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初クエスト


初クエスト



やっと辿り着いた初めての村なのに、入口に立ち塞がった強面のお兄さんたち。



「確かに俺たちはよそから来ましたけど、悪者ではありませんよ」


俺は誤解を解こうと必死になる。  なにしろ食事にありつきたい。



「ふん。 悪者は自分の事を悪者だなんて絶対に言わないぜ」


「ほんとうです。 信じてください。 もう腹ペコで一歩も動けそうもないです」


「あいにくだが、お前たちに食べさせる食料はない!」


「そ、そんなぁ・・」


それを聞いて力が抜け、俺はその場にへなへなと しゃがみ込んだ。



「わたしは以前この村を訪れたことがあります。 そのときには確か美味しい食堂があったかと記憶しています」


そうか。 ティアナはこの村は初めてじゃないんだ。



「半年ほど前からこの村の周辺には、ファイアウルフの群れが棲みついていて、物流がストップしているんだ。

 だから食材が村に届かない。 村の者が食べるだけでも精一杯だ」


強面お兄さんは、苦々しい顔をしながら視線を落とした。



「でも、俺たちはここに来るまでに、魔物なんて一匹も遭遇していませんよ」


「それはジャビン山脈を越えてきたからだろ。 向こうは一の塔の守護者が遠征討伐をしたばかりだからな」


「なんだ。 そうだったのか・・」



「ある意味運がよかったのじゃないか。 悪い事は言わない。 また魔物が戻ってくる前に引き返した方がいい」


「でも腹が減って動けないんだよ~」


「ないものは仕方ねぇだろ」  お兄さんは取り付く島もない。



「ならば、わたしたちがこのチャベル村から次のマルデン村までの間の魔物を討伐するっていうのはどうかしら。 報酬は夕食付きの宿一泊で」


おっと、いきなりティアナが交渉しはじめた。



「ははは、お前たちがか?  まさか食い逃げでも企んでるじゃないのか」


「では、これならどうかしら!」


そう言うとティアナは、光り輝く杖を出現させ、いきなり俺たちがやって来た方にある小さな山に向けて火球を放った。


カッ  ドオォォーーン 



辺り一面が真っ白になったと思った次の瞬間、轟音とともに山の中腹に大きな穴が開いた。


「すげぇ、トンネルが出来ちまった」 俺は初めて見る女神ティアナの力に度肝を抜かれた。



「も、もしかして・・ あなたは女神さまでしょうか?」  男たちは態度を急変させ、恐る恐るティアナに話しかけてきた。


「まあ、そんなところね♪」  ティアナはニッコリ微笑みながら男たちを見つめる。


『これは・・ 無言の圧力ってやつか』


「それで、さっきの提案なんだけど、どうかしら?」


「はい、そりゃあもう・・  ぜひお願いします」


「やったね一樹くん♪」  


こうして俺たちは、夕飯とベッドの上での快適な眠りをゲットしたのだった。




第八話(レベル1の冒険者)に続く


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