魔法の修行
3歳に僕たちはなった。
最近になってだが、やっと親の名前が分かった。
母は、ハンナ・フローレス。
ということは名字が、フローレスとなって、僕の名前は、トモヤ・フローレス。
神様は、セクアナ・フローレス、となった。
僕らの暮らしている町にも名前があった。
ハージ村だ。
人口が少ないせいか、他と比べると広いらしい。
そこまで凶悪なモンスターがいるわけではないし、駆け出しの村みたいだ。
そして、完璧にここの国の言語を習得できた!
ちゃんと二足歩行で歩くこともできるし、前世と同じように普段と変わらない生活ができるようになった。
今日はみんなでご飯を作った。
今の季節は冬。寒いから体を温めるために、シチューを食べた。
「今日は手伝ってくれてありがとう。お母さん助かったよ」
「今日のシチューは、みんなで作ったからおいしいね! でも君は、料理が全然できないから野菜を洗う仕事しか、してないけどね。もっと頑張ってよ」
そんなことを言いながら神様は、僕をからかった。
「侵害だな。それを言うならあなただって、包丁でちゃんと野菜を切れてないじゃないか。ほら、なんですかこの大きさがバラバラなのは。料理、下手くそでしょう」
そういいながら、シチューで大きさがバラバラなのを見つけて、神様の目の前に見せつけた。
悔しそうな顔をして僕の方を見つめてきた。
僕は追い打ちのために、少しうざい口調で、
「はぁー、分かってないな。僕は冷たい水に耐え抜きながら、頑張って野菜を洗っていたのに」
「言ったなー」
両手を机に叩きつけて神様は、怒ってしまった。
たまにこんな喧嘩をしている。
そうしていると大体、母が喧嘩をやめさせようと僕たちの間に入ってきてくれる。
普通なら対抗しないけど、今は幼児のせいで気持ちを抑えられないことがよくある。
こういう気持ちは、もう少し大きくなると収まるかな……
「喧嘩しないで。二人のおかげでちゃんとできたんだから、味わって食べましょう」
そう言って僕たちの気持ちを落ち着かせてくれた。
毎回、母の一言で喧嘩が終わって、静かになる。
母の力はすごいな。
「さあ、もう食べ終わっ
はなった。
最近になってだが、やっと親の名前が分かった。
母は、ハンナ・フローレス。
ということは名字が、フローレスとなって、僕の名前は、トモヤ・フローレス。
神様は、セクアナ・フローレス、となった。
僕らの暮らしている町にも名前があった。
ハージ村だ。
人口が少ないせいか、他と比べると広いらしい。
そこまで凶悪なモンスターがいるわけではないし、駆け出しの村みたいだ。
そして、完璧にここの国の言語を習得できた!
ちゃんと二足歩行で歩くこともできるし、前世と同じように普段と変わらない生活ができるようになった。
今日はみんなでご飯を作った。
今の季節は冬。寒いから体を温めるために、シチューを食べた。
「今日は手伝ってくれてありがとう。お母さん助かったよ」
「今日のシチューは、みんなで作ったからおいしいね! でも君は、料理が全然できないから野菜を洗う仕事しか、してないけどね。もっと頑張ってよ」
そんなことを言いながら神様は、僕をからかった。
「侵害だな。それを言うならあなただって、包丁でちゃんと野菜を切れてないじゃないか。ほら、なんですかこの大きさがバラバラなのは。料理、下手くそでしょう」
そういいながら、シチューで大きさがバラバラなのを見つけて、神様の目の前に見せつけた。
悔しそうな顔をして僕の方を見つめてきた。
僕は追い打ちのために、少しうざい口調で、
「はぁー、分かってないな。僕は冷たい水に耐え抜きながら、頑張って野菜を洗っていたのに」
「言ったなー」
両手を机に叩きつけて神様は、怒ってしまった。
たまにこんな喧嘩をしている。
そうしていると大体、母が喧嘩をやめさせようと僕たちの間に入ってきてくれる。
普通なら対抗しないけど、今は幼児のせいで気持ちを抑えられないことがよくある。
こういう気持ちは、もう少し大きくなると収まるかな……
