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✒ 本屋に刑事が来たよ!


──*──*──*── 半年後


──*──*──*── 1階・本屋


 セロが本屋を開店させてから、早くも半年が経った。

 セロの本屋──【 セロカ君の本屋 】は半年経っても大繁盛で、近所の商店街とコラボ(コラボレーション)企画して新グッズを出している。

 みんな、子供や女性に大人気のセロカ君に少しでもあやかりたいんだろうな。


 商店街が【 セロカ君の本屋 】とコラボ(コラボレーション)したいと提案してた時に、セロが商店街へ提案したのはセロカ君カードで買い物が出来るようにする事だ。

 【 セロカ君の本屋 】でしか使えなかったセロカ君カードが、商店街の会計でも使える事になるれば、商店街で買い物をしてくれる御客も増えるんじゃないか──って狙いがあった。

 商店街の会計レジでセロカ君を使えば、100円に1ポイントが付くし、5日,10日,15日,20日,25日,30日には100円に5ポイントが付く。

 商店街では千円以上を買うとポイント払いが出来て、500ポイントごとに商店街共有のスタンプ帳にスタンプを押して貰えるようにもした。

 現金化するキャッシュバック,5千円分の商品券,非売品のセロカ君グッズの受け渡しは【 セロカ君の本屋 】で出来るようにした。

 あくまでも商店街は便乗しているだけで、メインは【 セロカ君の本屋 】だからだ。


 ポイント払いをしてもポイントは貯まらないから、ポイントを貯める為にはいやでも現金で支払いをしないといけない。

 少しでも早く多くポイントを貯めたいなら、5倍になる日を狙って買い物をすればい。

 今迄は【 セロカ君の本屋 】でしか貯まらなかったポイントが、商店街にある “ セロカ君加盟店 ” のあかしのセロカ君ステッカーを貼ってある店でならポイントを貯める事が出来るようになった。

 前よりもポイントは貯め易くなったと思う。


 “ セロカ君加盟店 ” とコラボ(コラボレーション)した新グッズは、【 セロカ君の本屋 】でポイントと交換が出来るようにしている。

 枕カバー,パジャマ,靴下,Tシャツ,エコバッグ,買い物バッグ,トートバッグ,マグカップ,茶碗,お碗,皿,箸,スプーン,フォーク,ナイフ,ランチョンマット,座布団カバー,テーブルクロス,カレンダー,下敷き,ノート,ぬりえ,クレヨン,クーピー,色鉛筆,スケッチブック,風呂敷,バスタオル,フェイスタオル,スマホケース,タブレットケース,ノートパソコンケース,パソコンカバー,ティッシュケース,トランプ,ジグソーパズル,ルービックキューブ,オセロ…など(など)と色んな新グッズがぞく(ぞく)と登場している。

 全部、セロが〈 (原質)(みなもと) 〉で構成しているから元手はタダだ。

 タダで作った新グッズをタダ同然のポイントと交換している。


 新グッズの一覧表は本屋の壁に貼ってあって、学校帰りの子供達が一覧表の前に群がっている。

 最近の小学生は両親が共働きをしている所為か異様に小遣いの額が多いみたいで、ポイントが5倍になる日を狙っては、値段の高い参考書を買ってはポイントを貯めているみたいだ。

 非売品のセロカ君グッズキーホルダーは終了したし、土日限定で3千円以上を買った御客へ渡す非売品のセロカ君バッジは半年後には終了する予定だ。

 商品券の代わりに子供へ渡すセロカ君のキャップ(帽子)とセロカ君のミニタオルセットは現在も健在で続行中だ。

 ぞく(ぞく)と登場する新グッズはポイントでしか交換が出来ないから、ポイント貯めに奮闘してるんだろうな。


マオ

「 あれ?

