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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
ディア歴530年 竜の谷
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今日も今日とてアイラとセイラの長との授業が終わった後、小竜達がまだかまだかと横穴の外で待ち構えていた。

今日は小竜達のお気に入りの遊び場に連れて行ってくれるらしい。

長のいる横穴からしばらく下ったところに小さな横穴があった。

一頭の小竜が迷いなくその中に駆けていく。

先頭の小竜に続くように次から次へと横穴に入っていく。

最後の小竜がこちらに顔を向けて、『早くおいでよ!』とアイラとセイラを促した。


「いろんな横穴があるのねぇ。」

「小竜達は穴の中で何をして遊ぶつもりかしら。」


二人は思い思いの言葉を紡ぎながら小竜達に続いた。


しばらく横穴の中を歩いていると奥に大きなスペースのある場所に辿り着いた。

そこは上の岩盤の切れ目から日の光が入っており明るかった。

切れ目は大きなもので、水も流れ落ちて来ていて滝になっている。

太陽の光に落ちてくる水が七色に反射してとても奇麗だった。


小竜達がわらわらとアイラとセイラに近づいてきて

『この滝の下で僕たちを浮かせて! お手玉して!!』

と頬を摺り寄せてくる。

隣でアイラが悶えている。小竜達の可愛さにスイッチが入ってしまったようで、やる気満々だ。


「可愛い!! 可愛いわ!! アイラお姉さまに任せておきなさい。」


そしてセイラを見ると、「貴方も一緒に小竜達と遊びなさいな!」と嬉しそうに告げた。


言われたセイラはぽかんと口を開けた。


「え?」


驚いたセイラだったが、今日はドレスではなく剣の練習などをする時と同じ男性用の装いをしていたので、「ま、いっか。」と同意した。


そして様子を見に来たカイルとカインが童心に戻って小竜達と遊んでいる姿を目にする。


「やっていることは成人した女性のする事じゃないな。」

右手のひらを額に当てて上を仰ぐカイル。

「まぁ、小竜達含め皆が楽しそうだから良いんじゃないか?」


「そうだな・・・アイラ、お前も一緒に混ざって遊んで来い!」


「お兄様?!」


そういうとカイルは魔力操作をアイラから引継ぎ、アイラを宙に浮かせ小竜達とセイラのところへ飛ばした。


そうしてアイラは期せずしてセイラと小竜達に交じって空中浮遊をしながら滝の水浴びをするという、成人女性では考えられないような遊びに混ざった。


「アイラ!」


セイラが嬉しそうに手を伸ばす。

アイラとセイラが向かい合って両手を伸ばしつつ手をつなぐ。

その二人の腕の間を下から上へ小竜達が楽しそうにくぐってゆく。

その楽しい遊びはしばらく続くように思われたが、急に滝の水が光りだした。


「!!」


気づいたカインが二人に向けて駆けだす。


「セイラ!」


手をつなぎ合っているアイラも気づき声を上げる。


「アイラ!」


そうしてセイラの視界は光に呑まれた。


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