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21.安心 安全 安定

「「ツヨシ!!」」


 ハルとアリスが笑顔でやって来た。

 二人とも、メイド服にカチューシャをつけていた。


 ジギンが若い女の子のメイド服が好きだと言った気持ちが分かった。


「二人とも無事でよかった……」


 俺は心から思った。

 

 二人から、どのようにして今に至ったのかを教えてもらった。


 ハルの方は、夜中に、白い猫がいて、追いかけて行ったら、気を失ったようだった。

 アリスの方も似たようなもので、白い猫がハルがつけていた黄色い布を首につけていたので、追いかけて気を失ったようだった。


 俺は銀髪の男の方を見た。


「説得って難しいよな」


 銀髪の男はそう言って、顔を逸らした。


 アリスとハルからはここで働くことを聞いた。

 ジギンが言ってた通り、元々食べるのに困って冒険者になったようだった。


 多少はやっていけると思ったけど、実際に冒険者になり、自分たちには向いてないことがはっきりとわかったようだった。


 特に、ハルは一緒に活動してわかった。

 根本的に争いごとに向いてない。


 ジギンの下で、使用人としての心構えや技能を積んでいけることは彼女たちにとって望ましいことだと思う。


 二人を見ていると、いつもより髪に艶があることに気がついた。

 それに、二人とも薄く化粧をしていた。

 冒険者時代では考えられないことだった。


 そんな二人の姿を見て、そして、将来について笑顔で話す二人を見て、俺は安心した。


 同時に寂しさも感じた。


 自分は今後どうしていきたいのだろうか……

 元々、目的があるわけではない。


「ツヨシはこれからどうするの?」


 ハルが俺の目を見て、言った。

 ジギンも興味を持っているようだった。


「決めてない。 とりあえず、冒険者ランクを上げていくよ」


「目指せAランクだね!」


「そうだな。 そうなれるといいな」


「きっとなれるよ!!」


 ハルは笑顔で言った。

 そう信じているようだった。


 しかし、俺は置いてかれているような感覚だった。

 

 ハルたちと話をした後、解散となった。

 宿までは送ってもらえるようだった。





「いつでも歓迎してるぜ」


 宿に着くと、銀髪の男がそう言った。

 

「ありがとう」


 こうして、俺はまた一人になった。

 修行してるときに、マルオとサトシがいなくなったときにも感じた寂しさを、冒険者になって改めて感じるとは思わなかった。


 修行の時は次の修行に専念すればよかった。

 この場合だと、冒険者活動になるのだろうか。


 何をしたらいいのか、何に力を入れたらいいのか、何をしたいのかがわからなかった。


 こういった宙ぶらりんな状態というのは嫌なものだなと思った。

 やることがなかったので、素振りをし、暗くなると宿に戻り、寝ることにした。


 途中、フランクがやって来た。

 以前はあまりよく顔を見てなかったが、ライオンみたいな髪型に、左目にほくろがあり、案外男前だなと思った。


 じーっと俺の素振りを見て、うなっていた。

 

 俺の横で素振りを始めたようだった。

 修行時代の事を思い出し、少し心が温まるように感じた。


 黙々と二人で素振りをする。


 フランクの素振りは豪快だった。

 

 ブン、ブンと音が凄まじい。

 一振り毎に、砂埃が舞った。


「意味が分からねぇ……」


 フランクはそう言うと どこかに去っていってしまった。


 その後も、俺は無心で素振りをしていた。

 一振り毎に自分を取り戻す感覚があった。

 また、心が落ち着いてきた。


 いつの間にか、自分で自分を縛っていたようだ。

 俺は自由だった。


 そのことを思い出すことができた。


 修行が終わって、外に踏み出した時の高揚感を思い出した。


 もっと高みがあるんじゃないか、そんな期待感を持ち、宿に戻って、寝た。


 

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