✒ 連続探偵殺害事件 3
マオ
「 セ、セロ──。
な…何で…… 」
セロフィート
「 『 何で 』ではないでしょう。
営業中に抜け出して警察署へ行くとは──。
何を考えてます? 」
マオ
「 うぅ…それは…… 」
セロフィート
「 忙しい刑事さんの手を煩わせてはいけません。
マオ、帰りますよ 」
マオ
「 セロ──オレ! 」
セロフィート
「 話は帰ってから聞きます。
大窪さん、ワタシのマオが御世話を掛けました 」
大窪刑事
「 いえいえ。
何やら思い詰めていたみたいですから、話を聞いただけですよ。
然し、マオ君は今時、珍しく正義感の強い子ですな。
知り合いの探偵を『 事件に巻き込ませたくない 』と警察の捜査に協力を求めて来たんですよ。
マオ君、済まないね。
警察からは一般市民を犯人逮捕は参加させる事は出来ないんだ 」
マオ
「 うん…… 」
セロフィート
「 マオ……。
──大窪刑事、連絡をくれて有り難う御座います。
助かりました 」
大窪刑事
「 いやなに、ははは。
受け付けに頼んだだけですよ。
それにしても……セロさん変わった格好をしてますな。
全身、真っ白ずくめで雪の精霊かと見間違えましたよ(////)」
セロフィート
「 ふふふ。
誕生祭の為に用意した特別な衣装です。
旅の吟遊大詩人風をイメージしてみました 」
大窪刑事
「 旅の吟遊詩人ですか。
こんな美しい吟遊詩人が歩いていたら、女性に群がられて大騒ぎになるでしょうな! 」
セロフィート
「 ふふふ。
そうならないように気を付けてます。
マオ、トナカイさんの衣装を持って来ました。
着替えてください 」
マオ
「 え゛っ!?
此処で着替えるの??
何で?? 」
セロフィート
「 本屋の宣伝をしながら帰るからです。
チラシも持って来ました。
配りながら帰りますよ 」
マオ
「 えぇ~~ 」
セロフィート
「 大窪刑事、暫く休憩室を借りても良いですか? 」
大窪刑事
「 勿論ですよ。
何れ、暫く足止めしときますかな 」
セロフィート
「 お願いします 」
大窪刑事が休憩室を出てから、オレはセロが持って来たトナカイの衣装に着替えた。
態々持って来なくても良いのにな!
着替えるとは言っても、着ている衣服の上に着るだけだから直ぐに終わった。
トナカイの角のカチューシャを頭に付けて、鼻の上にトナカイの赤い鼻を装着したら、トナカイに変身完了だ。
セロフィート
「 マオ、ゼッケンを首から掛けてください 」
マオ
「 えぇっ!?
トナカイがゼッケンを付けて歩くのかよ… 」
ゼッケンには【 セロカ君の本屋 】と書かれている。
完全に本屋の宣伝用ゼッケンじゃないかよ…。
ゼッケンなんて本当は付けたくないけど、営業中に本屋を抜け出して勝手に警察署へ行った手前、セロには逆らえない。
〈 器人形 〉に任せる事も出来たのに、態々セロが直々に迎えに来てくれたのは素直に嬉しい(////)
オレ──、少しはセロに想われてるのかな??
マオ
「 …………付けたぞ… 」
セロフィート
「 似合いますよ、マオ(////)
チラシを入れた紙袋を持ってください 」
マオ
「 そう言えば、誕生祭って5倍デーと被るじゃん。
もしかして、そのチラシか? 」
セロフィート
「 そうですよ。
チラシが値引き券になってます。
誕生祭限定の値引き券です。
チラシを持参し、割り引き券を使った御客に誕生祭限定クッキーをプレゼントする事が書いてます。
税抜き3.000円分の書籍を買うと500円の値引きが出来るチラシです 」
マオ
「 3.000円分も買わせて、クッキーを渡すのかよ。
やり方がゲスいな… 」
セロフィート
「 3.000円が2.500円で買えて、クッキーまで貰えます。
お得でしょう 」
マオ
「 どんなクッキーにするんだ? 」
セロフィート
「 開店前に会員カードを作った御客へ渡したクッキーと同じです。
本屋ですから誕生祭仕様のセロカ君栞3点セットを入れる予定です。
色違いの非売品です 」
マオ
「 うわぁ~~、欲しい!! 」
セロフィート
「 3.000円分の書籍を買って、チラシを使ってください 」
マオ
「 えぇ~~、オレにも買わせるのかよぉ!! 」
セロフィート
「 欲しいのでしょう?
──忘れ物はないですね?
帰りますよ 」
セロはオレの右手を掴むとスタスタと歩き出す。
休憩室を出ると、見張ってくれていた大窪刑事に頭を下げて御礼を言った。
大窪刑事はトナカイに扮したオレの姿を見て、必死に笑いを堪えながら見送ってくれた。
オレのトナカイ姿って、笑われる程に可笑しいのかな??
──*──*──*── 商店街
警察署内を歩いていたら、すれ違う警察官から笑われた。
チラシを受け取って貰えたのは嬉しいけど複雑な気分だった。
写真とか動画まで撮られて、最悪だよ!!
商店街へ向かって歩いている途中も、通行人に笑われるし、小さい子供にはからかわれるし、踏んだり蹴ったりだ。
チラシは快く受け取って貰えたのは嬉しいし、有り難いけどな。
商店街へ入っても、やっぱり通行人には笑われた。
写真や動画を撮られまくって無駄に疲れた…。
セロは背が高いから写真にも動画にも入り切らないからって、背の低いオレばっかりが撮られた事には全面的に解せない。
誕生祭が終わる迄、笑われ続けるのかな??
マオ
「 こんなの罰ゲームじゃないかよ!! 」
セロフィート
「 勝手に警察署へ行ったのですから、当然でしょう。
ワタシに無断で警察署へ行った事を反省してください 」
罰ゲームだった。
うぅ~~~~、なんて恥ずかしくて屈辱的な罰ゲームなんだよ!!
マオ
「 ──って言うか、誕生祭って明日じゃんか。
今からチラシを配るなんて遅すぎるんじゃ…… 」
セロフィート
「 チラシは12月に入ってから〈 器人形 〉に配布させてます。
今日の朝刊広告にも紛れ込ませましたし。
前日のチラシ配布はマオの罰ゲームの序でにしてるだけです 」
マオ
「 序でかよ…… 」
セロフィート
「 そろそろ切り上げましょう。
マオとも話し合う必要が有りますし 」
マオ
「 うぅ…… 」
セロ……怒ってるのかな?
勝手に無断で警察署へ行ったオレの事を……。
営業中に出掛けたのは悪かったと思ってるけど、セロが何もしてくれないから──、刑事さんに相談しようと思っただけなんだけどな……。




