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「光里なら、奥にいます。僕を連れて行っても意味がないでしょう」

僕は何を言ってるんだ。

何故、光里をたてに自分をかばっているんだ。


「二人の関係を聞けば、悪いのは父親の方だと分か…」

「斉藤さん」

男の声が、僕の声を遮った。

彼の表情に気圧され、言葉も自然と止まる。

「光里さんを殺したのは、貴方自身でしょう」




男の口元だけを見ていた。

頭で考えるよりも先に、体が動く。

倒れそうになりながら、

壁にぶつかりそうになりながらも部屋へ続くほんの短い廊下を走る。

「光里!光里!!」

部屋の中に駆け込む。

一コマずつ現実が瞳に飛び込んだ。

暖かい空気。いつも通りの僕の部屋。

そして、窓から覗く曇り空…。

「光里…?」

光里はいなかった。

さっきまで彼女が座っていたベッドには、誰もいない。

テーブルには紅茶を入れた二つカップが静かに立ちすくみ、

床に投げ出したタオルは乾いたままだ。

「光里…光里!」


僕は…僕が…


目に映るもの全て、どこかへ消えていくようだ。

何も、見えない。




僕が光里の父親を…光里を殺したのか。




何か言っている。何か…。

「父親の方は、新聞配達の若者が第一発見者でした」

そうか…光里がいつか笑顔で話していた。

それが彼の日課なのだと。

「光里さんは、ゴミ置き場を掃除しようとした主婦によって…」


もういい、もういいよ。

止めてくれ。

どうせ僕が悪いのだろう。

止めてくれ…。


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