中二と逃げ方
よく晴れた日。帰り道でだらだら歩いてだらだら睦月と雑談。
「そーいや、この辺よくカツアゲがあるんだってさ」
「ふ~ん」興味なさそうな睦月はまたなんのかっこつけなのか文庫本を読みながら俺の隣に歩く。
「でもさ、カツアゲに遭遇する確率なんてそうそうないよな~」
「まったくだ」
「よー。そこのお二人さん」噂をすれば何とやら・・・。マジかよ!?三人ほどの見るからにガラの悪そうな男子が俺達の前に現れた。ちょっ、ないわ~。
「俺達さ~、ちょっと財布落としてこまってんだわ。金貸してくれる?」俺達のにじり寄ってくる不良三人。ちょっ、近づくな。くっさ!タバコくっさ!?
「財布落としたんっすか~。警察ならそこの角曲がって」
「あぁっ!?いいから金出せって言ってんだよ!?」ボケた俺は不良に胸ぐらを掴まれた。
俺は反射的にガン付けた。胸ぐらを掴む力が弱まる。
「オラッ、テメーもすかしてねーで金出せ」睦月に絡む二人の不良。睦月は文庫本を鞄に入れた。不良は次に鞄が出てくるのは睦月の財布だろうと思ったに違いない。でも、睦月の鞄から次に出たのは短銃だった。不良は一瞬ひるんだ。
「フッ・・・なんて調度良い時に来てくれたんだ・・・。オレの中の悪魔も求めていたところだ・・・。お前達の血をな!」
「そ、そんなおもちゃ向けて何バカなこと言ってやがる。コイツマジ頭おかしいんじゃねーの!?」
「おもちゃかどうか・・・試してみるか・・・?」睦月は短銃の引き金に指をかけた。
「たーすーけーてー!!不良におーそーわーれーるー!?」睦月が不良の気を引いてる間に俺は大声で助けを呼んだ。すぐに人がたくさん来て、警察も来て、俺達はカツアゲグループを現行犯で通報(?)したので表彰された。
不良は睦月の短銃のことを喚いたけどそれは当然モデルガン。しかも弾さえ入ってないやつ。
俺は不良達におもちゃを突きつけて、あたかも本物を持ってるみたいに振る舞った睦月は本当に肝の据わったやつだなんて思った。まぁ、中二って時々すごいね。