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「カイン兄様、収集命令ですか?」
カインの指輪が点滅しているのを見ながら、セイラがカインの顔を見た。
「そのようだな。」
久しぶりのローゼンタイン家での時間も終わりを告げているらしい。
カインはため息を吐くと立ち上がった。
「師匠たちに宜しく伝えてくれ。それから・・・その腕輪はちゃんと着けていろよ。」
セイラはカインの顔は逆光で見えなかったが、心配そうな顔をしているに違いない。
笑顔で答えた。
「わかってるわ、カイン兄様。」
カインは優しくセイラの頬を撫でると転移した。
セイラは残された後、しげしげと腕輪を見た。
「すごい魔力を感じるけど、一体どんなお守りかしら。お守りって言うぐらいだから防御魔法かしら?」
そこに大きな鳴き声がして顔を向けると遠くに聖竜が近づいてきているのが見えた。
その翼は力強い、青空の中悠々と近づいてきた。
早々にセイラの前に降り立つと翼をたたみ白い優美な顔をセイラに近づけて口をセイラの頬に当てる。
『息災か』
「えぇ、私は元気よ。あなたも元気そうね」
話しながらセイラは聖竜の頬に自分の頬を重ねる。
『最近良くない気が世界を覆っている。お前は私の名前を覚えているな?』
現在のところ表面化しているのはメギナ公国の件のみだが、先ほどのカインを呼んだ招集命令いかんでは自分も早々に呼び出されることだろう。
「心配してくれてありがとう。ええ、覚えているわ。」
長い首に抱き着く。
腕輪の魔力を感じたのか視線がセイラの腕輪に注がれる。
『二人の腕輪か。お前には必要な物だな。しっかりとつけておれよ』
それだけを言うと聖竜は首をゆっくり上げ、遠くを見た。
『わしもこれから忙しくなりそうよの』
「そうなの?」
聖竜は遠い空の向こうを睨むように見つめると
『瘴気を帯びた動物は気性が荒くなる。』
そう答えた後、翼を広げ飛び立った。




