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蔵品大樹のショートショートもあるオムニバス

ノベルゲーム『駄』

作者: 蔵品大樹

奇妙な世界へ……………

 俺は荻久保祐也。ゲームオタクの会社員だ。

 いきなりだが、俺は先程も行った通り、ゲームオタクだ。古今東西のゲームを集め、給料はいつも、ゲームに吸い取られる。

 そして、俺はこんな考えを持っている。それは良ゲーと駄ゲーだ。良ゲーは良作。いわゆる、評価が高いゲームの事で、駄ゲーは駄目なゲーム。つまり、評価が低いゲームの事である。しかし、どんなゲームであろうとも、俺は全てを愛してきた。今や、俺が難所を示すゲームは無いのである。

 そんなある日の事。俺に一本の電話がきた。

 「はいはい」

 「おぉ〜!荻っち元気か?」

 「おっ!諏訪部!お前こそ元気か?」

 この男は諏訪部守。俺と同じく、ゲームオタクで、大手のゲーム会社に勤める男だ。

 「それで、どうしたんだよ、急に」

 「あぁ、実はお前に遊んでほしいノベルゲームがあるんだよ」

 「ん?遊んで欲しいノベルゲーム?」

 「あぁ、そのゲームの名は、『駄』だ」

 「駄?」

 「あぁ、というより、このゲームの正式名称は無いんだ」

 「へぇ…正式名称が無い…ねぇ…」

 「あぁ、このゲームを遊んだ奴が、『このゲームは駄目駄目だ』って言って、タイトルが『駄』なんだよ」

 「へぇ〜」

 「あとさ、このゲームの発売元、どこだと思う?」

 「ん〜?どこなんだ?流石の俺でもわかんねぇぞ」

 「フフフ、発売元はショウドゲームだ」

 「えっ、あのショウドゲームが!?」

 ショウドゲームとは、かつて人気だったゲーム会社で、一時期、この会社のゲームしか遊ばない人が現れる程だ。今ではその会社の社長が亡くなり、諏訪部の勤めているゲーム会社、『USAMI』の子会社になっている。

 「あぁ、そうだ。あと、このゲーム、発売前に回収されたことがあるんだ」

 「えっ、回収されたのか?回収されたら、遊べないはずじゃ…」

 「まぁ、回収業者の誰かがいくつか転売したんだろうな…それはともかく、今日、お前宛に送ったから、明日中には届くわ」

 「おっ、ありがと〜」

 すると、電話の向こうからチャイムのインターホンの音が聞こえた。

 「おい、諏訪部、誰か来てるぞ」

 「おっ、おう。じゃあ、またな」

 すると、電話が切れた。

 次の日、荷物が届いた。

 箱を開くと、そこにはゲームのカセットが入っていた。真四角のカセットで、真ん中には白文字で『駄』と書かれていた。

 「これが噂の…」

 俺は届いた事を知らせるために、諏訪部に電話を掛けた。しかし、あいつの声が来る事は無かった。

 「うむ…まぁ、アイツ、ゲーム会社の社員だもんな。たまたまいないだけだろう」

 俺はテレビに繋がっている専用のゲーム機にカセットを入れた。

 「よしっ、ゲームスタートだ!」

 俺はゲーム機の電源ボタンを押した。すると、テレビが一面砂嵐になった。

 (おいおい、これ、大丈夫か?)

 そう思いつつ、テレビを見ていると、一瞬白い玉が写ったかと思うと、画面に白文字で『START』と出てきた。

 「うむ…今の白い玉は一体?まぁいい、遊んでみるか」

 俺はボタンを押した。すると、テレビの画面は徐々に切り替わり、『ブーーーーー』という音を出しながら、船が浮かんだ海が写り、文字が浮かんできた。

 『僕の名は長谷長谷長谷長谷長谷長谷長谷長谷長谷長谷昭。高校生だ。今、僕ハワイ達はハワイに向かっている。隣には幼馴染みの繝ャ繧、繧ォがいる。その隣隣隣隣隣隣隣隣には同じく幼馴染みの大富豪の息子子、梶・ジェームズムズムズムズムズムズムズムズムズムズムズ・明。僕達はハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイハワイ』

 すると、画面が急に暗くなり、また文字が浮かんできた。

 『     社ちょう    ころした  ぼ を   まだ   いきたかっ

  た』

 「な、なんだ?」

 唐突な文章に驚いてしまったが、俺はゲームのリモコンを離すのを許さなかった。

 『 このゲー   のろわれ   しまえ                呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪呪』

