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後から後から涙を流すセイラを見守っていたアイラだったが、セイラの体が柔らかく発光しだしたのに気づいた。それはあっという間の出来事で、見る間にセイラの体は眩しい光に包まれ強い光を放った。 そして光が収まった後、セイラの前には可愛らしい小竜が首を傾げて佇んでいた。
「キュッ。」と小首をかしげるしぐさがなんとも人間くさい。
自分の出した声に驚いたのか、目を瞬いている。セイラははっとした表情を浮かべ、小竜を見つめた後、「アルダ様?」と呟いた。
小竜は嬉しそうに「キュキュッ」と声を出すと、セイラに抱き着いた。
それはまるで自分がアルダだと気づいてくれたセイラに喜んでいるかのようで。
「アイラ! アルダ様が小竜になっちゃった!!」
驚き慌てるセイラにアイラもどう答えて良いかわからずおろおろしてしまう。
そんな二人に青年はくすりと笑ったあとパチンと指を鳴らした。
「元は人間なのだから、言葉が通じないと不便だろう。」
小竜がきらきらとした透明の光に包まれた後、「セイラ?」と人間だった頃のアルダの声がした。
「ア、アルダ様?」
恐る恐る声を掛けるセイラを心配そうに見守るアイラだった。
「本当にセイラなのね。また会えて嬉しいわ。」
小竜の目に涙、いや巫女姫アルダの目に涙が浮かんでいた。
しばらく見守っていた青年とアイラだったが、二人が落ち着いたところでテーブルへ誘った。
巫女姫アルダは小竜なのでテーブルの上にちょこんと座る。
「なんだかお行儀が悪くて恥ずかしいわね。」
と、短い手を頬にあて恥ずかしそうに言うアルダに、アイラが撃ち抜かれて悶えているのを
セイラは横目に見ながら心の中で同意する。巫女姫アルダはとても気品のある女性だったが、今はなんとも愛らしい。
小竜がそもそも可愛い存在なのだが、アイラが中にいる事の相乗効果で愛らしさが倍増している気がしてならないセイラだった。
セイラは姉のアイラにアルダは自分がいた未来の世界での巫女姫である事を告げた。
セイラにとってアルダは実際には血縁関係は無いが、親戚の姉のような存在である事を。
アルダとセイラは目を合わせにっこり微笑みあう。
生れて数年の小竜では有り得ない深い眼差しで小竜こと巫女姫アルダがセイラを見つめていた。
「ところでセイラ」
隣のアイラがセイラの両腕の上腕部を、がしっと掴み視線を合わせてきた。
セイラはいつものアイラらしくない行動にびっくりしつつ返答する。
「な、なぁに?!」
逃がさない、という意思表示なのかアイラの腕には力がこもっていた。
青年はこの後の展開がわかるのか、苦笑を浮かべている。
「あなた、記憶が戻っているわね!?」
「え? あ――――――っ!!」
セイラの声が遠くまでこだました。