  あの人って── 」


 子供に混じって新グッズを見ている大人がる。

 ビシッとスーツを着ている男の人だ。


マオ

「 ──こんにちは、刑事さん。

  休憩中? 」


刑事

「 ──あぁ、マオ君か。

  こんにちは。

  いやぁ、暫くないあいだにセロカ君グッズが増えたと思ってね 」


マオ

「 あはは……。

  商店街とのコラボ(コラボレーション)企画だからね。

  刑事さんも、“ こんなグッズがあったら欲しいな~~ ” って希望があったら、願望箱に絵をいて入れてね 」


刑事

「 絵をくのは苦手なんだけどな… 」


マオ

「 ははは……オレも苦手なんだ~~。

  刑事さん、今日きょうも不慮の事故の聞き込みしてるの? 」


刑事

「 あぁ……そうなんだ。

  雨が降ってたから雨宿りをさせてもらおうと思って立ち寄ったんだ 」


マオ

「 これ、本降りになるんじゃないかな?

  傘、貸すよ。

  酷くなる前に警察署に戻った方がいんじゃない? 」


刑事

「 そうしたいのはやま(やま)なんだけどな… 」


 刑事さんはふか(ぶか)と溜め息をきながら、首を左右に振る。

 警察署に戻れない理由でもあるのかな?


マオ

「 取り敢えずソファーに座って休んでたら? 」


刑事

がとう、マオ君 」


 おっと、刑事さんと迄も話してたら、セロになにを言われるかだ。

 掃除する振りをして店内の巡回をしないとな。

 けっして広くはない店内を巡回していると怪しそうな動きをしている主婦を見付けた。

 もしかして、あの主婦は万引きをする気なんじゃ……。

 主婦が万引きをしたって、此方こっちは一向に構わないんだけどさ──、残された家族はどうなるんだよ?

 主婦って事は母親だろ??

 母親が不慮の事故に遭って、一生病院のベッドの上で半身不随の障碍者として生きないといけなくなったら、大変なんじゃないかな?

 あの主婦は家族の事を考えたりしないのかな?

 しないから万引きなんかをするんだろうなぁ。

 しかもだ、まかか自分が万引きしたあとに不慮の事故に遭って、病院へ運ばれる事になるなんて考えてもないんだろうな。


 この島国の国民って平和ボケしぎじゃないかな?

 米●町から全国へ広まった【 ケツ牛蒡ゴボウ事件 】も今や国民の記憶の片隅に追いやられているのかも知れないな。

 此方こっちにセロと引っ越してて以来、【 ケツ牛蒡ゴボウ事件 】はパタリと起きなくなった。

 オレがセロに頼んでめさせたんだ。

 それが悪かったのかな??


 なんとか主婦の万引きをめさせたいな。

 なにい案はないのかな?

 オレはハタキをパタパタと動かしながら主婦の動向をチェックしている。

 そうだ!!

 こんな時にこそ、刑事さんじゃないか!

 刑事さんを呼べば、この本屋の店員は刑事さんと仲がってアピールが出来る!

 そうすれば、あの主婦も万引きを諦めてくれるかも知れないぞ!!

 ──という訳で、オレは休憩中スペースのソファーに座って休んでいる刑事さんに声を掛ける事にした。

 “ 万引きをしようとしている人の邪魔をしない ” っていうセロとの決まりを破る事になるけど、大目に見てもらえないかな?


マオ

「 ──刑事さ~~~ん!

  一寸ちょっと此方こっちてくれないかな~~? 」


刑事

「 うん?

  マオ君?

  どうかしたのかい? 」


 人のい刑事さんはソファーから腰を上げて立ち上がると、手を振ってるオレの所へてくれる。

 これで主婦の人が万引きするのをめてくれたらいんだけどな。

 チラッと主婦の方へ目を向けると、当の主婦は「 刑事さん 」って言葉を気にしてアタフタしている。

 アタフタしてないで欲しいなら買ってけばいのにな。

 は、もう一押しかな。


刑事

「 マオ君、どうしたんだい?

  上段の本に手が届かないのかい? 」


マオ

「 えぇと──、相談したい事があって! 」


刑事

「 相談したい事?

  なんだい? 」


マオ

「 ──店内で万引きをしようとしてる人を現行犯逮捕って出来るのかな! 」


刑事

「 えぇっ?

