11.鶴は……
これ以上やれることはない。
そう思ってから1000年程経った。
いつの間にか、おっさんと拮抗し、勝ったり、引き分けたり、負けたりといった状況になっていた。
引き分けが最も多かった。
そんなある日、おっさんが言った。
「以上!」
「ツヨシ、明日から自由だ。 ここで修行することはなくなった。 外に出て、最強を感じて来い」
「はい! ありがとうございました!」
結局、やり続けることが最も重要だった。
もうやれることがない、だが、その先がまだあったのだ。
ほんのわずかな甘えが消えた先。
しかし、その差で勝てないことも実感した。
おっさんは、あのときまだ先があることを伝えようとしたんだと思う。
しかし、自分で乗り越えないと意味がないことも分かっていたから言わなかったんだろう。
なぜなら、やれることをやったという甘えの先の話なのだから。
普通に生きていたら、決して到達することがない領域だった。
やれることをやったと感じる領域に達することすら難しいのだから。
さて、明日からやっと異世界を堪能できる。
チュートリアルというにはあまりにも長すぎた。
1800~1900年程だろうか。
その期間を、素振り、瞑想、戦いに費やしていた。
よく2000時間まではチュートリアルみたいな言葉があるが、1800年まではチュートリアルはないと思う。
結局、今回のチュートリアルで学んだことはやり続けること。
色々試行錯誤するにしても、時間をかければやれることはなくなる。
しかも、さらに高みを目指すにはやれることがなくなったと真に感じてからがスタート地点ともいえる。
肉体が壊れるか、心が壊れるかではない。
魂が壊れるかどうか、その次元で戦う必要があった。
それにしても楽しみだった。
やっと手にした自由だ。
経過した時間を考えるとマルオやサトシとは会うことはないと思う。
しかし、筋肉は多少ついたものの、肉体自体の老いはここに来た時から全く感じてない。
ここは時間の流れが特殊な空間だと思っていた。
だから、彼らと何かしらの縁があるかもしれないという期待があった。
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