第1話○出会い○
私が衝撃の現実を聞かされたのは、真夏の校長室だった。
「えー…とだね…。堀山くん…。」
重い口を開けて校長先生は言った。
「今、たった今なんだが…連絡がはいって…。」
「??」
私は首をかしげた。
「君の家が火事になったそうだ。」
「…………え?」
聞き間違いか、と思って私は校長先生の顔を見た。
「………辛いだろうが……耐えてくれ…。」
側にいた教師達もみな「かわいそう」みたいな顔で私を見ていた。
「…両親は??お父さんとお母さんは…」
校長先生は顔をしかめた。
「…まだ連絡がはいっていないんだ。」
「どぉいう…こと??」
私は今にも狂ってしまいそうだった。
私は、校長先生の「両親は無事だ」という言葉が聞きたかったから。
「…救急車で運ばれたそうだよ。」
「………ッ……」
私の目からは涙が溢れていた。
「どうして!?なんで??」
「やけどを負ったそうだ…。まだちゃんとした検査は受けてないが…」
校長先生がそこまで言いかけた時、私は高等質を飛び出していた。
「堀山くん!!!」
校長先生や、教師達の声が遠くなる。
私は無我夢中に走った。
知らない道も通っただろう。
もうココがどこかも分からない。
「ハァ…ハァ…」
私は気付かなかったが、空からはつめたい雨が降ってきていた。
私はしばらくその場に立ち竦んだ。
「……私、なにしてんだろ…??」
その時、急に肩にあった雨が降る感覚がなくなった。
「大丈夫…ですか?」
私が顔あげると、同い年くらいの男が立っていた。
「……ッ!!!」
私は泣いているところを見られたくなかったから、走った。
「うぇっ…。」
私は、声をあげて泣いた。
ビショビショになっているのも、かまわなかった。
「なんで、私だけが…生きてるの??」
まだ両親の死もわかってないのに、私の口からはそんな言葉がでてきていた。
そのとき、ポケットから私の大好きな曲が流れてきた。
それは、ケータイからだった。
私は涙をぬぐい、電話に出た。
『やほー!!
夏♪』
聞きなれた声。
「ゆ…み?」
『うん♪
んで、今どこにいる?
学校探してもいないからさぁ…。
あ、もう帰っちゃった??』
「ご、ごめん…。
今日はなんか調子悪くて…先帰っちゃった。」
『ふ〜ん…。そっか!
お大事にね!
また明日〜♪』
「うん…。バイバイ。」
そういって私は電話を切った。
「はぁ…。」
「あれ?」
手前から聞いたことのある声がした。
私は顔をあげた。
「あっ…。」
「さっきの…大丈夫?」
それは、さっき傘をさしてくれた男だった。
また、男は傘をもって私の元へ来た。
「ビショビショじゃん。」
「……」
私は黙り込んでしまった。
「…なんかあった?」
「…。」
「あ、初対面なのにこんな事聞いたらダメか。」
「その制服…南中じゃん。」
「うん…。」
「俺は川瀬中の内村斎。アンタは?」
「…堀川…夏。」
私は一瞬戸惑ったが、静かに答えた。
「夏…か、じゃぁ、話してみ?」
「……」
「無理…か。」
私はうなずいた。
「まぁ、なにがあったかわからないけど、大丈夫!」
「はい、この傘あげるし!元気だせって!」
私はその言葉に吹き出した。
「そんなのもらってもうれしくないよ!」
「あはは!まぁ、俺も目の前の女の子をぬらして風邪ひかすような男じゃねーよ!」
その笑い顔はとてもかわいかった。
よくみたら、斎は整った顔をしていた。
かっこよかった。
「…南中…の堀山夏、だな!覚えてくよ!」
「川瀬中の内村斎、ね。」
「またな!」
「…ありがと!」
またなって斎はいったんだ。
また会おうな、っていってるみたいに。
「ヒトナツ」第1話を呼んでくださってありがとうございました!
作者のヒナといいます♪
初めての作品の投稿で、至らないところも多々ありますが、これからも「ヒトナツ」をよろしくお願いします!