✒ 続・本屋に刑事が来たよ! 1
セロフィート
「 本屋から半径5m離れた位置から、万引き犯が盗んだ書籍の最後の頁数と同じ歩数先で、絶命するようにしました 」
マオ
「 は──??
本屋から半径5m離れた場所で不慮の事故に遭ってたのを──、盗んだ書籍の頁数と同じ歩数先で絶命する??
だから、此処等辺で不慮の事故が起こらなくなって──、刑事の人数も減らされてる訳かよ?
別の場所で絶命するようになったから?? 」
セロフィート
「 そうです 」
マオ
「 …………万引きした書籍の頁数が192頁だったら、192数歩先で絶命するって事か?
337頁だったら、337数歩先で絶命するのか? 」
セロフィート
「 193歩目と338歩目で絶命します。
帰宅途中の道端,バスの中,電車の中,駅の中,自宅,出勤途中,通学途中──場所も時間もバラバラの状態で絶命するようにしました。
絶命と言っても、心臓麻痺ではないです 」
マオ
「 違うのか? 」
セロフィート
「 絶命する病状は幾らでもあります。
体内をランダムで破裂させてます。
死因もバラバラですし、事件でも事故でもなく病死で片付けられます 」
マオ
「 体内を破裂させてる??
どゆことだよ? 」
セロフィート
「 本屋から半径5m離れると、体内に見えない移動爆弾が構築されるようにしました。
その爆弾が体内をランダムで移動します。
歩数超えると、移動を止めて爆発します 」
マオ
「 爆発した威力で、破裂を促す──って事かよ?
半身不随じゃ駄目なのかよ? 」
セロフィート
「 死因が違う方が、刑事の捜査を混乱させる事が出来ます 」
マオ
「 万引き犯にはとことん厳しいんだな… 」
セロフィート
「 万引き犯する店を間違えている万引き犯が悪いです。
抑、人様の物を盗んで “ 生きていられる ” と勘違いしている事が甚だしいくないです? 」
マオ
「 セロが言っても全然説得力が無いけどな… 」
セロフィート
「 何故です? 」
マオ
「 人様の物を容赦なく奪いまくってるからだろが! 」
セロフィート
「 ワタシは人間ではないです。
人形は人間から奪ってナンボですから、問題ないです 」
マオ
「 マジかよ…… 」
オレが知らない間にとんでもない事になってたんだな。
一体何時からなのか分からないけど、セロから教えてもらえて良かったと思う。
何も知らないままで居るのって嫌だもんな。
器人形
「 セロフィート様、刑事が会いに来ています 」
屋上のドアが開いて〈 器人形 〉が現れた。
セロフィート
「 追い返しなさい 」
マオ
「 待てよ、セロ!
態々御客の少ない日に来てくれたんだし、話ぐらい聞こうよ 」
セロフィート
「 マオ…… 」
マオ
「 頼むよ、セロ! 」
オレは上目遣いにセロを見上げる。
頑張って両目を潤ませて懇願もしてみる。
セロフィート
「 ………………追い返しなさい 」
セロは〈 器人形 〉に向かって、シッシッと左手を振っている。
だからオレは──、セロの右頬に口を付けた。
マオ
「 セロ、少しだけで良いから! 」
セロフィート
「 はあ……今回はマオに免じて会いましょう。
マオは此処で待っていてください。
下りて来てはいけません 」
マオ
「 えぇっ?!
オレも── 」
セロフィート
「 マオ、会うのはワタシだけです。
マオが来ると話が長引きますし… 」
マオ
「 うぅ…… 」
セロフィート
「 刑事が帰ったら──、ベッドの中で『 いいこと 』しましょう。
待っていてくれますね? 」
マオ
「 わ…分かったよ……。
本当に『 いいこと 』するんだな? 」
セロフィート
「 勿論です♪
大人しく待てますね? 」
マオ
「 …………特製ピザ焼いて待ってるよ 」
セロフィート
「 期待してます 」
オレの頭を撫でてくれたセロは、オレの額に軽く口付けすると腰を浮かせて立ち上がった。
ドアの前で大人しく待っていた〈 器人形 〉と一緒に屋上から出て行った。
セロと〈 器人形 〉を見送ったオレも椅子から腰を上げて立ち上がる。
エプロンを付けて、ピザ生地を作り始める事にした。
セロは刑事さんと何を話すんだろう?
気になるな~~~~~~!!
そんな気持ちをピザ生地に叩き付けて練ろうと思う。