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澄み渡る青空。
大きな影が地面に差したと思ったら、それは早いスピードで南の方角、自分たちが滞在している宿の方へ向かっていた。
カイルとカインは空に向かって顔を上げ、赤竜の存在に目を見開く。
それは大きな赤竜だった。
「嫌な予感しかしないな!」
「同感だ!」
二人は頷き合うと全速力で宿の方へ走り出した。
幸運にも王太子は王都へ立った後だったので、この騒ぎに巻き込まれなかった。が、追ってこの騒ぎも耳に届くのだろうな、とカインは口の端を上げた。
二人は騒ぎの中心にアイラとセイラの二人がいる事を確信していた。
「早く二人を回収しないとな」
「そうだな」
二人が聞いたら抗議しそうな言葉を使っているが、カイルとカインの認識は同じだった。
ここ最近の二人のやり取りは未来でのアレクとカインに近いものがあるのだが、まだカインは気づいていない。
カイルとカインが宿にあと数分で辿り着く、という所で宿屋の一角が壊されるのを見た。
赤竜の鋭い爪に周りの人間たちが騒然となる。
腰を抜かして動けなくなっている者、逃げ出す者、何とか襲われている者を助けられないかと機を伺う者。
嫌な予感はとても当たるもので、襲われた部屋には自分たちの良く知る人間がいた。
後一歩という所で、二人は赤竜の腕に抱えられて飛び立ってしまった。
魔法で飛んで追うか、他の手で追うか二人が悩んだ時、声が後ろから掛けられる。
(我の背に乗るが良い)
いつ飛んできたのか白竜がいた。白竜の背には太陽神と精霊姫と妖精が当たり前のように乗っている。
「遠足じゃないんですよ!」
それぞれの手にお菓子やらサンドイッチやらが入っている箱が握られている。
「腹が減っては戦は出来ぬというであろ。」
「安心して。 二人の分もあるわよ。」
カイルは右手の平を顔に当て項垂れている。
カインは少しだけ彼より人外の者と付き合いが長いので、人間の常識がたまに全く通じないのを知っているせいか、諦めの境地である。
目の前で大切な者たちが攫われたのだが。
この緊張感の無さは何なのだろう。
待ちくたびれたのか、白竜が早く乗れと声を掛けてくる。
カイルとカインは白竜の背に飛び乗った。
ちび太陽神は二人に顔を向けると笑顔で声を掛ける。
「安心しろ。二人は無事だし、行先は把握している。」
太陽神の声を合図に白竜は空へ飛び立った。
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