✒ 『 いいこと 』しよう
──*──*──*── 屋上
屋上ではマオが、手作りピザを焼いていた。
テーブルの上には既に焼けているピザがピールの上に乗せられている。
マオはひたすらピザを焼いていた。
セロフィート
「 ──マオ、随分と多くのピザを焼きましたね。
そんなに暇でした? 」
マオ
「 ──セロ!
随分と長話だったじゃんか!
待ち過ぎてピザを作り過ぎちゃったよ! 」
セロフィート
「 中々面白い話が聞けました 」
マオ
「 面白い話ぃ~~? 」
セロフィート
「 ふふふ。
どうやら、この島国では昔から奇妙な事件や事故が定期的に起こっているようです 」
マオ
「 そうなのか? 」
セロフィート
「 詳しい話はピザを食べながらします 」
マオ
「 お、おぅ 」
渾身の力作でもあるオレの特製オリジナルピザを食べながらセロの話を聞いた。
この島国で生活する為に必要な生活資金を調達する為にセロが起こした【 尻牛蒡事件 】よりも前──40年程前に万引き犯を対象にした奇妙な事件や事故が多発していたらしい。
今回のセロが、“ ガッポリする ” という不謹慎極まりない理由で起こした万引き犯達の【 不慮の事故事件 】や万引き犯達が彼此で絶命する【 体内破裂事件 】の前にも万引き犯を対象にした奇妙な事件や事故が起きていたとは驚きだ。
マオ
「 なぁ、セロ……。
40年前に起きていたっていう万引き犯を襲った奇妙な事件や事故を起こしたのは──、セロじゃないんだよな? 」
セロフィート
「 ワタシは一切関与してません。
何故、ワタシを疑います? 」
マオ
「 何でって、前科が有り過ぎるからだろ!
オレの知らない所で事件や事故を起こしてないか心配で…… 」
セロフィート
「 マオ、そんな事しません。
マオだけのセロフィートを信じてください。
誓ってワタシは無実です 」
マオ
「 ………………う、うん……。
じゃあ……信じるよ… 」
セロフィート
「 嬉しいです♪
有り難う、マオ(////)」
マオ
「 だけどさ、セロと同じ様な事が出来る奴等が、他にも居るかも知れないんだよな?
セロとオレが、この島国に来る前から何処かに居て、何処かで暮らしてる──って事になるよな? 」
セロフィート
「 怪異や霊体が存在するぐらいですから居るでしょうね。
無用な詮索は控えましょう。
マオとワタシの事を詮索されても困りますし 」
マオ
「 そう…だよな?
それに刑事さんの話では他県で起きていた事件や事故なんだもんな?
オレ達には関係無いよな? 」
セロフィート
「 そういう事です。
さて──、ピザも食べ終わりましたし、寝室へ行きましょう 」
マオ
「 あ、うん…(////)
そうだな…(////)」
昼食にピザを食べたし、いよいよベッドの中でセロと『 いいこと 』を出来るんだな!!
ドキドキするし、ワクワクするぅ~~~~♥️♥️♥️
セロフィート
「 後片付けはワタシがします。
マオは先に寝室で待っていてください 」
マオ
「 ──セロ、先に温泉に入っても良いかな? 」
セロフィート
「 好きにしてください。
後でワタシも行きます 」
マオ
「 う、うん!(////)
オレ、先に温泉へ入って待ってるからな!(////)」
セロフィート
「 はいはい 」
マオは後片付けをセロフィートに任せると、ウキウキした足取りで屋上を後にした。
マオの姿が見えなくなった後、セロフィートは古代魔法を発動し、屋上の左側──煉瓦側を綺麗にした。
セロフィート
「 『 いいこと 』をするのは久々ですね。
心が躍ります。
──じゃあ、早速始めようかな?
統一天生教会とか言っていたね。
警察も口出しや手出しの出来ない日本で最も大きな宗教団体だったかな?
