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⭕ セロフィートの1人時間


──*──*──*── カフェテリア


 15時を迎える前にセロフィートは、とあるカフェテリアへ入店した。

 人間離れした美貌の持ち主である美丈夫のセロフィートを出迎えた店員は、セロフィートを窓側の特等席へ案内した。

 セロフィートを客寄せパンダに利用する魂胆だ。

 セロフィートはいやな顔をせず、笑顔で窓側の客席に案内された。


 のカフェテリアはいわく憑きのカフェテリアで、カフェテリアが建て替えられる前は人気のファミレス(ファミリーレストラン)だったそうだ。

 ファミレス(ファミリーレストラン)だった頃に、店内にた従業員や御客が全員、原因不明の自然発火によって亡くなってしまった──という不可思議な事件が起きた経緯があるカフェテリアなのだ。

 もう20年以上も前の話である事や世代が変わった事もあり、あまり知られていない事件でもある。

 科学的にも解明されていない事もあり、いまだに迷宮入りの未解決事件としてとなっており、オカルト雑誌ではネタが無い時、たまに掲載される程度の事件扱いをされていた。


 ()()()()える体質の人間には、カフェテリアの店内で残留思念体がえてしまうらしい。

 セロフィートにも残留思念体がなんたいえているがまったく気にしていない。

 セロフィートは残留思念体がなにも出来ない事を知っているからだ。

 残留思念体にはなんの力も無い事を知らない人間達は、残留思念体を “ 地縛霊 ” と呼び、「 悪い事を呼び寄せる 」と場違いな勘違いをして無駄に怖がっているのだから、セロフィートは可笑しくて仕方無い。


 窓側の席に座り、カフェテリアをとおり過ぎて行く通行人達を見詰めながら、セロフィートはフルーツティーを飲む。

 フルーツティーは、米●町のカフェテリア限定で飲める紅茶で、1.000円もする。

 セロフィートはフルーツティーだけではなく、カフェテリアで人気のワッフルも注文していた。


 美しい容姿の王子様ですらかすんでしまう程の美貌と魅力を振り撒いているセロフィートは、飲み方も食べ方も上品で美しくテーブルマナーは文句なしの完璧だ。

 セロフィートは店内のの御客達の視線を釘付けにしているが、まったく気にしていない。

 1人きりで優雅なティータイムを満喫しているセロフィートのテーブルへ1人の男性が近付いてた。


男性

「 ──相席しても宜しいか? 」






──*──*──*── 男性視点


 10月の終わりだというのに8月の晴天のようにさん(さん)と太陽の日光が降り注いでいる暑い15時過ぎ──、カフェテリアの前に男性が1人で立ちまっていた。

 窓側の席に座っている美丈夫な外国人っぽい人物に視線を向けている。

 髪型や服装は違えど、男性は美丈夫な外国人っぽい人物に見覚えがあった。

 「 まさか、日本にているとはな… 」と小さな声で呟いた男性は、自動扉をとおり、カフェテリアへ入店した。


──*──*──*── カフェテリア・店内


 男性が店内へ入ると涼しい風が暑さを拡散してくれる。

 女性店員が男性に歩み寄り、客席へ案内しようとしたが、男性はサッと右手を出すと、笑顔で “ 案内は不要 ” という合図を出す。

 察した女性店員は、男性にペコリと頭を下げると離れて行く。

 男性がに座るのかを離れた場所から見届けるようだ。


 男性はセロフィートが腰を下ろして座っている客席へ向かって歩く。

 耳をと聞こえない程のコツコツ…という小さな靴音を鳴らしながら、男性はセロフィートが座っている向かいの1人用ソファーの左横に立ちまった。

 男性はフルーツティーを飲んでいるセロフィートへ「 相席しても宜しいか? 」と声を出して尋ねた。


──*──*──*── 対峙する2人


セロフィート

「 座りたければ、どうぞ。

  好きにしてください 」


 セロフィートにとって目の前に現れた男性は「 初めまして 」の相手ではあったが、歴代の先代セロフィート達が残した記録の中に、男性に関する()()があった。

 男性は人間の姿をしているものの、人間ではない異なる種族である事は、セロフィートには見抜きとおしだった。


 それに関しては相手にしても同様だろう。

 限り無く人類に似せた容姿をしていても、人間ではなく人害の存在であり、もの(セロフィート)が人間の味方にはけっしてなる事の無い天災級の存在である事を男性は理解していた。


