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本物の女神様



本物の女神様



俺は自分の部屋に戻ると、さっそくスマホの電源を入れた。


アプリは起動したままだったが、女神様は鼾をかいて眠っていた。


「このひと本当に女神なのかよ!」 俺はちょっと幻滅する。


その顔の部分をトントンとタップしてみる。


「う、う~ん。  あっ、戻って来たのね。  どぉ、ちゃんとカツカレーだったでしょ!」


「あ、あぁ。 でもさ、たまたま当たったんじゃないの?」


「まぁ、疑り深い人間ね!」 女神様の顔はまた少し怒り顔になる。


「人間って・・  俺の名前は一樹かずき。 斉藤一樹だ。 一応登録しておいてくれる」


「登録って何よ? まだ信じてくれないの?」 だんだんプンスカし始める。




「ま、まぁ 信じてもいいけれど・・  まだ30%ってところかな」


「ひっくっ!  何でそんなに低いのよ」


女神様の表情がころころ変わって面白くなって来る。



「だってさ、カツカレーが当たったくらいで本物とか信じられる?」


「いいわよ! なんでもやってやろうじゃないの!」


もう売り言葉に買い言葉である。



「一樹君は、わたしがいったい何をしたら、本物の女神だって信じてくれるのかしら?」


女神様はスマホの中から俺に向かって、ビシッと人差し指を向けて来る。


「う~ん  そうだなー  あっ、そうだ。  俺をいじめて来る立木や森下を何とか出来たなら信じるよ」


「まあ、一樹君っていじめられてたの?」


「悪いかよ」


「別に悪いなんて言ってないでしょ。 それじゃ明日、このスマホでその子達の写真を撮ってくれる」


「いや、明日はこのスマホを交番に届けに行くから無理」


「ちょっと。  落とし主はわたしよ!  わ・た・し!  交番になんて届ける必要なんかないわよ」


揶揄っているうちに、だんだん面白くなってくる。




「わかったよ。 やってみるよ。  でもさ、なんで女神様がスマホなんて持ってるの?」


するとスマホの中の女神様の目が急に泳ぎ始め、落ち着きが無くなって来た。


「まあ、流行には乗り遅れるなってところかしらね」


『これは絶対に嘘だな』  ←『』内は心の声



・・・

・・



次の日、俺はこっそりと立木や森下たちの写真を撮影した。


ピンクのスマホは、やつらに取り上げられるといけないので、念のためシャツとズボンの間に挟み込んだ。


そのあと、教室に向かう途中で、立木グループのボスとすれ違ったが何事もなかった。


昨日ダッシュで逃げたので、ほんとうならボコられているところだけど、これってやっぱり女神様の力なのだろうか?


放課後の待ち伏せもなく、平和な一日が過ぎて行く。



家に帰って女神様にお礼を言うためにスマホの電源を入れて気が付いた。


電池容量が5%しかない!


「ヤッバッ  充電しなきゃ。 え~と、ケーブルはタイプCかな?」


俺はスマホをクルッっと見回すが、充電口が見当たらない。  もしかしたら置くだけ充電専用なのか。


だったら、家にはワイヤレス充電器なんてないぞ。



慌てて女神アプリを起動すると女神様はドヤ顔で現れた。


「あのさ、充電・・」


「ティアナって呼んで!」


「えっ、 あ、あぁ  ティアナさま。  このスマホってどうやって充電すればいいの?」


「んっ?  充電って?  ああ、これは充電しなくても大丈夫だから」


「だって、もう残量5%しかないんだぞ!」


「大丈夫よ。  0%でもちゃんと動くから。  なんならマイナスでも問題ないわ」


「なんだよそれ」


「それはアレよ。 アレ。  そう電池残量に見えるだけの別ものなの」


『なんだか怪しい・・』  ティアナの表情で動揺しているのが明白に分かる。



「そ、それより いじめは無くなったんでしょ。 これでわたしが本物の女神だって信じてくれるわよね」


「うん。  そのお礼を言おうとして電源を入れたんだよ。 そしたら残量が・・  あれっ?」


さっき5%だった電池残量が7%になってる!  いったいなんで? 


ティアナが充電不要って言うのだから大丈夫なんだろうけど、いったい2%はどうして増えたのだろう。



「ちゃんと言って。  ティアナを本物の女神と信じ崇めますと」


「うん。 わかった。  自分はティアナさまを本物の女神様として信じ崇めます」


「よろしい。 ではこれで契約成立ね」



「契約って・・・ うわーーー  やっぱり怪しいアプリだったのかぁーーー!!」




第三話(ティアナの秘密)に続く


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