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雷魔法が最弱の世界  作者: ともとも
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転生

天国に行く、と思っていた僕は固まっていた。


「てっ……転生ですか?」

僕は首を傾げていた。


「しかも女神様と一緒に!?」

「はい、お願いします」

「えっ、そんな……いきなり言われても……まず、異世界のことを教えてもらえませんか?」

「あ、すいません、忘れていました。そうですね……簡単にいうと魔法が使えます。しかしモンスターや魔人などもいるので、あなたの生きていた二ホンのように平和ではありません」

「魔法! すごいですね」


魔法に魔物、よくありげな異世界転生だ。もしかしたらチート能力とか所得出来るのかな……

最強の魔剣とかどんな攻撃も受け止めきれる鎧、それとも大量の魔力を持っているとか。


「でも僕なんかが転生してもすぐ死んでしまいませんか?」


最悪の場合を考えていたがそれは当たっていた。


「たしかにあなたはすぐに死んでしまうと思います。だってあなたは、最弱の魔法を操ることになるんですから」

女神様は暗い口調でそう言った。


確かにそうだよね。僕、今は何もできないもん。

悲しくなった。


「ですが!」

とても大きな声が響いた。


「私も一緒に行きます。あなたは一人じゃありません。必ず私が守るので安心してください」

胸に手をあてて、自信満々に言われた。

なんていい人なんだ。

頼もしい。


「あっ、一番大事なことを言い忘れていました。今、私の世界では魔王サタンによってたくさんの人が苦しめられています」


すると女神様がは、祈るようなポーズをして、こちらを見つめていた。

「お願いです……どうか私の世界を助けるのに協力してくれませんか?」


ズルいです。そんな表情をするなんて。


でも僕はなんの力もないし、操る魔法が最弱の魔法だ。それに頭がいいわけでもないから他の人の方がいいと思い、断ろうとした。


「はぁ……他の世界から転生してもいいという人には、最弱の雷魔法しか操れないという条件があるので、たくさんの人に断られました。あなたなら、と思ったのですが、さすがに無理ですよね……」

「今なんて?」


僕は女神様が落ち込んで言った言葉を聞き返した。

「えっ? あ、あの……転生してもいい人は最弱の雷魔法しか操れないと……」

不思議そうに答えてくれた。

だが、僕はもう一度、確かめるために聞き返す。


「もう一度言ってください!」

「雷魔法しか操れないと……」


「転生します!!」


僕は大声で言っていた。

大声を出したせいで、女神様は怖がってしまった。今度は、少し慣れたのかすぐに落ち着いてくれた。


異世界に転生しても意味はないと思っていた。でも僕なんかが役に立てる。それに大好きな電気を操れるかもしれない。

そう考えるとすぐに転生したいと思った。


「本当にいんですか? 最弱の魔法ですよ。しかも私の世界ではちゃんと操れた人もいないし、魔王サタンも雷を操るので、恨みを持っている人たちに、差別されることもありますよ!」

「大丈夫ですよ、たぶん」

「そんな簡単に考えてはダメです。転生したら戻ってこれないんですよ!」

「それでも行きたいです!」

「しかし、とても過酷です。覚悟はできてますか?」

「はい!」

堂々と返事をした。


「だって僕しか、こんなに雷に適した人いないじゃないですか。雷に打たれて死んでしまったり、発電工場のむすこだったり……アハ、アハ、アハハハハハハ」

いつの間にか僕は、興奮していて早口になっていた。いつもの喋り方ができなくなっていた。


もうすぐ……僕の夢が叶う!


変な笑い方のせいで、少し女神様が引いているように見えるがまあいいか……


いろいろあったが最終的に納得してくれた。


今思うと、この選択はこんな簡単に決めたのは間違っていた。まさかあんな出来事が起きるとは、今はまだ考えられなかった。


「では、一緒に頑張りましょうか!」


あっ。

自分のことばかり考えていて今気づいたが、女神様も一緒に転生するのか……ダメじゃん


ただでさえ大変なことをしているのに、転生するとなると、もっと大変なことをしないといけないと思い、言った。


「あの、ちょっといいですか。どうして女神様も一緒に転生するんですか? その……わざわざそんな大変なことをしなくてもいいと思うのですが」

意外な質問だったのか、目を丸くしていた。


「なぜって、それは私がこの世界のことが大好きだからです!」


満面の笑みで答えていた。

「女神だからそんなことをしないじゃなくて、女神だからするんです。私の世界は今、ピンチです。モンスターや悪魔が強くて、もしかしたら人々が死んでしまうかもしれません。こんな世界だからこそ平和にするため、私も行きます!」


凄い覚悟だった。それに愛に満ち溢れていた。

改め女神様はすごいと思った。


話はまとまり、異世界へ転生しようと考えていた。

「せやせや……」


女神様はまだ少し関西弁が残っていたのか、普通に間違えた。


どうでもいいけど、たまに方言を織り混ぜて喋る女性ってなんだか、可愛い。


顔が赤くなりながらも、こほんっと咳払いをして、

「すいません言い忘れていたことがありました。転生した時、赤ちゃんとして目を覚まします。わかりましたか?」

「はい! わかりました。あの、記憶とかはそのままで転生できますよね?」

「はい、その通りです」


それにしてもすごいな。本当に自分が異世界に転生するのか。

遠足前の小学生みたいに自分の心がワクワクしているのがわかる。


「あっ!?」

また大きな声を出してしまった。

「わっ! なんですか? 少しの間、一緒にいてわかると思いますが私、ビビりなのであまり大きい声をださないでもらえますか」

僕はソワソワしながら聞いた。


「もしかして、その……僕たちは、えっと、兄弟として生まれるんですか?」

「あっ、忘れていました」

手を挙げて、指を鳴らした。


パチン


音に反応して、パソコンのようなものが出てきた。


「これで細かい設定をしましょう」

「え……? 設定?」

「はい、これでいろいろと設定ができるんですよ。そういう細かいことは、まぁ、私も初めて使うのであまりわかりませんが……」


こんなことができるの……

僕の思って感じとなんか違う。最先端の技術があって転生のムードがなくなった。


「うーん、どうしましょう」

女神様は頭を傾けて悩んでいた。


「今日出会ったばかりで兄弟になるのはなんか変だし、でも一緒に転生するし……そうだ! 義理の兄弟にしましょう!」

いい案を思いついたようだが、僕からすると義理の兄弟の方が気まずい。すこしだけ、こんなに美人な義理の兄弟ができて嬉しい気持ちもあるが。


「じゃあ私が両親に捨てられて、君の家族に拾ってもらって私たちが兄弟になる。という設定にしましょう!」

「複雑!」

思わず僕は、そんなことを言っていた。


「そうかなぁ? まあいっか」

「いんですか、そんなんで!?」

女神様は平気そうだった。

少し抜けているところがある。

いろいろツッコミたかったが思いとどめた。

何より、こんな細かな設定ができるなんてまるでゲームみたいだ。


「さて、設定は出来たので、いよいよ転生します。準備はいいですか?」

「はい、いつでも!」

「では、いきます」


パチン


その音が鳴った瞬間、地面に魔法陣が出てきた。

そしてだんだん光が強くなっていく。


「最後に、言っておきたかったことがあります」

「なんです?」


少しソワソワしていた。

なんだろう?

と思っていると、輝いた笑顔でこちらを向いて、


「ありがとう!」


少し恥ずかしながらも、くだけた口調で言ってくれた。


この笑顔を守るために、何があっても彼女を守ろうと決意した。


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