 俺は怖くなり、リセットボタンを押した。そして、テレビの画面は暗くなり、また『START』と出た。

 「おいおい、なんだよこれ、駄目駄目じゃねぇか。バグも多いし、最後に至ってはなんだコレ。意味がわかんねぇや」

 俺はゲーム機からソフトを取り出し、『駄ゲー庫』と書かれた張り紙が付いた棚に入れた。

 次の日、会社で仕事をしている時のことだった。一本の電話が来た。相手は知らない人だ。

 「はい、荻久保ですが」

 「どうも、諏訪部栄子と申します。あの、守がお世話になりました」

 どうやら、相手はアイツの母親だった。

 「あ、あの…御要件は?」

 「はい。実は…守が亡くなったことです」

 「えっ!守が亡くなった!?」

 「そうです。昨日、家で頸動脈が切られて出血多量で亡くなって……うぅ…」

 「………」

 数日後、俺は諏訪部の葬式に参加した。

 「この度はご愁傷様です」

 「はい。守も、貴方が来てくれて、さぞ喜んでいることでしょう」

 すると、一人の中肉中背の中年男性が近づいてきた。

 「いやはや、この度はご愁傷様です」

 「ん?貴方は?」

 「あぁ、申し遅れました。『USAMI』の社長、宇佐美源五郎です。諏訪部君は、次期社長候補でして、誠に残念です」

 「うぅ…」

 社長は残念そうに頭を下げ、母親は泣きながら震えていた。

 それから、また数日経ったある日、会社で部下に客人が来ていると言われ、応接室に向かった。

 「失礼します」

 「やぁ、わざわざ仕事中に越させちゃって、すまないな」

 そこには葬式のときに見かけた男、宇佐美がいた。

 「ど、どうも…お座り下さい」

 「はい」

 「それで、ご要件は…」

 「あぁ、まず、本題に入らせてもらうと、あの葬式を見た時、デジャヴを感じたんだ」

 「デジャヴ…ですか…」

 「あぁ。いきなりだが、君は、ショウドゲームの社長、原稔を知っているか?」

 「えぇ、勿論。確か、一年前に事故死で亡くなっている人ですよね」

 「そうだ。頸動脈を切られた状態で妻に見つかった…」

 「そして、その人が生存時、最後に出したゲームにはタイトルは無く、結局、ゲームすら出されなかった」

 「まぁ、社長にもなれて、妻子に恵まれて、良い人生だと思うよ。………話を戻そう。実は、アイツは過去に子供を殺したんだ」

 「えっ!何で…」

 「あぁ、社長になる前、まぁ、常務だった時、恐らく仕事でのストレスが爆発したのだろう。奴は子供を誘拐し、その子の頸動脈を切った」

 「えっ…」

 「無論、奴は捕まると、会社をクビにされるのもわかっての犯行なのだろう。絵描き屋を使って、奴は逃げ延びた。それから数年後、社長になり、死に至った…そう言う事だろう」