「喧嘩しないで。二人のおかげでちゃんとできたんだから、味わって食べましょう」
そう言って僕たちの気持ちを落ち着かせてくれた。
毎回、母の一言で喧嘩が終わって、静かになる。
母の力はすごいな。
「さあ、もう食べ終わったなら寝る準備をしておいで」
「はーい」
歯磨きやトイレなどをして、そろそろ寝ようとしていた。
この世界に来てからのんびりした生活をしているな。毎日暗くなるとすぐにご飯を食べて、あまりやることがないから多分8時、9時くらいに寝ているだろうか。
まぁ、まだ3歳だからしょうがないのかな。
「ちょっといい?」
神様は、そんなことを言いながら、僕の腕を掴んであまり使わない部屋に連れて行かれた。
「話したいことがあります」
そう言いながら僕の方を向いた。
今まで子どもとして過ごした顔ではなく、初めて会った時の真面目な表情をしていた。
「まず、その……一応、私たちは兄弟なのでせめて名前で呼び合いませんか?」
「……あっ!」
本当だ。今考えると、名前で呼んだことがなかった。たまに僕が神様と呼んでいて、それ以外は熟年夫婦みたいに、あなたや君などと呼んでいた。
「えっ、でも女神様は神様じゃないですか。僕なんかがそんな軽々しく名前なんか……」
「もう私は女神でも神でもありません。そんなものはもう捨てました。ここにいるのは、ただのセクアナです。
ハンナお母さんに育ててもらっている普通の子どもです」
「でも、い、いきなりそれは馴れ馴れしくないですか? ま、まずはみ、名字から……」
いきなり異性を名前で呼ぶのは照れる。
「フフフ、照れてるんですか? それに名字、同じですよ!」
「あっ」
「まぁ、いきなりってことじゃないからいいけど、私はもう女神様じゃないよ。普通の人間。
それくらいの覚悟で来ているんだからね!」
「す、すいません……」
そうだ。神様はすごい覚悟で来ているんだ。僕もそれに応えないと。
「う、うん」と咳払いをして空気を換えようとした。
そしてまっすぐ前を向いた。
「では、改めて僕はトモヤです。そのままトモヤと呼んでください」
「はい! 私の名前は知っているとは思いますが、セクアナです。トモヤ、これからもよろしくお願いします!」
名前で呼ぶようになっただけだが、なんだか一気に距離が近づいた気がした。
一つ目の話が終わり、大事な話は続く。
「あまり私たちが入らない部屋で、話をしようとしたのは、理由があります」
すると僕の方に近づいてきた。
トン。
両手を僕の肩の上にのせた。
「私たちは、サタンを倒すためにこの世界に来ました。そろそろ強くならないといけません。だから明日から魔法を一緒に学びましょう。いや、魔法以外にもいろいろなことを修行して強くなりましょう!」
「やっとですね!」
待ってました、と言わんばかりに笑顔になった。
この三年間、のんびり暮らしていたせいで、本当の目的を忘れていた。
やっと魔法か。
明日から修行。
とうとう雷魔法が使えるのかな!
そう考えると僕の体は熱くなり、とても興奮してきた。
この日の夜、修行のことが楽しみすぎて眠りにくかった。
次の日、初めての修行ということで朝早く起きた。
いつも僕たちは朝の8時くらいに起きているので母は、驚いていた。
「どうしたの? 珍しいね」
「僕たちは将来強くなるために、今から修行してくる!」
僕が自信たっぷりにそんなことを言うと、母は子どもの成長をほほえましく感じているような表情をしていた。
本に出てくる英雄に憧れて強くなろうとしている、と思われているようだ。
確かにまだ幼いからそんな風に思われるかもしれない。
「そうなんだ。頑張りなさいよ」
明るく見送ってくれた。
外に出るとちょうど太陽が出てきて昇ってきて、程よい明るさになっている。
「ふっ、あぁぁぁーーー」
セクアナは大きなあくびをしながら、背伸びをしていた。この人は意外に朝が弱いのか、まだ目がしっかりと開かずに、眠そうだった。
初めて早起きしたから眠いのも当たり前か。のんびり暮らすのに少し慣れたからな。
