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始まりの森の異変の詳細はわからずとも、5名の者たちの状態からなにがしかの深刻な異変があったことは明白であった。
「塔の長が命からがら逃れてきたと?」
宰相からの報告を聞くなり国王は眉間にしわを寄せた。王の執務室の窓から小さく見えるメギナ公国の黒い覆いも心なしか禍々しさを増している気がしてならない。
「あなた・・・」
王妃が心配そうに王の腕に手をかける。
もし昔カインが過去に来て語った事件が起きたのだとしたら。記述の日付よりも事件が起きるのが早い。自分たちが未来に起きる事を防ごうと対策した事が原因だろうか。もしくは何か未来が変わってしまった要因があるのだろうか。 だが・・・今更過去の事を悔いても仕方がない。王は迷いを振り切るように首を振る。
「次はどこが狙われる予定だ?」
「記述によると始まりの森は1か月後の予定でした。そして次が3か月後、フローレンスとレバンドが同時に狙われる予定です。」
宰相は答えるが顔色が悪い。
「ただ各所に設置している国の守護石が何者かに破壊されたとの連絡が先ほどありました。
これはフローレンスとレバンドが狙われた後に起きる事件のはずでした。」
フローレンス公国はアーケィディア大陸中央部に位置する国で、セレンティアの東側そしてメギナ公国の南側に位置する。それに対してレバンド国はセレンティアの東南に位置し、メギナ公国の西側に位置する。
この二つの国が落ちることによってセレンティアは孤立する事になる。始まりの森がある島が西側にあり、そこが落ち、セレンティアの東側にあるメギナ公国に続いてフローレンスとレバンドが落ちた場合、アーケイディア大陸で残るはセレンティアを除いてさらに東側のイスパールとラハルとなるが、イスパールもラハルも国力を考えれば、セレンティアより無事であれる可能性は低い。




