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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
世界樹の木
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カイン達が戻って来るまで女神(母親)と一緒に待つことになったちび太陽神である。

小竜達は女神の指の一振りで元の世界(親元)へ帰された。

彼の心の内を考えるに早く戻ることが何よりものプレゼントになるであろう事は間違いない。


*********************************


自分の生まれた過去の世界に戻ってきたことによって、セイラは時の輪の乙女としてどんどん知識と理解を深めていた。また、失っていた記憶を取り戻したことによって、未来での家族の愛情を、また祖父母,

伯父と信じていた人たちが自分の両親であり、兄である事を知った。

時の乙女として数奇な運命を辿ってはいるが、自分は幸せなのだと心から思う。


今も乳白色の世界に放り込まれてひたすら前に進んでいるが不安はなかった。

隣には生まれる前から一緒のアイラがいる。アイラも自分が過去に戻ってきたことによって、

月の乙女という事がわかり、己の存在を月の乙女として理解し始めていた。


「アイラ、ここどこだと思う?」


「女神様に飛ばされたのだから、変なところではないと思うけれど。何処かしらねぇ?」


そういうとにこりと微笑んでセイラを見た。


もともとどこかおっとりとしたアイラだったが、最近は肝も据わってきたように思えるセイラだった。

自分も大概だが、姉のアイラも規格外の貴族令嬢だと思う。

(まぁ、こんなに頻繁にいろんな事に巻き込まれている貴族令嬢もいないけれども。)

そんな事を考えているセイラだったが、自分はもっといろいろな事に巻き込まれている事を忘れているあたり、アイラよりも肝が据わっているのかもしれない。いずれにせよ、似たもの姉妹である。


どれくらい歩いただろうか、いつの間にか乳白色一色だった世界に違う色が差し込んできた。


そして目の前には大きな、それは大きな天に聳え立つような一本の木が立っていた。


「「世界樹の木?」」


二人は天を見上げるようにその木を見上げた。

神話の時代以外に世界樹の記述はない。だが、こんな大きな木は世界樹以外にあり得ない。


「その通り。この木は世界樹の木だよ。」


木の陰から声がしたと思ったら青年が出てきた。

自分達だけだと思っていたアイラとセイラは驚く。そこには柔和そうな黄金の髪に黄金の瞳の青年が微笑みを浮かべつつ立っていた。容姿は女神のように整っているのだが、彼の雰囲気が前面に出ているせいか圧倒される美が優しい雰囲気で緩和されている。


「驚かせてしまったようだね。 君たちは久しぶりのお客さんだったのでね。嬉しくてついこちらから出向いてしまったよ。」


「私はアイラと申します。隣は妹のセイラ。私は月の乙女、妹は時の輪の乙女と言われています。」


二人は名乗ると目上の者に向けての淑女の礼をする。


「かしこまらなくても良いよ。君たちを歓迎しよう。」


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