「さーーーーて、修行を始めまーーす。まずは準備体操をしまーす」
そんなことを言いながら頭がかくかくと揺れていた。
本当に眠そうだ。
これではなかなか始まらないと思い、もう一度家に入って冷たい水で顔を洗ってもらった。
ここまでしてやっと目を覚ましてくれた。
「おはようございます。やっと目が覚めました。では、改めて体操をしましょう!」
いつものテンションに戻ったので修行が始まった。
軽く体操した後、まず魔法について教えてもらった。
「魔法は色々な属性があります。かんたんに分けると、3種類で召喚魔法、変身魔法、そして自然魔法です。
自然魔法は火、土、水、風の4種類が起源で、最近はここから様々な種類が遺伝によってできています。
大体この中で一種類だけ私たちは操ることが出来ます。滅多にないことですが、2種類の魔法を操れる人もいます。
私は、水の女神だったので自然魔法の水属性ですね。あなたは設定によって雷魔法ですが……」
「あの……ずっと聞きたかったんですけどなんで雷魔法が最弱なんですか?」
「それは、2つの理由があります。まず電気というものがこの世界ではみられないからです。家の光は全て魔石によって明るくなっているし、電気を見るのが自然現象として起こる雷くらいです。それによって魔法で一番大切なイメージができず、操れないんです。
そしてもう一つは、雷魔法を授かった人が数人くらいしかいないことです。
召喚魔法や変身魔法は簡単に制御できるのですが、四大魔法は制御するのがとても難しいのです。だから、昔の人は研究して詠唱などによって制御できるようになり、今では、先生や本などがあります。
しかし雷魔法は、数人しか授かっておらず、研究も進んでいないので、操れても体の周りに電気を出すくらいです。それに電気を出し続けるのはとても魔力を使います。そして放出することができないこともあり、最弱になってしまったのです」
長い説明が終わると、僕の方を気の毒そうに見つめていた。
「そんな顔しないでください。自分の意思で転生したんですから。ちゃんと制御できるようにします」
心配させないように笑顔で答えた。
セクアナもいつものように戻り、やっと魔法の修行が開始された。
「さて、まずは自分の魔法、トモヤなら電気を出してみよう! ……どうぞ」
「……? どうやって?」
「普通にだよ、普通に」
「………? だからどうやって?」
もしかしてこの人、感覚で教える人かな。
やばいよ。
そんな教え方なら僕、このまま最弱で人生、終わってしまうよ。
セクアナも、意味が分からなかったのか首を傾げている。
「あっ、そうかごめん。この世界の常識なんて知らないよね。えっと、まずは深呼吸をして心を落ち着かせましょう」
「スーーー……ハーーーー」
「そして自分の手のひらをじっと見つめて、体の中から雷を出すようなイメージをしましょう。あとは魔法を出すことだけに集中して!」
この練習はしんどいらしい。なかなか魔法を具現化できなくて、精神的にも辛いからだ。それでも、魔法お使うためなら誰もが通る道らしい。
これさえできれば少し楽になるかも。
まぁ、僕は最弱の魔法だから他の人よりもっと頑張らないといけないけどね。
「ぐぬぬぬ……」
「ふー」
「はぁぁぁ……」
「あっ、蝶々! 待ってー」
「……」
「こっち、こっち、 来ーい」
「雷……出てこい……」
「あっ、止まった!」
「……あーーー、もう、うるさーーーい!!」
僕の大声にセクアナは、肩を震わせて驚いた。少し怖がってこちらを向く。
「セクアナ! ていうか、神様! 集中しているんだから乱さないでください!」
結構大きな声で怒ったので、少し涙を浮かべて反省していた。
「すいません、あまりに綺麗な蝶々が飛んできたから」
「全く、反省したならいいです」
腕を組みながらそう言った。
「セクアナは練習しなくていいの? 魔法、使えないでしょ」
「何言っているんですか。私は元から使えてますよ。ほら、初めて会った時ウサギの人形を動かしていたじゃないですか」
