2.いきなり修行
気が付くと、森の中にいた。
目の前には、真っ白の肌に、スキンヘッドで、ボディビルダーのような肉体をした男がいた。
「せいれーつ!」
その男が叫んだ。
「あのー?」
「せいれーつ!」
っく、こいつもかよ。
仕方がないので、背筋を伸ばし、並んだ。
どうやら、俺以外にも2人いるようだ。
俺も含めて、全員男の子だった。
年は15くらいだろうか。
前世では20半ばだったが、どうやら若返ってるようだ。
他の二人はどうだろうか。
「お前らを最強の戦士に育てることが俺の使命だ」
「返事はどうした!?」
「「「はいっ!!」」」
「よしっ、あそこにある木の棒を持ってこい」
こうして、地獄が始まった。
木の棒を持ってくると、永遠と振らされた。
途中、手から血が出て、痛みがひどかったが、振るのを止めると連帯責任で一人一発ずつ殴られた。
他の二人を見ると、不満がすごそうだったが、目の前の筋肉の塊に対し、抵抗しようという気を持てないようだった。
幸い、トイレに関しては、言えば許された。
しかし、離れていた時間だけ連帯責任で棒を振る時間が延びるので、迅速にしなければならなかった。
日が昇ると起きて、食事をし、棒を振り始める。
日が沈むと、棒を振るのをやめ、食事をとり、すぐに睡眠を取る。
訓練が終わると、ケガをした手をおっさんが治療してくれた。
治療は魔法を使い、改めて、この世界は異世界なのだと認識した。
魔法の治療をして、すぐに完治するわけではないが、起きたときには大体治っていた。
住居は、見た目は木の小屋だった。
部屋は4つあり、トイレ(信じられないことに水洗・洋式だった。)、俺たちの寝場所、おっさんの部屋、ダイニングであった。
風呂は残念ながらないようだった。。。
寝室には敷布団と掛布団だけがあり、枕はなかった。
おっさんの部屋は謎だが、覗く勇気は流石になかった。
食事はどこから取ってきたのか、焼いた肉、野菜スープ、パンと悪くはないもので、味はとてもよかった。
毎回同じものが出てくるのは厳しかったが、食べれるだけマシだと思うようにしていた。
朝と夜の2食だった。
昼ごはんがないのは厳しいと思ったが、不思議と昼は空腹にならず、平気だった。
他の二人と会話をしたかったが、日中、棒を振ってるときに話すと、ぶっ飛ばされ、連帯責任を課された。
夜は夜で、昼間の修行が過酷過ぎて、食後、すぐに寝る生活をしていた。
逃げたかったが、ここがどこだかわからないし、とてもじゃないがあのおっさんから逃げ切れるような気がしないので諦めた。
来る日も来る日も棒を振るだけの日々。
偶に、湖に連れていかれ、身体を洗うことが許された。
不思議な空間のようで、雨は降らず、日本でいうと、5月の終わりくらいの暖かさの日々がずっと続いていた。
日が昇り、沈んだ回数は木に印をつけていたが、印が30程ついたあたりであろうか、日中にも関わらず木の棒を振ることを止められた。
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