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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
ディア歴530年 妖精と妖精の加護
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カイルとカインは明日の出発の前に王家の方々に挨拶をするとの事で、太陽宮へ向かった。

帰りに旅に必要な物も買うとの事で帰宅は夕食に間に合うかどうかといった時間か。


アイラとセイラは侍女が旅支度を整えてくれるとの事で、東方向に何かないか図書室で調べ物をすることになった。

持ち歩き用の地図は侍女が持たせてくれるので心配ないらしい。

亜空間ポシェットを作った先人の魔導士に対して感謝してもしきれない。

荷物を沢山持って行っても嵩張らないし重くないのである。

魔道具という事で当然値は張るが、そうそう壊れる物ではないので、最近では裕福な商人なども持っており将来的には中流階級にも普及していくだろうと言われている。


「セイラ、この本はどう?」


図書室で地図などが置いてある本棚からアイラが物色し図書室内にある机に持ってくる。

セイラも本棚を物色していたのだが、止めて机の方へ行こうと向きを変えた。

その際一冊の本がセイラの服に引っかかり床へ落ちる。


「っと。 いけない。」


立ち止まり本を拾おうとした際、本に触った自分の手から強い静電気が発生して青白い火花が散る。


バチバチバチ!


目を丸くして驚いたセイラは慌ててアイラを見る。

アイラも目を大きく見開いてセイラと本を交互に凝視する。


「すごい音がしたけれど、痛くなかったの?」


「うん、痛くない。 驚いたけど。」


手をひらひらと振ってアイラに見せる。

ケガは無い。ケガは。


「その静電気は何とかできないの?」


ごもっともな質問である。

(うーん・・・。これやっぱり私の所為なのかしら・・・?)

今も尚バチバチと手のひらから青白い火花が発生している。

しかもこれ物理的な静電気なの?

熱さを全く感じない。


そしてふと気づく。 本が少しずつ移動してる。

動いている?

思わず静電気の発生していない方の手で押さえようとしたら、問題のなかった手からも静電気が発生した!


両手のひらから発生した静電気が床の本を救い上げ空中に持ち上げる。

と本だったものが淡い黄色の光を発して手のひらサイズの妖精に変化した。


「妖精!!」


背にきらきらと透明な羽が生えている妖精はぐっすり眠っている。

起きる様子はない。アイラとセイラは二人顔を見合わせる。


「どうする?」

「旅の前なのにまた珍しいものを拾っちゃったわねぇ。」

「拾ってないわよ?」

「セイラの才能よねぇ。」

「双子なんだからあなたにも同じ才能があるかもしれないわよ!」


同じ顔の二人の問答に後ろから笑い声が聞こえる。

いつの間にか図書室に入ってきていたお母様だった。

お母様は私たちに近づいてくると私の両手を取った。すぐに暖かな魔力が自分に流れてきたことに気づく。暖かな魔力が自分の乱れていた魔力を整えていく。

そして次に眠る妖精の目元に手をかざす。


「お母様?」


すごい質量の魔力を流しているのがわかる。

セイラとアイラはそこで違和感を覚える。

姿形はお母様なのだけれど、なんだろう、存在感がいつもと違うような。

そして二人ははっと気づく。

魔力の質が違う。魔力は個人それぞれで同じ魔力の質を持つものはいない。人の指の指紋がそれぞれ違うように魔力も違うのだ。


しばらくすると妖精の目が震え、ゆっくりと閉じていた瞼が開かれる。

それは人ではありえない、虹色の瞳で。


その瞳を確認してお母様の唇が綻んだ。


「もう大丈夫よ。」


そう言うとお母様の姿をした何者かは姿を消した。

そして図書室に響く二人の悲鳴。

午後のリンド家も騒がしかった。


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