そういえば人形が動いていたな。
あれって魔法だったんだ。不思議な空間だったから勝手に行動していると思っていた。
セクアナは手のひらを出していた。
「見ていてくださいね」
深呼吸をして気持ちを落ち着かせて、手のひらに集中していた。しばらく静かだったがすぐに小さな水滴が集まって、こぶし大くらいの水の球が出来ていた。
「うわぁーー」
パシャン。
見せ終わったら、すぐにつぶれた。
たぶん、とても集中力がいるんだろう。
「どうでしたか? 本当はもっと使えたんですが、子どもの姿になると、どうも魔力が弱くなってしまうんですよね」
僕と同じレベルだと思っていたから少し悔しい。僕は負けないように、再び練習しようとしていた。
「本当は、5歳くらいからこの練習をするんですが、やっぱり早い方がいいかなと思って。まぁ、私も今から頑張りますので、まずはこれをできるようにしてください」
「放出することは出来ますか? ぜひイメージのためにもできるなら見してほしいです」
「えっ、放出ですか……一応頑張ってみます。スー、ハァーー」
さっき同じように、こぶし大の水の球ができた。
「はっ! アクアボール」
その声と同時に高速で水弾が飛んで行った。
「おお出た!」
ガシャン
上手に魔法を放出できたが、その水弾は母が大切そうに育てていた植物の植木に当たってしまった。
「あっ!?」
「うわぁ!」
「やばいよ、セクアナ」
「どうしよう、どうしたらいいかな」
一度、これを壊してとっても怒られたことがあったからとても焦った。今までで、その時の母の顔が一番怖かった。
「んっ、んん!」
「……」
「……」
気が付くと後ろには、母が立っていた。
僕達は、顔が真っ青になりながらんもゆっくりと振り向いた。
母は笑っていた。だが、目だけは笑っているように見えない。絶対すごく怒っている。
「魔法の修行か……練習するのはいいけど、大切な植物に向けてやるのは止めなさいよ。次やったら……どうなるかわかるよね」
「……すいませんでした!!」
同時に僕とセクアナは深々と頭を下げて土下座をした。
今回は、そこまで怒鳴られなかったから安心した。
それにしても怖かった。
「今日は、もう魔法の練習はやめましょう……」
よほど怖かったのか、今日は魔法の修行は終わった。
まだセクアナの声は怯えているように聞こえた。
「さて、気を取り直して次は鍛錬をしましょう。鍛錬をすることによって体力や筋力、集中力がつくので結果的に魔法の力も伸びます。きついことですがまぁ、頑張りましょう」
「えっと、まず何をするんですか?」
「そうですね。簡単にいうと筋トレ、走り込みなどなど、基本的に体つくりをします」
「わかりました。あの……剣術とかってありますか?」
「一応ありますが、私たちの体では筋力がないのでまずは、筋トレですね」
そう言いながら、体つくりのために筋トレを行った。
ただ、自際にやってみると腕立てや腹筋が全然できない。
あぁ、今まで怠けていたことや、子どものせいで一、二回出来て限界だった。
セクアナは、頑張っているが腕立ては全滅状態で一回すらできずに崩れていた。無駄に足には筋力があるのにな。
だんだんやってくると前世の感覚もあり10回は出来るようになった。改めてセクアナを見ると、2回くらいしかできていない。脚力で負けたから悔しかったが、腕がプルプル振るえているところを見ると、面白かった。初めて女神様に勝てる要素を見つけれたので少しうれしかった。
修行をしていると正午くらいになっていたから、疲れも出てきたので昼食を食べて休憩することになった。
家に入ると、母はカレーを作ってくれていた。
「お母さん、昼はカレー?」
「そうだよ」
まだ植物のことで怒っているのか顔を合わせてくれなかった。けど、疲れた時にスタミナがたくさん摂れるカレーを作ってくれて、母の愛情がとても伝わってきた。
本当、大事に育てていた植物を壊してしまいすいませんでした!?
