを振り回すが全くあたらないようだった。

 ほどなく、ホブゴブリンも倒れた。


 そして、金髪の男はマルオに剣を向ける。

 凄まじい殺気をマルオは感じた。


 金髪の男は5mほどの距離を一瞬で詰め、横薙ぎ払いをした。

 しかし、金髪の男は、頭と手に強い衝撃を受け、剣を手放し、片膝をついた。


「ケビン!!?」


 赤い髪の女が叫んだ。

 遠くから見ていたのに、何が起きたか認識できなかったようだ。


「気をつけろ! このゴブリンは桁が違う。変異種か?」


 クマのような男がマルオに向って斧を振り下ろそうとした途端に膝を折った。


「「ベア!」」


 何されたのか、二人には認識できなかったようだ。


「引くか!? こいつはやばい。」


 必死の形相でケビンは言った。


「マ、マ、マッテ」


 襲い掛かられたので思わず反撃してしまったマルオだったが、張り詰めた空気に耐え切れなかったようだ。


「ゴブリンが喋ってる……」


 赤い髪の女は困惑して言った。


「ボ、ボ、僕はゴブリンじゃないですぅ」


「「「「「え」」」」」


 長い沈黙が支配した。


 こうして、マルオは一緒に冒険者活動をする仲間と出会った。

 マルオの旅は今始まった。


いつも読んで頂きありがとうございます。


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