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時の輪を越えて  作者: 伊藤しずく
ディア歴530年 ちび太陽神と太陽宮 
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結論としてちび太陽神が語ったのは、時の輪の乙女はまた時を越えなければいけなくなるという事。また、その時の為に準備が必要との事だった。時の輪の乙女の体内の力が満ちておらず、体内魔力の回復を待つ必要があった。

彼女は今回の時越えで、存在自体を危うくさせたらしい。

その回復にはどれくらいかかるのか予想がつかなかった。

記憶喪失になっているのもその影響と思われた。


ローレンスは頭を抱えた。


(16年を経てやっと戻ってきたセイラが、また近い将来離れていくという事を伝えなければいけないのか。)


セイラの両親、兄、姉の顔が浮かぶ。

苦い思いが心を浸していく。


「彼女がまた時の輪を超えるとして、今度はどの時代に飛ぶのか予想はつきますか?」

ローレンスは慎重に言葉を紡いだ。


「一番可能性があるのが、元居た未来だ。」


ギラり、とカインの目が挑戦的に輝く。


「王太子、俺はその時一緒に飛ぶつもりだ。もう2度と手は離さない。」


「お前はそれでいいのか? 元の世界に戻れなくなっても?」


「万が一そうなっても、王太子が将来時の輪を超えて戻ってきた若いままの息子に会うだけですよ」


確かに未来が不安定で滅びの危機が迫っているのであれば、十中八九未来に時の輪は開くのであろう。だがどの未来に行くかはわからない。

そしてこの王家の重い愛情を受け継ぐ未来の息子は一緒に飛ぶという。


「俺はもう見失いたくない。」


ぎりっ、と口を引き結んだ決意を込めた顔を見て、未来で過去に飛んだセイラを見失った際、どれほど苦しんだのかが察せられた。そうしてきらりと輝く腕輪。対になる意匠の腕輪はカインとセイラの手首に嵌まっていた。


「お前は、セイラの婚約者か?」


何気なく聞いた質問だった。


が。

それを聞いた二人、いや一人と一神の反応は。

ちび太陽神は大笑いし、カインはむぐっと口を噤んだ。


王太子ローレンスは目を見張る。

「まさか、片思いなのか?! それは重過ぎるだろう! 下手をしたら付きまといだぞ!!」


それからいろいろな恥ずかしい事、自分の思いやら、カインとセイラの関係を洗いざらいローレンスに吐かされることになった。


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