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カインとセイラが光の柱を通って元の世界に戻った途端、アイラが抱き着いてきた。
「セイラ!! カイン様!!」
ぎゅうぎゅうと力強く抱きしめてくるアイラにセイラが根を上げる。
「アイラ、苦しいって」
苦笑いしながら答えると、セイラを見るアイラの目には大粒の涙が光っていた。
それはぽろぽろと止めどなく流れアイラの頬を伝い、セイラを驚かせた。
「貴方は、貴方は本当に!!」
泣き笑いのアイラは怒ったような声を出しつつも、ささやきのような声で言葉を紡ぐ。
「貴方が無事で本当に良かった」
兄のカイルも涙ぐむアイラごと私を抱きしめる。
後から自分の体が氷の中に閉じ込められていた事を聞いたセイラは、心配をかけて心から申し訳ないと思ったのだった。兄のカイルも深くは語らないが、とても心配をかけてしまった事だろう。
外からみると良い大人が何をやっているのか、と思われるかもしれない。
ぎゅうぎゅうと抱き着く二人の重みに傾ぐセイラをカインが支えていた。
そこにさらに精霊姫と妖精たちがセイラ達に群れる。
「「アイラ! セイラ!」」
元の世界に戻ってすぐにアイラが抱き着いてきたので、注意が向いていなかったが、名前を呼んだ精霊姫と妖精たちの方に顔を向けたセイラは元の世界の景色に目を瞠る。
「え!?」
見間違いだろうか。いや、私の視力が急激に悪くなった?!
自分の目が信じられなかったセイラは何度も目をぱちぱちとさせる。
目の前には前とは見違えるほど輝いている泉があった。
燦然と輝きを放つその泉は、今にも神々が降臨してもおかしくないと思わせる静謐さを讃えていた。
しかもどこから集まって来るのか、続々と精霊や妖精たちが集結してきている。
皆嬉しそうに踊ったり、笑ったりしている。 風の流れに身を任せて揺蕩っているのは風の精霊と妖精だろうか? まるでお祭りである。
「太陽神、こちらの世界に戻してくださってありがとうございます。」
礼を言うカイルに太陽神は答える。
「いや、礼を言うのはこちらの方だ。我らの仲間が作り出した世界から哀れな魂たちを救い出してくれたこと、感謝する。 言い訳になるが、あれは神の手を離れた空間だったので、我らには手が出せなかった。」
そして一同は神の横に女性が立っていることに気づく。
その女性はセイラに助けを求めた女性だと思われるが、印象が全くと言っていいほど違っていた。
「貴方は・・・」
セイラが呟くと、女性は首を垂れた。
「私は水の精霊レインティーヌ。 貴方には心からの感謝を。」
そういったレインティーヌの周りで光が幾重にも弾けた。
ここは人間界のはずよね??
セイラが大きく目を見開いている隣で、アイラも同じ状態に陥っていた。妖精の目を持つ二人には世界がとても眩しい。いや、訂正しよう。眩しすぎる。
ふと気になってセイラは兄とカインに尋ねる。
「兄様、カイン様、私とセイラにはこの世界がとても眩しく映っているのだけど、兄様とカイン様にはどう見えていますか?」
「同じだよ。とても眩しい。」
「あぁ、とても眩しく泉が輝いている。」
二人は眩しそうに泉を見て言う。
「ここにすごい数の精霊や妖精が集まってきつつあるんですけど、それは?」
二人は残念そうに首を振る。
「それは・・・見てみたいな。」
「あぁ、俺たちには泉がとても輝いているのが見えるだけだ。泉の精霊は見えているがな。」




