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「うまくランセルの部隊に入ったようだな。」
ロイドが太陽宮のバルコニーから翼竜に乗り飛び立つ部隊を見ながらカインに話しかけた。
「聖竜の加護があるセイラなら問題なく翼竜に乗れるでしょうし、ランセルなら何かあっても守ってくれるでしょう。」
心配は尽きないがエドの元で鍛えられたセイラなら大丈夫だろう。セイラ自身は気づいていないが、魔力の行使については的確で素早い。剣の腕もエド仕込みなので将来有望な魔導士である。もし万が一の事があったとしても、自分は腕輪でいち早く察知することができるだろう。
ランセルの部隊は国境沿いの野生動物が瘴気の影響を受けて魔獣化して暴れていると報告が入ったので、その魔獣退治に行く事になっている。その国境沿いが始まりの森のある島方向ではなく、フローレンスとレバンド沿いだというのが気にかかる。塔の長は始まりの森が瘴気で閉ざされたと言っていたが・・・。
数時間の空の移動の後、国境沿いに向かっていたランセルの部隊は国境沿いに蠢く魔獣の数に目を向いた。魔獣化した小さい鳥から大きな翼竜まで空を覆う動物達、そして地を這う魔獣化した動物達・・・。おびただしい数の動物たちを収拾するのは手がかかりそうだった。
ランセルが大声で号令する。
「まずは空の動物からかかるぞ!!」
防護壁に長けた魔導士が後方で全員を包むように魔力で防護壁を練り上げた。そこへ前衛のメンバーに他の者が一人ずつの防御壁を張る。セイラも一緒に行こうとしたが、隊長補佐に声をかけられた。
「血気盛んなのは良いが、お前さんは後衛だ。ここで前衛をサポートしろ!」
「わかりました!」
セイラは声を張って返した後、大きな翼竜に向かっている前衛たちに向かって攻撃しようとしている小さな鳥たちに向けて魔力を放つ。
しばらく攻防が続いた後、セイラが放った魔力が動物たちに当たると、瘴気が薄れ最後には魔獣化が解けていく事に気づいた。
そこ事に気づいたのは、セイラだけではなかった。
気づいた隊長補佐が乗っている翼竜を操作して近くまで来て声をかけてくる。
「あのでかい翼竜に魔力をぶつけてみてくれ!」
彼の指さす方向の翼竜に向けて魔力を放つ。1つ、2つ。2つ目で動きが鈍くなり、3つ目の魔力がぶつかった後、翼竜の目に生き物としての光が戻った。
「やった!」
その後勢いに乗った部隊はどんどん魔獣化した動物を収拾していき、最後に残った熊の魔獣化を解いたセイラはその場に座り込んだ。
「お、終わったぁ・・・」
セイラだけではなく、癒しの魔力、また正常化の魔法に長けていた魔導士が前面に出て魔獣化を解いていった。たいていの動物は魔獣化が解けると去っていったが、魔獣化が解けた翼竜が協力してくれたのが幸いした。
とはいえ、いったい何頭の魔獣化を解いたのだろうか。20頭ぐらいまでは数えていたのだが、その後は無我夢中で戦っていた。
「お疲れさん。」
ぽん、っと肩をたたかれ振り向くと朝よりくたびれた隊長補佐だった。
そしてその隣には隊長。さすが、隊長は朝と変わらない覇気である。がははと笑っている。
「さすがエドの娘だな! 気に入った。 鍛えてやるから覚悟しておけよ!」
(うわぁ、人使い荒そう!!)
心の中で思っただけだったのだけど、思っている事がまるまる顔に出ていることに気づかないセイラだった。




