✒ 連続探偵殺害事件 1
──*──*──*── 3階・LDK
マックンナルドが開店する1週間前に、セロと祇園条さんと一緒にマックンナルドへ行って、マックンバーガーのコラボセットを頼んで食べた。
マックンフライポテト,マックンチキナゲット,マックンベーコンパイ,マックンシェイク,マックンドーナツ……色んなメニューを頼んで、3人で食べた。
オレから不安な思いが消えた事もあって、楽しい時間を過ごす事が出来た。
あの楽しかった日から1週間経って、マックンナルドは無事に開店した。
12月に入って開店したマックンナルドへオレは週3も通って、デザートやバーガーを買って軽食に食べていた。
12月も後、1週間で終わろうとしている。
今日は “ クリスマス・イブっていう日で、明日はメイリーン・クリスマスって人の誕生日なんだとか。
メイリーン・クリスマスって人が、どんな人かは知らないけれど、この島国──日本の発展に貢献した人で、日本に欠かせない人物だったみたいだ。
12月25日はメイリーン・クリスマスの誕生日当日で、誕生祭って言われているみたいだ。
12月24日は誕生日前日だから、誕生前夜祭って呼ばれていて、誕生祭を前に盛り上がっている。
12月に入ると皆何処か浮き足だっているように見える。
水面下で準備されていた誕生前夜祭に向けての色んなイベントの準備も本格的に始まって、彼此の壁にイベントの宣伝ポスターが貼られ始めたりし出したし、商店街でも店内だけじゃなくて外観にもクリスマスらしく飾り付けがされたり、ツリーを置いたりしている。
サンサクロースやトナカイ,妖精や精霊の格好をして商店街を盛り上げたり、サンタクロースのソリや雪ダルマ,ペガサスやユニコーンをイメージしたイルミネーションも作られたりして中々凝っている。
日本人ってのはイベント好きなんだな~~。
【 セロカ君の本屋 】でもサンタクロースやトナカイ,妖精や精霊のコスプレをする事になった。
セロは吟遊大詩人の衣装を着て、〈 器人形 〉には妖精,精霊の衣装を着させる事になった。
オレはトナカイの着ぐるみを着る事になったけど、消去法で決められたのが解せない。
オレだってサンタクロースの衣装を着てみたかった。
そんな感じで島国中が誕生前夜祭と誕生祭に向けて盛り上がっている最中でも、何処かで事件や事故は起きている。
犯罪天国都市としてお馴染みの米●町では、相も変わらず様々な事件や事故が起きているんだろうし、【 セロカ君の本屋 】で万引きをする御客も減りはしない。
12月に入ってから誕生前夜祭迄に体内破裂で病死する人間って、どのくらい居るんだろうな??
そんな事を考えながらオレはクリスマスをイメージした12月限定のコンビニスイーツを食べながら、ソファーに座ってTVを見ている。
時代劇の捕物帖を見てるんだけど、日本人ってのは探偵ドラマや刑事ドラマが好きなのかな?
正義の味方って訳ではない侍が、悪い奴等を成敗していく内容だ。
初めから犯人が分かっているから、推理物がサッパリなオレでも楽しく見れるのが嬉しい。
こういう親切な時代劇ドラマは大歓迎だよ!
いざ、これから侍が悪い代官達を成敗に入るっていう山場と見せ場に差し掛かった時、画面の上に「 緊急速報 」の文字が現れた。
どうやら、また探偵が1人、何者かに襲われて殺害されたらしい。
12月に入ってから、探偵が襲われて殺害される物騒な事件が増えて来たように思う。
番組を見ていると、かなりの確率で “ 探偵が殺害された ” っていうテロップが画面の上に現れるようになって、最近では頻繁に見る。
そんなに探偵って沢山居るもんなのかな?
マオ
「 ──ん?
祇園条柚刄ぁ??
祇園条さん…………じゃないよな??
下の名前は知らないけど……。
でも……祇園条って………… 」
テロップに写し出された名前の苗字には見覚えがあった。
【 セロカ君の本屋 】の常連さんで、セロカ君ファンで、寿司屋さんに海鮮巻きを食べに行って、マックンナルドでマックンバーガーを一緒に食べた祇園条さん──じゃ、ないよな??
