30
一度死にかけたセイラであったが、翌日ランセルの部隊とは逆に北から南下してきている部隊と上手く合流できた、これで一旦両部隊は出されていた任務を遂行したことになり帰城することになった。
太陽宮に戻ったセイラはさっそくランセルの報告を受けたカインにこってり絞られた。
理不尽である。確かに自分の力不足で死にかけたけれども、死にたくて死にかけたわけでは決してない。
(まだまだ足りない。)
悔しくて知らず下唇を噛んで下を向いてしまう。
自分はまだまだ未熟で、どんなに頑張ってもカイン様や兄様に追いつけない。
年の差があるから追いつけなくても仕方ないとは思う、でもいつかカイン様に認めてもらいたいと頑張ってきた自分がいた。
「セイラ?」
普段と様子の違うセイラに戸惑ったような声がかけられる。
セイラは心の中で自分に問いかける。
いつもこんなに悩まなかったのに、何故?
ふと頭を過るのは仮死状態の時に見た光景。
カイン様に似た神様とシアと呼ばれた女神の二人だ。
まるで絵に書いたような、物語の主人公のような二人。
カイン様の横には、ああ言う大人の女性が寄り添うのだろうか。
私と違って大人で、魅力的で、スタイルも抜群だった。特に胸辺りが。
(後5年ぐらいすれば、私だって!)
と思うが、5年経てばカインもさらに大人になるわけで。
いつまでたっても追いつけない。
何故だろう。
胸がちくり、と痛んだ。
「セイラ」
もう一度呼ぶ声がしたと思うと、抱き上げられた。
思わず下を向いていた顔を上げる。
「カイン様?」
驚いて顔を上げるとセイラの頬に手を当てたカインがセイラの額に自身の額を合わせる。
「自覚していないだろう。熱があるぞ。」
熱・・・。そういえば体がだるいような気がした。
視界もぐるぐる回ってきているような気も、する。
セイラはこてん、とカインの胸に頭を預けた。
そうして呟く。
「男の人って大きい胸が良いのかしら・・・」
「セイラ?!」
セイラは知らない。
セイラの呟きはカインの耳にはっきりと届いていた。




