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2話 宇宙船内の事情

 ところかわってここはレガンティアにある食堂。基本、自分で作って食べるが、誕生日だったりすると、他の人が作ってくれたりすることも。



 今日の朝ご飯はサラダと卵とコーンスープとデザートにグレープフルーツ。

 実はこれ、レガンティア内で育てたもの。私達が食べるものはほぼ百パーセント、自給自足しなくては生きられないので、私達のご先祖様たちの血と汗と涙と努力の結晶「畑」その他もろもろがある。

 

 といってもやっぱり物資は調達しなければ生きていけないので、今必死で次の惑星を探し中。今ってか常時だな。滅多に物資の調達できる惑星ってないからね。むしろ百年生き残れてたのが奇跡!!



「んで? その日誌、何回も読んでっけどなんかあるのか?」

  目の前で同じように朝ご飯をつついていたルドがテーブルの上に置いた本を見つつ尋ねる。

 


 私がさっきまで読んでた本は飛行船や宇宙船の開発に携わり、宇宙開拓時代を生きた「セイルド・カラント」という人物の日誌。ほぼ研究のことしか書いてないが、当時の人たちがどんな生活をしてたかが分かってなかなか面白い。


「んー、なんかあるっていうか……。私達ってさ、生まれてからずっと宇宙船で暮らすのが当たり前だったじゃん? だから文字通り地に足着いた生活ってどんなかな~と思いを馳せていたわけっすよ」

「はーん。ま、確かに俺も興味はあるな。当時と今じゃ、普通が逆転してるから。ないものねだりってやつか」

「そそ。――ふわぁ~、ねむ」

「食べ終わったら寝ろよ。本の続き、いつでも読めんだから」

「りょーかい」


 それから二人とも無言で食べる。私は今日は一日お休み。



 アレクがついさっき見張り代わったから二十時間は実働可(休憩含む)。実は彼、ショートスリーパーで、集中力が四人の中でも群を抜いて良い。アレクがいなかったら、レガンティアは途端に立ちいかなくなるだろう。


 ルドは、今日は朝ご飯を食べ終わったらアレクと一緒に見張り。昼頃に寝てるソルと代わって簡単な点検に回り、その後睡眠をとる。夜まで見張りは代わらず、夜はソルとルドが交代して朝まで見張りとなる。



 ルドは手先が器用でレガンティアを毎日異常がないか点検し、まるで我が子のように大切に扱っている。ちょっとした拍子に船体に傷でもつけようものなら、元通りになるまで修理をさせられる。ここまでは良い。


 が、その後、エンジンルームに二人で閉じこもり、床に座らせられると、後ろに回り、耳元で延々と…………

宇宙の神秘から宇宙船の構造、人体の神秘に至るまで語られる……。


 これがなかなか精神的にダメージを負うのだ。最初は良いが、十五分ぐらい経ったら、別の世界の言語で喋られているように聞こえてきて、終盤になると……


「宇宙って素晴らしい!! こんな世界に生まれてきたことこそ、奇跡!! 人間は何とちっぽけな存在だ!!」


と頭がちょっとイってしまっている。ヤツは宗教の教祖になればいいと思う。

「こわっ」と思ったそこのあなた。安心してください。一晩寝れば元に戻ります。


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