 「はぁ…にしても、何でこんな事を知っているんですか?」

 「まぁ、裏の人間を使って分かった事だ」

 「………」

 「話が変わるが、君は、ショウドゲームが出した、『最後のゲーム』を持っているか?」

 「えっ…まぁ、持っていますが…」

 「実はこの間、ネットでそのゲームが希少ということを知って、ここまで嗅ぎつけたんですよ」

 「は、はぁ…」

 「今夜、あなたの家に行かせてもらえないでしょうかね?」

 「えっ?」

 「いえいえ、無理にとは言いません。少し気になるだけです」

 俺は何か怪しげな気を感じたが、断ると気を悪くするのではないかと思い、こう言い放った。

 「分かりました。では、午後7時岡野沢駅の西口で…」

 「あぁ、わかった。じゃあ、また後で」

 そして、宇佐美は応接室を出ていった。

 午後7時、岡野沢駅西口。俺は駅を出て、すぐに宇佐美に会った。

 「すいません。少し、仕事の量が増えてしまって…」

 「いやいや、いいんだよ。さて、行こうじゃないか」

 そして、俺と宇佐美は自宅に着いた。

 「ちょっと汚いですが…どうぞ」

 「じゃあ、失礼させてもらうよ」

 宇佐美が先に入ると、俺も部屋に入り、扉の鍵を締めた。

 「じゃあ、例のゲームを出してくれないか」

 「は、はい」

 俺は急いで駄ゲー庫に向かい、例のゲームを出し、宇佐美のいる部屋に戻った。

 「ほほう、これは例の…」

 「じゃあ、セットしますね」

 俺はカセットをゲーム機にセットし、電源を点けた。そして、画面には『START』と浮かび、ボタンを押した。しかし、画面は変わらず、俺はボタンを連打した。

 「あっ、あれっ?おかしいな?」

 「ど、どうした?」

 「今、ボタンを押してるんですが、始まらなくて…」

 すると、急に文字が消えた。

 「ん、始まったのか?」

 すると、『ブーーーーーー』という音をだしなから、文字が浮かんできた。

 『社長    そこに   るのは  わかっ   永遠    くるし』

 「な、何だこれ…」

 俺が画面に釘付けになっていると、頭に固いものが当たった。

 「ん?」

 俺は当たった方向に顔を向けると、そこには銃を持った、宇佐美がいた。

 「な、なにを…」

 「君はね、今ここで死ぬべきだ」

 「な、なんですか、急に!」

 「冥土の土産に教えてやろう。実は私は、原稔だ」

 「は、原稔!?な、何故…あの人は死んだはずでは」

 「あぁ、確かに、原稔という男は死んだ。しかし、実際に死んだのは宇佐美だ」

 「えっ?」

 「アイツは馬鹿だった。同業者の私を落とすためだけに、事件を調べた。だから、アイツの頸動脈を切ってやった。しかし、私には裏社会の友人がいる。だから、私は、戸籍上を宇佐美に、宇佐美の戸籍上を私にした」

 「な…」

 「後、諏訪部も殺したのも私だ」

 「へっ…えっ?」

 「アイツは裏で昔の事件の事を調べていた。だから、口封じの為にアイツを殺したのさ」

 「………」

 「後はお前を殺すだけだ。まぁ、今回はいつものように頸動脈を切れないのがアレだが…」

 「な、何故…何故俺を殺す必要がある!」

 俺は最後の反抗で、宇佐美、いや、原に叫んだ。しかし、奴の答えは醜悪にまみれたものだった。

 「それは私の快感を満たすためだよ」

 「満たすため…?」

 「あぁ、確かに秘密を知った者は殺すさ。でもね、人を殺した後はまるで沼にハマったかのようにその快感から抜けられないのさ。だ、か、ら、今から君を殺させてもらうよ」

 俺は全てを悟り、目をつぶった。すると、インターホンの音が聞こえた。

 「なんだ、こんな時に」

 原は玄関に向かった。

 「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!」

 すると奴の断末魔が聞こえ、俺は急いで玄関に向かうとそこには喉を掻っ切られ死んでいる原と、腕をだらんとさせて、爪が異常に伸び、こちらを見る少年がいた。

 「これは…君がやったのかい?」

 俺は軽く震えながらも少年に聞いた。しかし、少年は首を縦にコクリとしただけで、何も言わなかった。

 「名前は?両親はいないのかい?」

 「……………僕は佐久間駿。このおじさんに殺されたんだ。お父さんとお母さんはまだ生きてるよ」

 「……」

 「じゃあね」

 すると、少年はそこからはいなくなっていた。





 数年後。

 「ただいま〜」

 「お帰り〜」

 俺は前々から好きだった同期の女子と結婚した。

 そして、俺はあのゲーム売り払った。なにか、呪いが込められてそうで怖かったからだ。

 更に、俺はあの子との間に子供も生まれた。

 「パパおかえり〜」

 「おぉ〜瞬、ただいま〜」

 名前は瞬。男の子だ。

 「今日も元気だったか〜?」

 「もうっ、あなたったらっ、元気にしてたわよ」

 「そうかそうか。よかったよかった」

 「そういえば、あなた宛に何か届いたわよ」

 「おう」

 俺はテーブルの上にあった、少し膨らんだ封筒を開けた。そこには四角いゲームカセットに白文字で『駄』と書いていて、右下には小さく『by原』と書かれていた。

 「あぁ…」

 「何が届いてたの?」

 「あぁ…」

 「パパ〜。どうしたの?」

 俺はゲームカセットを持つ手が震い、身体中の血の気が引き、妻と瞬に何も言う事ができなかった。











 東京都羽良町のとあるマンションの508室にて、小野寺十三というゲームオタクの男がとあるニュースを見ていた。

 『次のニュースです。東京都羽良区にて、頸動脈を切られた死体が3体出てきました。また、現場には、『駄』と書かれているゲームカセットが発見され、警察は、事件と見て捜査を進めています』

 「フ〜ン…変な事件だな〜おっ!そういえば…俺がネットマーケットで買ったゲームも真ん中に『駄』って書かれてたな。出品者の名前、『ヒリムハレ』って変な名前だったな…」

 その時、インターホンの音がした。

 「郵便で〜す」

 「は〜い」

 荷物が届き、小野寺は箱を開ける。

 「よし、これで遊べ…何だこれ?」

 確かにゲームカセットの真ん中には白文字で『駄』と書かれている。しかし、その右下には『by原』と書かれていた。

読んでいただきありがとう御座いま縺ェ縺溘?縺ェ繧上&縺セ縺ェ縺セ縺ッ繧…


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