 目の前にる天災級のもの(セロフィート)を男性の種族は、畏怖を込めて “ ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) ” と呼んでいた。

 この〈 ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) 〉と呼ばれる存在は、人類に対して人害であり、じつ多くの生命をいとも簡単に容赦なく、平然と奪う事の出来る感情も心も持たない殺戮人形なのだ。

 とうといのちなんちゅうちょもなく無惨に奪えるような悪意のかたまりであるかのような存在が、世界に存在しているのか男性にも男性の一族にもわからない。

 、〈 ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) 〉がかみに存在する事を許されているのか──、殺戮人形の本来の使命も役目も、ほんとうの必要性もなに1つ理解している者は誰1人として存在していなかった。


 男性はいている1人用のソファーに腰を下ろして座る。

 向かいには殺戮人形がフルーツティーを飲みながら、ワッフルをしょくしている。

 男性は〈 ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) 〉が飲食を必要としない存在である事は知っていた。


男性

「 ── “ 飲食する必要は無い ” と記憶していたが? 」


セロフィート

「 そのとおりです。

  歴代の先代セロフィートの中にも飲食をしていた先代セロフィートは稀にました。

  ワタシは玩具おもちゃに合わせているだけです 」


男性

玩具おもちゃ? 」


セロフィート

「 ワタシは新しい玩具おもちゃに夢中なのです。

  丈夫で長持ちで面白い──。

  手離したくない、お気に入りのいとしい玩具おもちゃです 」


男性

「 〈 ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) 〉に気に入られるとは不幸で不憫な玩具おもちゃだな… 」


セロフィート

「 “ 幸せ ” の間違いでしょう。

  ──40年前に起きた万引き犯を対象ターゲットにした事件や事故を起こしていたのはきみですね? 」


男性

にも── 」


セロフィート

「 この島国に死神が人間にまぎれて暮らしているとは思いもしませんでした 」


死神

「 僕も〈 ゴデ()ッセ(にん)ルロド(ぎょう)ール(さま) 〉が人間社会に溶け込んで暮らしているとは信じられないな 」


セロフィート

「 “ 玩具おもちゃに合わせている ” と言いました。

  たしか、死神は一定量のたましいを刈り取ると家族が1人増えるのでしたね 」


死神

「 1000個のたましいで1人分だ。

  僕には20人の子供がる。

  今は子供達が自分の家族を増やす為に奮闘している 」


セロフィート

「 1人で20万個のたましいを刈り取るとは、さぞかし優秀で有能な死神だったねでしょうね。

  現役時代のきみに会ってみたかったです 」


死神

「 僕は御免だ。

  ほんとうならば、に座っている事すら── 」


セロフィート

「 そうでしょうね。

  死神にすら畏怖される “ 殺戮人形 ” ですからね 」


死神

「 ──っ?! 」


セロフィート

きみ達の種族になんと呼ばれていたのかぐらいは知ってます。

  セロフィートは歴代の先代セロフィート達の記録を自由に見る事が出来ますからね。

  安心してください──とワタシが言うのも可笑しな話ですけど、人間ではない死神を気はないです。

  死神は人間のたましいを刈り取る存在です。

  謂わば、人間という害虫を自発的に駆除してくれている存在なのですから、死神のする事に口出しも手出しもする気はないです 」


死神

「 そうなのか?

  それを聞いて安心した 」


セロフィート

「 どうぞ、思う存分に人間のたましいを刈り取ってください 」


 セロフィートは向かいに座る男性──死神に対して、優しい笑顔を向けて微笑んだ。

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