〈 久遠実成 〉を愚弄し、教えを歪め、悪用する似非宗教家達に、熱くて痛い御灸を据えないとね? 」
セロフィートは古代魔法を発動させる。
セロフィート
「 確か、デモ活動をしているんだったね。
彼等には被害者,被害者遺族になってもらおう。
統一天生教会だけに御灸を据えなるのは不公平かな?
〈 久遠実成 〉と教えを悪用している似非宗教団体は他にもあるみたいだし。
纏めて御灸を据えてあげよう。
島国中が大騒ぎすると面白いんだけれど。
明日以降のニュースに注目かな 」
セロフィートは古代魔法を惜しみ無く発動させた。
幾つもの複雑な魔法陣が宙に出現しては消え、出現しては消え──、という現象が暫く続いた。
古代魔法はセロフィートが屋上から姿を消しても発動され続ける。
古代魔法が完全に発動を停止したのは20時前だった。
──*──*──*── 裏野ハイツ
──*──*──*── 2階・寝室
寝室にあるベッドの上では、入浴を済ませてバスローブを着ているマオが、気持ち良さそうに寝息を立てて爆睡している。
口から涎を垂らしながらニヤケ顔で寝ている様子を見れば、「 楽しい夢を見ているのだろうな 」と誰もが思う事だろう。
それだけマオは、幸せな夢をセロフィートに見せられているのだった。
──*──*──*── 1階・リビング
キノコンのセノコン,マオキノに与えられた101号室は、ガランとしている。
ソファーとテーブルはあるが、セノコンとマオキノの姿は無い。
窓を開けたセロフィートが裏庭を見ると、畑や花壇の世話はきちんとされている事が分かる。
精力を注いで丁寧に世話と管理をしてくれているようだ。
畑には季節に関係無く様々な野菜や果物が植えられており、実を付けている。
花壇に咲いている食用薬草,食用花も元気そうだ。
花壇の片隅に立て掛けて栽培している茸類も順調に育っている。
裏庭から見える墓地は相変わらず賑やかなようで、また事件でも起きたのだろう。
キープアウトと英語で書かれた黄色いテープが墓地の敷地内に貼られている。
墓地で事件を起こす輩は10年以上経っても居なくならないらしい。
社寺の神主も住職も社寺の敷地内にある墓地で頻繁に事件が起きては迷惑この上ない事だろう。
窓を閉め、カーテンを閉めたセロフィートは、玄関から外へ出ると、表の庭を散歩がてら歩いてみる。
2階の4部屋と1階の4部屋は満室らしく、ドアの前に “ 宿泊中 ” と書かれているプレートが差し込まれている。
もうそろそろ11月に差し掛かろうとしている時期ではあるが、裏野ハイツの1泊2日の怪奇体験,心霊体験は安定の大人気らしい。
裏野ハイツの運営を任せている〈 器人形 〉の報告では、怪奇現象や心霊現象を目当てで体験入居する人間よりも、裏野ハイツで提供される3食の料理とデザート,お土産目当ての体験入居者が増えているらしい。
〈 器人形 〉が公開している【 東京都米●市米●町米●横町にある裏野ハイツ 】という公式HPのコメント欄には、「 3食の料理,デザートを食べたいが、怖いのが苦手で裏野ハイツに泊まれない。3食の料理とデザートを食べれる店を出してほしい 」という人間からの切なるコメントも多数書き込まれているようだ。
「 店を出店しても良さそうだ 」と〈 器人形 〉からの報告が上がっている程だ。
セロフィートは裏野ハイツの敷地内を出ると、近所を散策するように散歩がてら歩く。
早目の昼食を済ませ、温泉で入浴を済ませたマオを熟睡魔法で眠らせてから未だ、1時間も経っていない。
現在の時間は14時前だ。
セロフィートは1人きりの時間を有意義に堪能するのだった。




