転生
第一章は男主人公メインの視点で展開していきます。
目が覚めると、綺麗な女性の顔が目の前にあった。
「**?********?」
女性は赤ん坊をあやす様に俺に接してくる。
うん?いや、これ俺が赤ん坊なのか。どういうことだ?
状況がよくわからなくて混乱している俺を女性は優しく抱き上げてくれる。
「****、************?」
何を言っているのかわからん。
残念ながら、というか当たり前か?日本語ではない。
白い髪に青い眼。見た目が日本人ではないので、まぁやむなしというところだが、英語でもないな。
「**、***。****************?*********。」
男性が部屋に入ってきた。
この男性は栗色に赤い眼をしている。俺の頭を撫でながら、女性となにかを話している。
もしかして、この女性と男性は夫婦……か?
で、俺は二人の子供と。うーん。いやしかし、状況がわからん!
俺は何をしていた?妹と買い物に出かけ、バイト先に寄り、銀行で……
く、アレが夢ということはあるまい。意識がはっきりしすぎている。
思い出すのは妹の顔。
……俺は転生したのか?
周りを見ると、立派な部屋だ。この二人の身なりもいい。
時計や蛍光灯らしきものもあるし、ここから見た限りでは文明レベルはそれなりに高いように見える。
お、あれは鏡か。女性に抱かれた自分の姿が見える。……一歳ぐらいか?乳児ぐらいの大きさに見える。
髪は白か?眼は赤いようだ。さて、どうするか?
「**?**********……*****?」
「**、************。****************************。」
俺がどうしようか考えていると、二人が戸惑っている会話が聴こえた。
どうしようか。乳児らしくすればいいのか?
乳児らしいってなんだ。とりあえず泣けばいいのか?
「***********************?***********。」
何かを言うと、男性は女性から俺を抱き上げて歩き出す。
部屋を出、廊下をずんずん進む。
廊下や部屋を見ると、やはり立派だ。貴族の屋敷とかそんな雰囲気の。いや、貴族の屋敷みたことないけど。
メイドらしき格好の人ともすれ違ったし、もしかして本当に貴族?
考えているうちに外にでた。
俺がもともといた部屋は2階だったようで、廊下の窓から見える景色から、この屋敷は少し丘になっているところに立っているようだ。
窓から見えた景色には栄えている街が見える。外壁らしきものも見えた。
よくあるファンタジー世界にあるような街がイメージされるが、まさか、ここはそういった世界なのか?
いや、確かに異世界転生とかそういうのは前世では流行っていたが、安直にそう決めつけは……いやしかし、前世の記憶持ちとかまさにそうじゃないか?
俺もステータス!とか言えば自分のステータスでも見れるのだろうか……。
俺を抱きながら庭を歩く男性。
女性は、テーブルと椅子がある屋根付きのスペースのところに行き、椅子に腰を下ろした。
執事らしき人がテーブルに紅茶らしき飲み物を運んでき、女性はそれを飲みながらニコニコとこちらを見ている。
俺を抱いている男性はあれこれと俺に話しかけているが、何を言っているのかわからない。
しばらくすると、衛兵らしき格好の人が駆け込んできた。
「*****!******、*************************。」
「*****、*****。」
何かあったらしい。
男性は衛兵らしき人となにかを話したあと、俺を女性に預けて何処かへ向かっていった。
男性を心配そうに見つめる女性。
話している言語を理解できないから何が起きたかわからないな……。
情報は重要だ。最優先で言語を覚えよう。
言語を習得するにはどうすればいいのか?
人それぞれだと思うが、俺の場合はまずは語彙力をつけること。
というわけで、目が覚めた部屋のベッドに戻されたわけだが、思ったが吉日。
さっそく言語習得のためにアクションを起こそうと思う。
ベッドからは一人では下りられなかったから、なんとか女性に下りたいことをボディランゲージで伝えてみたらうまく伝わってくれた。
本棚に本があるから、そこまで歩き……歩けない。バランスを崩してすぐ倒れてしまう。
ぬぅ、思うように動けないのも不便だぞこれ。
女性に、本棚にある本も指を指して、あーあー言ってみる。
うん、伝わった。女性は本棚から本を一冊抜いて持ってきてくれた。ありがとう。
さて、本を開くが……うん、何書いているかさっぱりわからん。
絵本はないか?伝われ、俺の想い!
……伝わったらしい。というか、あるのか絵本。
絵本って、わりと馴染みがない国もあるだろうに。
一通り絵を見てみるか。どれどれ……。
・女の子が白い鳥と話をしている
・女の子が虐められている
・虐めていた子が華やかなところにいる反面、女の子は家で掃除をしている
・女の子のところに白い鳥がやってきて、ドレスや靴を持ってくる
・女の子が王子らしき人と華やかなところで踊っている
・女の子が何やら逃げる。その際、靴が片方脱げてしまう
・女の子がまた虐められている
・王子らしき人が、靴をもって現れる
・女の子に靴がぴったり
・結婚式
……うん、これ、灰かぶり姫っぽい感じだな。
偶然かどうかわからないが、話のあらすじがわかるなら、少しは勉強の手助けになるので助かる。
とにかく女性には言語の先生になってもらおう。