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『自慢じゃないけど、優さんに何かあったら俺生きていく自信ないからね?』
いつか律はそう言っていた。開き直りでも冗談でもなんでもない。
本当に、心から慕っている。
まだ二十代半ば過ぎた位の優に、色々と背負わせてしまったのだとも、言っていた。
『例えば?』
『俺』
俺の存在を、と自身を憎むかのように吐き捨てて笑った律の顔は、きっとその時蓮がしていた顔と同じだったんだろう。
蓮だって同じことを思っている。
子どもの……まだ十を過ぎた位の自分だって、優に負担を強いていることがたくさんあったと、まだまだそれを増やし続けてしまうのだろうと言うこと。
そして悔しいかな、悪魔を『散らす』ことには力になれても、自分や律がある限り……増やすことや重みを与えることにはなっても減らすことや軽くすることは出来ない。
律は常にそれを気にしていて、蓮もまたそれを気にしていて。
優くらいの年なら…………蓮にはわからないが、きっと年相応の楽しみがあったはずなのに。
「んー?大丈夫大丈夫。優さん割りと丈夫だから」
艶やかにとろりと笑った優はそんなそぶりを全く見せない。恐らく蓮や律が引け目に感じていることを考えたことすらないのだろう。
ぽん、と頭に包むその手は、いつも穏やかに満たしてくれて涙が出そうになる。
愛されているとは、こう言うときに使う言葉なのだろうか?
私は貴方を愛しているのだろうか?
そもそも“愛”とはどう言うもののことを言うのだろう?
最近はそう言うことを考えることが多い。
わからなくて、頭が痛くて
いつもこの手に甘えてしまう。
仔猫のように目を細め、すり……と蓮は撫でてくれているその手に自ら頭を擦り寄せた。
お?と優しげな声音が……喩えるなら強すぎる日から守ってくれる木陰を思わせる声が笑った。
と、同時にキッチン端にある黒い電子レンジが、ちん、と鳴った。
それもまた、優と言う保護者がくれる愛情のひとひら。