昼からはランニングをした。
「できるだけ私のペースに合わせてよ! そうじゃないと体力つかないよ」
そう言われ、出来るだけ頑張った。
でもセクアナは、足が速いので僕の力では追いつけなかった。途中でペースを合わせてくれたから最後まで走りきれたと思う。
大体のコースは畑がある広いところや、赤ん坊の頃、たまに母が連れて行ってくれた山を登ったりした。
ここは田舎だから自然が豊かで景色がよく、走っていても飽きない。それにたくさんの動物とも出会えて、とても楽しい。たまに小動物を見つけると休憩して、もふもふの毛並みを触って癒される。
「さぁ、今日は山に登って……てあれ? トモヤ……」
さっきまで近くにいたトモヤの姿がなかった。
しばらく近くを探してみると、結構距離の離れたところにいた。
「おーい、トモヤ! どこに行ってたの?」
「え? すぐそばにいたんですけど……」
不思議そうに首を傾げていた。
「もしかしたら、少し方向音痴だからそのせいかも」
「ふーん、そうなんだ。これからは気をつけてよ!」
「うん!」
「じゃあ、今日は最後に山登り」
「いいですね」
セクアナはこの時、なんとも思ってなかったがこれから何度もトモヤの方向音痴に悩まされるのであった。
そして今日の最後の修行メニュー。
山の頂上までついた。
「うわぁーー」
「ふーーー」
何回ここに来ても素晴らしい景色に感動する。そしてその近くに流れる川の水は美味しい。疲れが吹っ飛ぶようだ。
太陽が山に沈む頃、僕たちは家に帰ってきていた。
あまりに疲れたのでご飯を食べたらすぐにベッドで寝ていた。
今日は疲れたな。
魔法のイメージがすこし分かったから、次から使えるといいな。
それから五カ月くらいたった。
だいたい、修行は週に2回くらい休みがあって学校と同じ感じだ。
ランニングや、筋トレに慣れてきて体力がしっかりついてきた。この頃から剣術の練習が始まった。剣はランニング中、まぁ迷子にはなったが、森などでいい大きさの枝を見つけて、ナイフで形を作った自家製の木刀で練習した。
意外に持ってみると重かった。
慣れるまでに時間がかかりそうだな。
そんなことよりも僕は、とても不安に思っていることがある。それは魔法だ。ずっと電気を出すことを意識していたが全然だせなかった。
どうしたらいんだろう?
早く操りたい。
剣の修行は素振りから始まった。
「えいっ、やあ、とう」
一応声は出す方が力が入るので出した。しかし剣が重いことや、慣れていないから真っ直ぐ振ることができなかった。
大体100回くらい素振りをした。
「セクアナ! 剣術は他にどんなことをやるの?」
そう聞いたが困った顔をしていた。
「その・・・ 剣術のことなんですけど、本当は型とかありますがそういうのを知らなくて、いきなり実戦形式でやりませんか?」
「いきなりですね。確かに、女神様でも知らないことはありますよね。すいません、僕も最近、セクアナの言うことに頼りすぎていたかもしれません。実戦形式の方が早く強くならるとおもうし、じゃあ、そうしよう」
「あっ、でもこの木刀のままだと怪我をしてしまうからこうしよ」
そう言って僕は、衝撃を和らげるために、木刀を布でぐるぐる巻きにした。
こうして木刀も出来上がり、実戦形式で練習をした。
「ではいきますよ。よーーい……」
「はじめ!」
合図と同時にお互いが踏み込んだ。
カツン
僕とセクアナの剣がぶつかり、制止した。こうなったら腕の力が強い僕の方が有利になり、このまま押し勝てると思った。
しかしセクアナは、足の力が強いので後ろに下がり、攻め切れそうだった間合いが開く。
お互いに得意な力を活かせたので同じ強さだった。
最終的に、僕がおもいっきり振った剣をセクアナが受け止めきれず剣を離してしまい、始めの勝負は勝った。
2戦目は、セクアナがすばしっこく動いてその動きに対応できず、一本取られた。
結果、ほぼ引き分けで終わった。初めてだからいろいろ反省点も見つかった。
修行も終わり、疲れたので木の陰に入って昼寝をしようとする。
正直、剣術より電気が出せない方が不安だ。だから暇な時間があれば練習していた。今は疲れているし、手のひら出していると電気が出ないかな、と淡い期待を持ちながら寝転がった。
そんなことをしていると発電工場のみんなのことを思い出す。
どんな暮らしをしているのだろうか。
今の自分の姿を見てほしいな。
確か発電は、蒸気の力によって羽を回して、それを発電機によって電気を作っていたなぁ。
それを放出するイメージを持つと電気が発生するかな?
軽くそんなことを考えていた。すると、
ビリッ、ビリビリッ
手のひらを見ると青い電気が発生していた……
「やったあぁぁぁぁぁ!!」
僕は今日、やっとスタート地点に立った。
セクアナもその光景を見ていた。そしてとても驚いていた。
「えっ……もう魔法を使えたんですか? すごい……私、初めてトモヤとこの世界に来てよかったと思えたよ!」
「初めて思ったんですか!? 結構心に刺さる言葉なんですけど」
そんな冗談を言いながらも、本当に電気を出せた。
まだまだ、セクアナには追い付けないが、今は素直に喜んだ。
「良かったね」
「うん!」
セクアナも輝くような笑顔を向けてくれた。
ただただ、嬉しかった。