41
時は遡ってディア歴530年。場所は太陽宮の王太子の執務室。
「俺の中に太陽神、アレクシオがいます。」
「は?!」
王太子ローレンスは驚きの声を上げた。
「無理やり居候されてるというか。話すと長くなります・・・」
と、カインは嫌そうに宙に瞳を向けた。
そして王太子自身もカインの向けた空間に目を向けた。
先ほどまで何もなかった空間にあり得ない者を見つける。
宙に浮いている太陽神、アレクシオの精神体だった。ただサイズが小さい。
太陽神の面影はあるが、どう見ても7歳児ぐらいにしか見えない。
「言いたいことはわかるが、我は本物の太陽神、アレクシオぞ。」
びしっと人差し指を立てて主張しているが、違和感が半端ない。しかも透けている。
後ろの大鏡に姿が映ってないところを見ると、実在はしていないのだろう。
王太子はどこに突っ込みを入れていいのか、どこから話を始めて良いのか悩む。
そして、はっと気づく。
「もしかして、お前が子獅子に変化したのは、太陽神の影響か?」
カインは深く頷く。
「本来、いくら始祖返りの魔力を持って生まれた俺でも神獣への変化は無理です。」
と、疲れたようにため息をつく。カイン自身神獣への変化は嬉しい事ではなかった。
神獣に変化している時は、理性のコントロールが難しいのである。
先ほどセイラの記憶喪失に驚いて神獣に変化してしまった後、鳴いてセイラに縋った事実はいかんともしがたい事実である。ある意味黒歴史であり、誰にも見られたくなかった・・・。過去の父親には見られてしまったが・・・。カインは考えることを止めた。
太陽神が助けてくれたから、自分はこの時代に飛ぶことができた。
いわゆる恩人でもある・・・。自分自身の変化は認めたくはないが。
「カインにも伝えたが」
違和感半端ない推定年齢7歳児の容姿の太陽神が話を進める。
女性に可愛がられそうだな・・・と益体も無いことを考えてしまう。現実逃避をしたいのかもしれない。
「未来は今非常に不安定な状態だ。時の輪の乙女が存在をかけて綻びを直したが、まだ完璧ではない。」
「世界の綻びを時の輪の乙女でも修復できなかったと?」
ローレンスは眉宇をひそめた。
ちびサイズ太陽神アレクシオは、人差し指をちっちっちっと揺らす。
「それは正しくない。時の輪の乙女は歴代でも類を見ない力の持ち主だ。ただ、綻びが大きすぎたのだ。このままでは世界の終わりが来るのは見えていたのでな。我が関与する事になった。」




