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アクイレギアの心臓  作者: 佐倉真由
上手な言葉が見当たらない
24/50

幕間 二

 その日もレグルスは夢を見た。


 夢の中の「妃殿下」は、泣いて、泣いて、まるで絶望の淵に立っているかのように胸を掻き毟り、声を上げ、また泣いて、最後は涙も枯れ果てた。


 彼女の為だけに誂えられた秘密の花園、大理石で囲まれた人工の泉の中で、彼女を慰めるように咲くのは薄青色の花だ。思い出の花だ。愛しい大事な、思い出の。


(なのに、思い出せないなんて)


 失意の中、亡霊のように城を彷徨い歩いた彼女は、やがて処刑場へと辿り着く。

流す涙も笑う気力もない彼女が、囚人の目にはさぞ残酷に映ったことだろう。


 静まり返った広場に、ひとつ、銃声が響いた。



「……あまり近づくと戻れなくなるよ」



 鈍い意識の中で、誰かが咎めた気がしたけれど、きっとそれも夢だ。


 わたしは、彼を救えなかったのだから。

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