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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
世界樹の木
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83

初めにありきは世界樹の木。

それは天高く宙にも届かんばかりの世界の木なり。

母なる世界の木にして生命の始まりの木。

世界樹の木より()ずるは創世の男神と女神。


創世の男神は世界樹の陽より、女神は世界樹の陰より生じた。

互いが対極に位置する者だったせいか、互いが互いを強く求め、二人は惹かれ合う。

世界は二人の為にあり、祝福の中二人の世界は永遠に続かと思われた。


永遠にも思われる二人のみの世界が続いた後、世界を統べる神々が創世の女神から生まれた。

それは世界が二人の想いに答え、それぞれがそれぞれを愛する分身を求めた結果である。


始めに大地、海、風の3神が生まれ、その後季節を司る神が生まれ、世界は少しずつ形成されていった。創世期は世界樹の木が世界を優しく照らし、まだ世界に昼と夜の堺は無かった。


創世の女神から最後に生まれるは男女の光輝く双子神。

後の太陽神と月神である。


創世の女神と男神が互いを強く想い合った結果、生まれたのが双子神、太陽神アデルシオ、月神アデルシアと言われている。


だが、後の人間に神話では語られていない物語があるのは神々だけがしる真実である。




今は誰も口にすることのない、時の彼方に忘れ去られた一神がいるのは、世界樹の木のみが覚えている。

その姿は創世の女神の母神に瓜二つであり、まさに双子と言われても納得できるほどであった。


その一神は、己が母神に瓜二つでありながら、父神に母神のように愛されないことに不満を持っていた。自分にも愛される権利があるのだと、間違った考えに捕らわれ、それはあたかも妄執のようにいつしか凝り固まっていった。


「姉さま、父神様の事をそんな眼差しで見てはいけないわ。」


心配そうに声を掛けてくる妹へ無言の圧力をかける。

妹はぴくり、と両肩を震わせたが目線を逸らすことはなかった。

そんな妹へ私は口角を上げて口を開く。


「お前は心配性ね。私はあくまで娘としての愛情を欲しているのであって、お前が心配するようなことではないわ。」


創世の男神と女神の長子と生まれた自分には、他の弟妹神よりも力があり、創世の力に溢れている。そんな己に片割れとなる神がいないことが不満だった。自分にも父神様のような存在が必要であるといつしか信念にも似た思いを持ち始めていた。


他に神力、魅力にあふれた存在があれば、違う方向に目が行ったのかもしれない。

だが彼女の周りにはそういう存在は無く、生まれたばかりの人間たちを育てるという慈しみの心も彼女にはわかなかった。



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