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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
ディア歴530年 妖精と妖精の加護
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カイルとカインが語り合っていたころ、隣の部屋ではアイラとセイラが二人、

横並びに長椅子に座り空中を凝視していた。


「セイラ・・・」

「アイラ・・・」


二人は自分の目を疑っていた。


「夢を見てるのではないわよね?」

「目の前に視えるはずのないものが見えるって言いたい?」

「ええ、そうよ!」


二人の会話にセイラの肩に乗っていたリラが軽い笑い声をあげる。


「二人とも寝ているわけではないわよ。妖精の加護により妖精が視えるようになったのよ。

時代を経て、私たちが実体化できるほど魔力が満ちた世界じゃなくなった所為で実体化できる妖精が少なくなってきているけれど、私たちは存在しているわ。」


二人の目の前には気持ちよさそうに風に乗る妖精が視えている。風の妖精だろうか。

部屋に飾られている薔薇の花の横には可憐な薔薇の形を模ったドレスを着ている妖精がいる。

この子は薔薇の妖精だろう。

きらきらと空気中で光っているのは空気中に漂う微量の魔力だろうか。

とても幻想的で飽きずに眺めてしまう。



そうしてアイラとセイラはお互いを見つめ合い、おでこをくっつける。

「私たちって本当に双子なのねぇ。」

としみじみと感想を述べるのはアイラ。

姿形が似てるのは当然としても、自分たちの魔力がこんなに似通っているとは。

妖精の目を持つようになったからか、魔力を使わない時も体に沿って流れる魔力を見ることができた。その色や輝きがとても似ているのだ。しかも親和性がある。

お互いに魔力が交差しても反発しない。ただひたすらに暖かい。


「これで恋愛の相性も見れるかしらね?」


アイラは「自分の将来の旦那様を見つけやすくなったかしら?」と首をかしげる。

その言葉にセイラはどきんっと胸がはねた。

自分が頭に思い浮かべたのは金色の彼で。

年齢差とお互いの立場を考えると自分は未来で妹的存在だったのでは・・・と思ってしまうのだけれど。

アイラはセイラの顔の変化に思うところがあったのか、くすりと笑う。

「貴方にはもうその相手がいそうだけれど。」


セイラはアイラの言葉にうっすらと頬を赤くする。

ほんと、私の妹が可愛すぎるわぁ。とアイラは苦悩する。

未来で二人がどのような関係だったのかは想像するしかないが、恋人未満だったとしてもくっつくのは時間の問題だったのでは?と思うアイラである。

セイラ本人は気づいていないようだが、たまに目が彼を無意識に追っている。

いつ自分の気持ちに気が付くのやら、妹の鈍さ加減に苦笑してしまうここ最近である。

いや、このじれじれ感も堪らないんだけれどね。

それに何より、相手のカイン様がねぇ。とアイラの目が遠くなる。

セイラを見る時の目と表情ったらねぇ。

胸やけがしてきたわ・・・。周りにはばればれなのにねぇ。何でこの二人、気が付かないのかしら。やだわ、あの表情を向けられて気づかないセイラってやっぱり鈍いのだわ。


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