セロなら、祇園条さんの下の名前を知ってるかも知れない!!
オレは番組を付けっぱなしにしたまま、階段を駆け下りて1階へ向かった。
──*──*──*── 1階・本屋
見慣れた吟遊大詩人の衣装を着て、作業をしているセロを探す。
吟遊大詩人が本屋の店内で棚に入っている書籍の整頓作業をしてるなんて似合わなくて笑える光景だけど、今はそれどころじゃない。
マオ
「 ──セロ! 」
セロフィート
「 マオ──、トナカイさんの衣装を着てください 」
マオ
「 トナカイの衣装は後で着るよ!
それより、セロは祇園条さんの下の名前って知ってる?? 」
セロフィート
「 はあ?
祇園条さんの名前です?
憂瑠さんですけど 」
マオ
「 ゆ…ゆうる??
祇園条さんって、祇園条憂瑠って言うの?
祇園条柚刄じゃなくて?? 」
セロフィート
「 違いますよ。
祇園条さんが、どうかしました? 」
マオ
「 …………時代劇を見てたら、番組の上に “ 緊急速報 ” ってテロップが出て──、探偵が殺害されたって……。
その名前が “ 祇園条柚刄 ” だったから、オレの知ってる祇園条さんなのかと思って…… 」
セロフィート
「 あぁ、そういう…。
でしたら、被害者は祇園条さんの兄弟弟子かも知れません 」
マオ
「 兄弟弟子ぃ??
どゆこと? 」
セロフィート
「 探偵専門学校を卒業した探偵は、1人前になる為に師匠の探偵を探し、弟子入りする事が決まっています。
師弟関係である間は、師匠の苗字を名乗ります。
1人前と認められ、独立をすると苗字を変える事も出来ますけど、そのまま使う探偵も多いそうです。
“ 祇園条 ” という苗字の探偵は、探偵業界にかなり居ますし、人気のある苗字としても知られています 」
マオ
「 だから兄弟弟子かも知れない?? 」
セロフィート
「 【 連続探偵殺害事件 】には多くの探偵や刑事が捜査に関わってます。
その内、解決します 」
マオ
「 その内?
本当かな?
セロ……オレ…祇園条さんが【 連続探偵殺害事件 】の被害者になるのは嫌だよ 」
セロフィート
「 マオ、情でも移りました?
仲良くなり過ぎないようにしてください 」
マオ
「 むぅ!
セロだって仲良くしてるだろが! 」
セロフィート
「 “ 仲良くしている ” とは心外です。
利用価値があるから親切にしてるだけです 」
マオ
「 …………それでもさ、一緒に寿司屋さんて海鮮巻きを作って食べたり、マックンナルドでマックンバーガーを食べた仲じゃないか。
祇園条さんには被害者になってほしくないよ…。
大事な常連さんだし、セロカ君のファンでもあるんだぞ! 」
セロフィート
「 知った事ですか。
人間が起こす事件は人間が解決させます。
放っと──任せておけば良いです。
今のマオとワタシは “ 善良な一般人 ” である事を忘れてはいけません。
事件に首を突っ込む必要はないです。
何もしてはいけません。
マオは大好きなコンビニでコンビニスイーツを買ったり、マックンナルドで軽食を楽しんでいれば良いです 」
マオ
「 …………セロ… 」
セロフィート
「 休憩を終わらせるなら、トナカイさんの衣装に着替えてから下りて来てください 」
マオ
「 分かったよ…… 」
セロに相談したら、どうにかしてくれると思ってた。
だけど、セロは本屋の店長を堪能しているみたいだから、何を言っても多分、無理だ。
セロは【 連続探偵殺害事件 】に興味ないみたいだし。
オレは何とかしたいよ。
祇園条さんが【 連続探偵殺害事件 】の被害者になるのは嫌だからな!!
オレに出来る事って何だろう??
オレにも何か出来る筈だ!!
オレは裏口から本屋を出ると、警察署へ向かって走った。
刑事さんに相談してみようと思う。
オレが知ってる刑事さんは、あの人しか居ないからだ。




