召喚
歌が聴こえる。
安らぐような、けれど、どこか寂しそうな。
ずっと聴いていたい。けれど、それは叶わなかった。
助けて!
歌は救いを求める声に変わった。
助けて!
誰かが助けを求めている。
助けて!お願い!
あぁ、俺が君を助けるよ!
ゆっくり目を開けると、自分が光の柱の中にいることに気が付く。
目の前には、祈るように手を組んだ少女。
「俺を呼んだのは君かい?」
「……!(こくっ)」
少女はこくりと頷く。そうだ。俺はこの子を護らないといけない。それがお前の役目だと頭の中の何かが語りかける。
「なんだてめぇは!」
振り返ると、大男が斧を構えてこちらへ向かって叫んでいる。
「お前たちが、この子に害を及ぼす敵か?」
頭が冴え切っている。なんだろうか、この感覚は。
「お頭、なんかヤバイ。逃げた方が!」
「うるせぇ!見ろ、ガキじゃねぇか!」
男達は俺を見て言い争いをしている。
お頭と呼ばれた大男が斧で俺を切りつけてきた。
「死ねっ!」
俺はそれをいつの間にか右手に持っていた大剣で弾く。大剣を振るったとき、光の柱も霧散した。
俺はいつこの剣を手にしただろうか?まぁいい。それにしてもこの剣、妙に手に馴染むな。
「ひっ!眼が!それに、つ、翼!?」
大男に逃げようといった男が俺を見て怯える。
眼?翼?まぁ、どうでもいい。ここにいるヤツは全員敵だ。
俺は左の手のひらを大男に向け、そして握る。
「ぴゃ」
プシャっと大男の頭が潰れる。直接触れたわけでもないのに、大男の頭はトマトを握り潰すかのように潰れた。飛び散った血が俺に降りかかる。
穴が空いた天井から見える空。どうやら日は暮れたらしい。赤く輝いている満月が俺を照らしている。力が溢れてくるようだ。
あぁ、気分がいい。なんだこの高揚感は!最高の気分だよ!大声を上げて笑いたいくらいだ!
俺は続いて逃げ出そうとする男に近づく。俺は走ったつもりはないのだが、一瞬で目の前に男の顔があった。
「ひっ!お、お助け」
助けを乞う男を問答無用で叩き切る。
「次は誰だ?」
「ひぃぃい!」
男達は我先にと逃げ出す。俺はそれは次々と切っていく。
逃げずに抵抗した男もいたが、俺に向けてきた剣ごと切り捨てた。
すぐに動く者はいなくなった。他に敵は?獲物はどこダ?モッと、もットダ!
大勢ノ足音ガ近ヅイテ来ル。武装シタ連中ダ。何カ叫ンデイル。アレモ、獲物カ?
がしっ!
「……!(ふるふる)」
アン?誰ダ?コノ、トテモ美味シソウナ女ハ。
……イヤ、ダメダ!コノ女ハ生カシテハナラナイ!コノ女ハ天敵ダ!
(えぇい!正気にもどらんか!)
ナンダ、剣ガ光ッテ!?
眩シい!ナんだ、イッタい何が起こって……。
「……!(ふるふる)」
気が付くと、少女は怯えながらも俺にしがみ付き、見上げながら首を振っていた。
あれ?この光景、どこかで見たような気がする。
一瞬、この子が知っている誰かの姿に被る。あぁ、誰だっけ?とても、とても大切な子だったような気がする……。
「セレスティア様!」
もう一人の少女が、俺にしがみついている子を引きはがそうとしている。この少女は俺を警戒しているようだ。
周りを見ると男達だったモノは無残な姿になってあちこちに転がっている。血がいたるところに飛び散っていた。
(これを俺がやったのか?俺は……人を殺したのか?)
顔に手を当てる。べったりと血が付いていた。




