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場所は変わって、同じく女神に飛ばされたカイルとカインは神代の竜騎士に指導を受けていた。
飛ばされたのが神代の竜騎士隊長の目の前で。
そしてそこには何故か未来のアイラの夫となるエドと友人のランセル、そして王太子のローレンスもいた。
「俺たちは一瞬前まで辺境警備隊の砦にいたはずだが・・・ここは何処だ?」
ランセルの言葉に肩をすくませ降参のポーズを取るエド。
「私は執務をしていたのだが・・・呼んだのはお前か、カイン?」
とカインに向けて確認するのは王太子のローレンスだった。
「5名も寄越すとは女神も大盤振る舞いだな。それとも未来にそれだけの難事が待ち受けているのか。」
竜騎士隊長は独り言ちると指で顎を擦った。
「まぁ、何れにせよ。女神の期待に応えないとな。君たちを出来るだけ短期間で鍛え上げるとするか。」
それはそれは良い笑顔で竜騎士隊長は言った。
「は? 何を言っている? 王宮に戻らないと。」
「え? いや、俺らは警備中で。」
戸惑う3人に竜騎士隊長は笑顔で答える。
「心配するな。君たちは今神代にいる。つまり神話の時代だ。いくら鍛錬の期間が延びたとて、
君たちがいた時間に間違いなく戻してやる。 しっかり鍛えてやるから安心しろ。」
竜騎士隊長の言葉ににやりと口の端を上げたのは、エドとランセル。
「伝説の竜騎士に鍛えてもらえるのか?」
「なかなか楽しい事になってるじゃないか。」
(二人はそもそも元々騎士だからいいかもしれないが、何故私まで! 全然安心できない!)
王太子ローレンスは心で叫んだ。顔に出ていたのか、そんなローレンスの肩を叩くのは息子のカインである。
「諦めてください。女神様命令です。」
カイルはそんな二人のやり取りを見つつローレンスに同情をせずにはいられなかった。
カイルとカインはしばらく竜の谷で竜達から指導を受けている。
だがローレンスは受けていない。 エドとランセルはそもそも騎士であり、規格外と言っていいほど剣の腕が立つ。女神に選ばれたのも自然な流れだと思う。
(まぁ、ローレンス様が選ばれたのが不思議だとしても、女神様が選んでここに飛ばした時点で、選択の余地はないんだろうな・・・)
そうして5人は同じ竈の飯を数年一緒に食べる事になる。