  万引き犯をマオ君が現行犯逮捕するのかい? 」


マオ

「 えと……店員のオレにも出来るかな? 」


刑事

「 店内から出た瞬間に現行犯逮捕は出来るよ。

  店内にあいだは現行犯逮捕するのはむずかしいな。

  情けない事に、刑事は事件が起きないと動けないからね。

  事件が起きていないあいだなにも出来ないんだ 」


マオ

「 つまり万引きをしようとしている “ 主婦 ” に敢えて万引きをさせて、敢えて店内から出させて、万引き事件に発展させてからじゃないと現行犯逮捕は出来ないって事? 」


刑事

「 まぁ、そうだね。

  万引きや窃盗に関しては、店内の中では現行犯逮捕は出来ないからね。

  強盗は別だよ。

  刃物や拳銃──凶器を持って押し掛けてる訳だから、店内に入って金銭を要求した時点で現行犯逮捕は出来るんだ。

  金銭を要求しなくても凶器を持っている時点でアウトだから現行犯逮捕の対象になるね。

  万引きや窃盗のように敷地内から出ないと事件に出来ない場合とは状況が異なるんだ 」


マオ

「 店内から出たあとじゃあ、手遅れなんだけどな……。

  主婦ってさ、お母さんなんだよね?

  大好きなお母さんがなんも犯罪を犯してる犯罪者だなんて、子供が知ったら悲しむんじゃないかな?

  信頼しているお母さんが万引きをしているなんて子供が知ったらショックを受けるかも知れないよ?

  店内を出る前に食いめたいんだ! 」


刑事

「 それなら店長のセロさんに会計レジを出入り口に移動させる提案をしたらいんじゃないかな?

  1つしかない出入り口に会計レジがあって、常に店員が目を光らせていれば、万引きする人も減らせるんじゃないかな? 」


 至極もっともでとうな意見だよ、刑事さん!!

 だけど、それが出来ないから困ってるんだぁぁぁぁぁぁ!!


マオ

「 ま、まぁ……そうなるよね?

  だけど……セロには会計レジを出入り口に移動させる気は無いみたいだから…… 」


刑事

「 そうなのかい?

  あとは防犯カメラを店内に取り付けるとか、出入り口に会計未払いの本を持って出ようとしたら、音を鳴らす警報器を付けるとか、御客へ声掛けをするとかじゃないかな?

  店員を増やすと人件費が掛かるから、目立たない小型カメラを本棚に取り付けるとか… 」


マオ

「 だよね…… 」


刑事

「 万引きGメン,警備員,私服警官に店内の巡回を依頼する──とか出来るけど、依頼料は掛かるよ 」


マオ

「 だよね…… 」


刑事

「 う~ん……やっぱり1番は店長と話し合う事かな。

  なにをするにも先ずは店長に相談するのが大事だよ。

  最終的な決定権は店長にあるからね 」


マオ

「 ですよね~~~ 」


 至極もっともなアドバイスだよ、刑事さん!!

 万引きをしようとしていた主婦は──、刑事さんとオレの話を聞いていたのか、どうやら万引きを思いとどまってくれたみたいだ。

 ホッ──。


マオ

がとう、刑事さん!

  休んでいたのに呼んじゃって御免ね? 」


刑事

「 あはは、全然だよ!

  またなにか悩む事があったら話してくれていよ。

  交番のお巡りさんじゃないから話を聞くぐらいしか出来ないけどね 」


マオ

「 そんな事ないよ。

  刑事さんに聞いてもらえるだけで、気持ちがラクになったもん 」


 「 そうかな? 」っていながら、刑事さんは照れながら休憩スペースへ戻って行った。

 万引きをしようとしていた主婦は──、諦めてくれたのか会計レジで支払いを済ませて店内を出て行った。


マオ

かった…… 」


 オレはホッと胸を撫で下ろした。


セロフィート

「 マオ──、どうしました? 」


マオ

「 ──きゃあぁぁぁっ!?

  いきなり話し掛けるなよぉ!! 」


セロフィート

「 はいはい。

  楽しそうに話をしてましたね。

  刑事さんと 」


 セロの笑顔が怖い~~~~ぃ!!

 セロ、怒ってるのかな??

 ど…どうしよう!!

 オレ──、ピンチかも知れない!?

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