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幕間 二
その日もレグルスは夢を見た。
夢の中の「妃殿下」は、泣いて、泣いて、まるで絶望の淵に立っているかのように胸を掻き毟り、声を上げ、また泣いて、最後は涙も枯れ果てた。
彼女の為だけに誂えられた秘密の花園、大理石で囲まれた人工の泉の中で、彼女を慰めるように咲くのは薄青色の花だ。思い出の花だ。愛しい大事な、思い出の。
(なのに、思い出せないなんて)
失意の中、亡霊のように城を彷徨い歩いた彼女は、やがて処刑場へと辿り着く。
流す涙も笑う気力もない彼女が、囚人の目にはさぞ残酷に映ったことだろう。
静まり返った広場に、ひとつ、銃声が響いた。
「……あまり近づくと戻れなくなるよ」
鈍い意識の中で、誰かが咎めた気がしたけれど、きっとそれも夢だ。
わたしは、彼を救えなかったのだから。




