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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
ディア歴530年 竜の谷
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場所は変わって神殿内。


そこは静謐な世界で、クリスタルがきらきらと輝いていた。真っすぐに伸びる回廊の横の支柱には細かい模様が彫られている。それらは等間隔に長く連なっており神殿内の広さを物語っている。細かい模様には文字も含まれているようだが、それが何語なのかカインたちにはわからなかった。

神代の文字だろうか?


一行は中央にある回廊をまっすぐ進む。

何故か無口になっている太陽神が気になるが、話す気はないらしく太陽神は口を噤んでいる。

カイルとカインは目を合わせて確認するが、お互いに太陽神が無口になっている理由はわからなかった。 神殿内の奥に辿り着いた時、さらに奥の壁に沿って置かれている台座の上に置かれている棺があった。


「棺?」


カイルとカインが棺に近寄り、ガラスのような透明な棺の中に横たわっている女性を見つけた。

その女性は目を瞑っており、一見では生きているのか、死亡直後に保存の魔法などがかけられたのかわからなかった。

瞳の色はわからないが、美の女神と言われても信じてしまう美貌、それは太陽神を彷彿とさせるもので。黄金の豊かな髪が華やかな美貌に神秘さを増している。

不躾に見つめてしまった事に恥じ入るが、目が離せない。

引き寄せられるようにカイルとカインが顔を近づけた時、その女性の目が開いた。


「「!!!」」


突然の事に驚いた二人だったが、それよりもさらに驚いたのは、カイㇽとカインの後ろから顔を出していたアイラとセイラだった。


「「わっ」」


声を出した後、腰が抜けたのか床に座り込みそうになるのを小竜達が二人を支え、辛うじて床に座り込む前に支えられていた。

皆の驚きを他所に棺の蓋が開き中の女性がゆっくりと起き上がった。小竜達に支えられているアイラとセイラはその女性を見上げる形になる。


その女性の眼は透き通るような新緑色で中にきらめく金色の光彩が入っていた。

そこには圧倒的な美があった。

女性は広げた両腕を太陽神アレクシオに向けた。太陽神はと言うと引き寄せられるのを拒むように柱に縋りついているが、女性は口元を綻ばせて言葉を紡ぐ。


「愛しいアレクちゃん、こちらにいらっしゃい!」

 

女性の言葉にその場にいた全員が目を瞠る。太陽神は見た目こそ7歳児だが、神話などには大人として描かれている。また本人も事情があって子供の姿で人間界に顕現していると言っていなかったか。


「断る!!」


静謐だったはずの神殿内にちび太陽神の声が響いた。


長く続くと思われた攻防は女性が紡いだ言葉であっさりと終息した。


「アレクちゃん、お母様にご挨拶は? 早くいらっしゃい!」


見えない力が働いているのか柱に縋り付いているちび太陽神の姿が一瞬で消えたかと思ったら、次の瞬間にはその女性の腕の中で抱きしめられているちび太陽神アレクシオがいた。


絵づら的にはとても良い。美貌の女神が7歳の子供を抱きしめている。が、精神的に成長し、姿だけ子供の男性もとい男神が人前(ここでは人間になるが)母親にあやされる様に抱きしめられるのは拷問ではないだろうか・・・とカイルとカインは思った。が、懸命にも言葉にはしなかった。

思考が繋がっているカインの思考を読んだのか、恨みがましい視線がアレクシオからカインに注がれるが、カインは目線を逸らした。


「ご機嫌斜めでちゅねー。良い子良い子してあげるからご機嫌直してねぇ!」


ぎゅうぎゅうと女神に抱きしめられ、頬ずりされているちび太陽神改め太陽神アレクシオがいた。

そこにいた全員は、小竜達も含めその光景を目にし固まった。



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